161 / 213
冤罪少年の話
6
しおりを挟む
だけど俺はそんな自分に安心した。
隼先輩を傷つけることを悦んでいる自分は、本当の殺人鬼みたいじゃないか…。
俺の中にもそういう一面が潜んでいて、今回罪を着ることで本当に殺人を犯す前に捕まることができるんじゃないか…
そして、他人の罪を着て捕まった自分を、ずっと正当化させられるんじゃないか……
俺は、自分を理不尽な平等から解放する為に罪を着ることにした。
しかしいつか、そんな自分の判断を後悔する日が来るのではないかという不安も少しはあった。
だけど、もし俺が本物のシリアルキラー、サイコパスならば、そんな後悔もしないで済むはずだ。
俺の中には、そんな気持ちからくる安心感が広がっていた。
「どっちにしろ……俺、あの日、あいつらを殴りかけたんですよ?」
俺があいつらから部室で散々悪口を言われた後。
俺は隼先輩から貰った言葉を思い出して、勇気を振り絞った。
忘れかけていたプライドと自信を必死に思い出し、湧き上がらせた。
そして先輩たちの本当の姿を……
普段俺達には見せない苦労や努力、辛い過去を、俺の知ってる限りあいつらに話した。
先輩方の威厳を考えれば、そんな話はしない方が良いのかもしれない。
だけど、あいつらにもわかってほしかった。
怖くて嫌われてて何の苦労もしてないように見える先輩たちも、みんな俺らと同じ中学生なんだということを。
そして、俺があの頃頑張ってた姿を見て褒めてくれたように、ちゃんと人のことを見てくれているんだということを。
一番怒られ、怒鳴られ、説教されてた俺だからこそ、先輩たちのそういう面も見る事ができた。
だからそれを、必死に伝えた。
あの日、俺は初めて自分を信じて、自分が正しいと思ったことをした。
それが少しは伝わったのか、あいつらは謝ってくれた。
俺はそれが嬉しくて、明日からも頑張ろうと思って部室を出た。
そして無事に取り返した鍵を開けて、自転車で帰ろうとサドルに跨った。
そのときに、部室棟から出てきた麻友と出くわしたのだった。
隼先輩を傷つけることを悦んでいる自分は、本当の殺人鬼みたいじゃないか…。
俺の中にもそういう一面が潜んでいて、今回罪を着ることで本当に殺人を犯す前に捕まることができるんじゃないか…
そして、他人の罪を着て捕まった自分を、ずっと正当化させられるんじゃないか……
俺は、自分を理不尽な平等から解放する為に罪を着ることにした。
しかしいつか、そんな自分の判断を後悔する日が来るのではないかという不安も少しはあった。
だけど、もし俺が本物のシリアルキラー、サイコパスならば、そんな後悔もしないで済むはずだ。
俺の中には、そんな気持ちからくる安心感が広がっていた。
「どっちにしろ……俺、あの日、あいつらを殴りかけたんですよ?」
俺があいつらから部室で散々悪口を言われた後。
俺は隼先輩から貰った言葉を思い出して、勇気を振り絞った。
忘れかけていたプライドと自信を必死に思い出し、湧き上がらせた。
そして先輩たちの本当の姿を……
普段俺達には見せない苦労や努力、辛い過去を、俺の知ってる限りあいつらに話した。
先輩方の威厳を考えれば、そんな話はしない方が良いのかもしれない。
だけど、あいつらにもわかってほしかった。
怖くて嫌われてて何の苦労もしてないように見える先輩たちも、みんな俺らと同じ中学生なんだということを。
そして、俺があの頃頑張ってた姿を見て褒めてくれたように、ちゃんと人のことを見てくれているんだということを。
一番怒られ、怒鳴られ、説教されてた俺だからこそ、先輩たちのそういう面も見る事ができた。
だからそれを、必死に伝えた。
あの日、俺は初めて自分を信じて、自分が正しいと思ったことをした。
それが少しは伝わったのか、あいつらは謝ってくれた。
俺はそれが嬉しくて、明日からも頑張ろうと思って部室を出た。
そして無事に取り返した鍵を開けて、自転車で帰ろうとサドルに跨った。
そのときに、部室棟から出てきた麻友と出くわしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる