あんなに堅物だった俺を、解してくれたお前の腕が

いちごみるく

文字の大きさ
1 / 79

二人の関係

しおりを挟む
「おやすみ、はやと。今日も疲れさせてごめんな。明日は休みだからゆっくり寝ような」

「ありがとうゆう。明日はお昼まで寝てても許してね」



東京都内のあるマンションの1室。
薄いグレーを基調とした無機質な部屋のほぼ中心にある大きなベッド。

そこには2人の男子中学生の姿。


「それにしても…お前今日は何回イッた?」

「数えてないよそんなの。そんな余裕ない!笑」

「確かに。すげー気持ちよさそうにしてたからな。」

「誰のせいだと思って…」

「せいじゃなくておかげだろ?俺のおかげで〇〇も✕✕も△△も全部できるようになったじゃないか。」

「ちょっ……改めてそんな言葉並べないでよ!!恥ずかしい…」



この関係は約2ヶ月前から続いている。




始まりは俺の一方的な暴走だった。

俺は隣に寝ている幼馴染、醍醐だいご隼のことが初めて出会った小学二年生の時からずっと好きだった。

小学校は違うが、住んでる地区は近かったため、ソフトテニスの教室で知り合った。

そこからペアになりほぼ毎週練習の度に顔を合わせ、夏休みなどにはしばしば会って練習の後に遊んでいた。

そして中学生になった今、俺達は30年間連続で全国制覇しているテニスの超強豪校に在籍している。

隼とはペアである上にクラスも同じだったため、一緒にいる時間が格段に増えた。
それに比例するように、俺の隼への気持ちは加速していった。


隼に彼女ができたのは中学1年生の冬。
その彼女は、実は入学当初俺に恋をしていた。
しかし隼の一途な気持ちに絆され、結局隼と付き合った。


俺は隼に彼女ができた時、表面では祝福したが、心の中は言い様のない気持ちに支配された。

隼が彼女を好きなことは入学してすぐの頃から気づいていたし、彼女が俺から隼に気持ちを向け始めていたことも何となく分かっていた。

だから気持ちの準備ができていなかったわけではない。

だがいざ隼が「恋人」を作るとなると、
これまで揺るぎないと思っていた俺の立場も変わってしまうのだということを実感した。

何かあったときに真っ先に相談する相手は俺じゃない。
休日などに一緒に過ごす相手は俺じゃない。
イベントの際に真っ先に頭に思い浮かべるのは彼女の笑顔。


隼の日常が、少しずつ彼女に侵食されていくような気分だった。


それでも隼が傷ついたり悩んだりするよりは、幸せそうに笑っているほうがよかった。
こいつは小学校時代、かなり酷いイジメに遭っていた。
そんな辛い時期を知っているからこそ、好きな人と楽しく過ごせているこいつを邪魔したくはなかった。


だから俺は、このまま自分の気持ちを封じ込めるつもりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

泣き虫で小柄だった幼馴染が、メンタルつよめの大型犬になっていた話。

雪 いつき
BL
 凰太朗と理央は、家が隣同士の幼馴染だった。  二つ年下で小柄で泣き虫だった理央を、凰太朗は、本当の弟のように可愛がっていた。だが凰太朗が中学に上がった頃、理央は親の都合で引っ越してしまう。  それから五年が経った頃、理央から同じ高校に入学するという連絡を受ける。変わらず可愛い姿を想像していたものの、再会した理央は、モデルのように背の高いイケメンに成長していた。 「凰ちゃんのこと大好きな俺も、他の奴らはどうでもいい俺も、どっちも本当の俺だから」  人前でそんな発言をして爽やかに笑う。  発言はともかく、今も変わらず懐いてくれて嬉しい。そのはずなのに、昔とは違う成長した理央に、だんだんとドキドキし始めて……。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...