あんなに堅物だった俺を、解してくれたお前の腕が

いちごみるく

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安心

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「お前には雨宮がいるからな。俺とはこれからも親友かつ唯一のペアでいてくれればそれでいい」


雨宮…隼の彼女である。

隼は本当に雨宮を大事にしている。

俺は隼と雨宮の関係を壊すつもりなど毛頭ないのだ。




「なんか、こんなこというのは卑怯なのかもしれないけど………」


この流れに突然彼女の名前を出されて驚いたのだろうか。
隼は一瞬だけ驚いた顔をした後、考え込むような仕草をしてから言葉を発した。




「俺も実は、何回か優が女の子だったらとか逆に俺が女の子だったら、優と付き合いたいなって思ったことあるんだよね」



照れ笑いしながら言うその言葉に、俺の心臓は変な跳ね方をした。


「恋愛に性別は関係ないって前に優と話したけどさ、俺自身はそういうことはなくて、俺はやっぱり優のことを一番大事な親友として見てたみたい。俺が優に恋愛感情を抱かなかったのは、優と俺の性別が同じだから……ただそれだけなのかもしれないなって。」


恋愛の価値観は人それぞれだ。
俺は隼との出会いが衝撃的すぎて、性別について考える前にこいつへの感情は決まっていた。

しかし隼は、俺のことを「男だから」という理由で恋愛対象としては見ていなかったようだ。


「ということは、性別が異なっていたらお前も俺を好きになってくれてたのか?」

「多分そうだと思う。俺が女子だったら確実に優のこと好きになってたから」

「そうか……」


隼が女であっても俺は変わらずこいつのことを好きになるだろう。

両想いになるには、隼が女である必要があったのか……




「それならば諦めがつきそうな気もするな」


超えられぬ性別の壁だけが隼に断られる理由ならば……
逆に諦めきれんと思う人もいるだろうが、俺自身の問題で振られるというよりも性別というどうしようもないものが理由
な方が、俺は諦めがつく。

間接的に俺の存在は認めてもらえているということなのだから。



「隼、こちらこそありがとな」

「えっなんで優がお礼言うの?」

「言わせてくれ。お前を好きになってよかった」


こんな気持ちに向き合ってちゃんと答えてくれただけで、俺は十分だと思った。

性別というたったひとつの理由で振られたことに関しても、それ以外に振る理由はないのであれば、それでよかった。

こいつにとっての俺の立ち位置は、簡単には揺らがないのだろう。

それを確かめられただけでも、俺は安定した精神を保つことができそうだ。


そう思っていた………
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