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2人目:偏屈教師の話
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「醍醐、事情も知らずにあんなことを言ってすまなかった。」
俺のクラスの生徒である醍醐隼が定期考査を無断で休んだ日から2日後。
事態は急変した。
あの後警察から学校に電話が入り、なんとあの日、醍醐は駅で見知らぬ男たちから強姦されていたことが分かったのだ。
朝の通学時に狙われたため、当然学校には遅れてしまう。
更に無理やり連れ込まれ手足を縛られていたらしいため、当然学校への連絡などできない。
まさかこんな事態になっているとまでは俺を含めどの先生も想定ができず、職員室ではその対応に追われた。
俺があの日何も知らずに醍醐を叱責したことも、俺は両親に直接謝ったが特に大きく非難されることはなかった。
しかし、そのやり取りを聞いていた他の先生方の俺への目はかなり厳しくなった。
元々醍醐を贔屓気味に見ていた先生方と、真逆に醍醐に厳しくしていた俺の溝は、更に深まることになったのだ。
「僕も、早く言えばよかっただけですから…すぐに言わなくてすみませんでした」
目の前に座る醍醐はそう言って俺に向かって頭を下げる。
俺らは今、教室棟から少し離れた場所にある面談室のうちの一つを借りて向かい合って話している。
ここは2者面談や3者面談の期間に放課後、使われることが多いが、幸い今はそういった期間ではない。
あの件について改めて醍醐に謝るべく、俺はある日の放課後にこうして機会を設けたのだった。
「お前が謝ることはないんだぞ醍醐。悪いのは俺と、お前を襲った犯人たちだ。」
醍醐は他の先生方が言うように中学生にしてはかなりしっかりしていて、受け答えもまるで大人みたいだ。
そんな醍醐もさすがに今回の件は不安に思うことが多かったようで、俺の言葉に安堵したような顔を向ける。
「でも、先生は何も知らなかったわけですから……あの人たちと同じくらい悪いなんてことは無いですよ。」
しっかりした物言いで、俺の目を射抜くかのような眼差しを真っ直ぐ向けてくる。
「知らないとはいえ、だろ。あんなに強く言う必要はなかった…今後気をつけるよ。本当にすまなかった。」
「僕もすぐに事情を話さなくてすみませんでした。」
「お前は謝らなくていい。確かに言いにくい話だろうしな。こちら側が察することもできなくて悪かったんだよ。……ところでお前、最近カウンセリングは行ってるのか?」
「去年の夏から行ってませんでした。でも、今回の件で親に勧められて久しぶりに行ってきました」
「そうだったのか……」
醍醐は、小学校時代の陰湿ないじめのせいで、一時期精神を病んだらしく、小学校後半から中学1年の途中まで定期的にカウンセリングを受けていた。
「みんな心配してくれて話を聞いてくれたので、僕はもう大丈夫ですよ。だから、先生ももう気にしないで下さい」
柔らかく落ち着いた口調で言う醍醐の表情を見るに、本人の言う通り、あの件に関してはもうそこまで気にしていないようだった。
それに、俺の気持ちを汲んで心配するなとまで言ってくれている。
こいつは俺が思っていたように、人を見て態度を変えているわけではないのかもしれない……
そんなことを、ここで少し思い始めていた。
俺のクラスの生徒である醍醐隼が定期考査を無断で休んだ日から2日後。
事態は急変した。
あの後警察から学校に電話が入り、なんとあの日、醍醐は駅で見知らぬ男たちから強姦されていたことが分かったのだ。
朝の通学時に狙われたため、当然学校には遅れてしまう。
更に無理やり連れ込まれ手足を縛られていたらしいため、当然学校への連絡などできない。
まさかこんな事態になっているとまでは俺を含めどの先生も想定ができず、職員室ではその対応に追われた。
俺があの日何も知らずに醍醐を叱責したことも、俺は両親に直接謝ったが特に大きく非難されることはなかった。
しかし、そのやり取りを聞いていた他の先生方の俺への目はかなり厳しくなった。
元々醍醐を贔屓気味に見ていた先生方と、真逆に醍醐に厳しくしていた俺の溝は、更に深まることになったのだ。
「僕も、早く言えばよかっただけですから…すぐに言わなくてすみませんでした」
目の前に座る醍醐はそう言って俺に向かって頭を下げる。
俺らは今、教室棟から少し離れた場所にある面談室のうちの一つを借りて向かい合って話している。
ここは2者面談や3者面談の期間に放課後、使われることが多いが、幸い今はそういった期間ではない。
あの件について改めて醍醐に謝るべく、俺はある日の放課後にこうして機会を設けたのだった。
「お前が謝ることはないんだぞ醍醐。悪いのは俺と、お前を襲った犯人たちだ。」
醍醐は他の先生方が言うように中学生にしてはかなりしっかりしていて、受け答えもまるで大人みたいだ。
そんな醍醐もさすがに今回の件は不安に思うことが多かったようで、俺の言葉に安堵したような顔を向ける。
「でも、先生は何も知らなかったわけですから……あの人たちと同じくらい悪いなんてことは無いですよ。」
しっかりした物言いで、俺の目を射抜くかのような眼差しを真っ直ぐ向けてくる。
「知らないとはいえ、だろ。あんなに強く言う必要はなかった…今後気をつけるよ。本当にすまなかった。」
「僕もすぐに事情を話さなくてすみませんでした。」
「お前は謝らなくていい。確かに言いにくい話だろうしな。こちら側が察することもできなくて悪かったんだよ。……ところでお前、最近カウンセリングは行ってるのか?」
「去年の夏から行ってませんでした。でも、今回の件で親に勧められて久しぶりに行ってきました」
「そうだったのか……」
醍醐は、小学校時代の陰湿ないじめのせいで、一時期精神を病んだらしく、小学校後半から中学1年の途中まで定期的にカウンセリングを受けていた。
「みんな心配してくれて話を聞いてくれたので、僕はもう大丈夫ですよ。だから、先生ももう気にしないで下さい」
柔らかく落ち着いた口調で言う醍醐の表情を見るに、本人の言う通り、あの件に関してはもうそこまで気にしていないようだった。
それに、俺の気持ちを汲んで心配するなとまで言ってくれている。
こいつは俺が思っていたように、人を見て態度を変えているわけではないのかもしれない……
そんなことを、ここで少し思い始めていた。
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