泣いてるロボット

いちごみるく

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「なあ遥?このアカウントさ、樹にバラしてみねえ?」

「ええっ!?それは流石に……」

「いいだろ!どうせお前はいずれアイツの元を離れるんだよ。そろそろ潮時じゃねーの?」

「そんな……」


龍也さんの中で、私はいずれまた樹から離れ、完全に龍也さんと一緒になる事になっている。

そして、私がそれを拒否することは勿論できない。


「いいじゃん、ほら…!」


ニヤニヤした龍也さんが、二人のアカウントで樹の投稿に反応する。

樹にはついさっき夕飯を先に食べててくれと連絡したばかりだから、きっとまだ手元にスマホを持っているはずだ。

すぐに通知に気づいてしまうだろう。

そしたら私は今度こそ……


本当に樹から離れなければいけなくなってしまう。


「おい遥。今ここで樹に電話しろ。」

「……え?」

「いいから早く!」


怒鳴る龍也さんの声に抗えず、私はすぐに樹に電話をかけた。

樹は少し間をおいて電話に出た。


「いいか、俺の言う通りに話せ。」

龍也さんが小さい声で私を睨みながらそう指示する。

私は頷き、龍也さんの言う言葉をそのまま樹にぶつけた。

「樹といても楽しくない」

「ドキドキするのはカレの方」

「もう終わりにしたい」

樹はずっと、泣いていた。

私もホントは、泣いていた。

だけど涙を流すことは、出来なかった。

あくまで淡々と冷たく言い放つ。


私にとって辛く苦しい作業だったけど、これは樹を救う為でもある…。

そう思いながらやるしかなかった。
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