その男、人の人生を狂わせるので注意が必要

いちごみるく

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元いじめっ子の話

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どうして……


どうしてあの日、あんなに酷いことを言ったのに、隼くんは私を助けてくれるんだろう…


どうして散々隼くんをバカにしておいて、結局私を置いて自分だけ逃げたあの男子を一言も責めないんだろう。

どうして私を無傷で帰してくれて、自分だけ沢山傷ついたのに、私を責めないんだろう……



どうして………


一瞬でも、あの男子の話を信じてしまったんだろう……



私が信じるべきなのは、目の前の隼くんなんじゃないか…


だって、あんなに酷いことを言われて、私にも追い返されて、それでも痛い思いをしながら私を助けてくれた。


そんな人の、どこが変態で気持ち悪くて性格が悪いというのだろう。



私はあの日の自分を心から殴りたくなった。


隼くんを庇ったり、隼くんと一緒にいる勇気はまだない。

けど、どうして敢えて隼くんを傷つけてしまったのだろう……

そんな自責の念が、頭から離れなくなった。


隼くんと一緒に歩いて誤解されたくなかったからといって、私は隼くんに酷いことを言った。

私がやってることは、イジメっ子たちと何も変わらない。

私は立派な加害者だ。


隼くんの優しい言葉に、私は何も言てないでいた。

するとそれを見た周りの男子たちは、気を良くして再び口々に隼くんへと暴言を吐いた。

それを止めることすらできないちっぽけな私は………隼くんよりもずっと弱い。

隼くんは、誰よりも強くて誰よりも優しかった。



私はこの日から、隼くんに感じた気持ちやこれまでの後悔を、誰にも言わずに生きてきた。


そう、隼くん本人にも、私は何も言うことはできなかったの……
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