異世界の学園にて学園生活を謳歌するはずだった

１、始まりの逃避とウサギの国での活劇

ロボット、狙い定め撃つ

　１ー４４、カメ、魔法を使う


広場にはすでにイスカとレイカが大量の薬瓶と共に待っていた。
「なんだ、そっちより速いと思ったんだがな」
「ふん、お生憎様。スピードだったら負けないんだから」
「というか、そこの店の裏なんどす。薬もよくわからへんかったから全部持って来てきたんよ」
せこい。そう思ったが、口に出さない二人だった。
「・・・本当に適当に持ってきてる」
頭痛止め、胃薬、と指先につけたのを舐めてロンは次々と種類を判別していく。粉薬や錠剤はわかるのだが、どう考えても塗り薬は対象外だろう。
「おい、待て。さすがにそれはやばいって」
チューブの薬品を舐めようとしていたロンをロイズは慌てて止める。いくら薬が効きにくい体質だからって口から摂取しない薬はやめさせるべきだ。
「・・・平気」
「止めとけ、見ててキモイ」
「・・・わかった」
最近、ロンのコントロールの仕方を覚えてきたロイズだった。
「ちょっと、これだけしかないの」
４人が持ってきた薬を合成させた薬はロンの両手に山を作る程度の量となった。圧縮してロイズの銃弾に込めると丁度納まる。
「摂取させる薬はこれで完成したんだが」
「これ、本当に効くの？」
「・・・効力は調合でできるだけ上げた」
「少ないどすなぁ」
その量に不安が残る４人だった。そうこうしている内に城が壊れ、直径十メートルはある程の大蛇が現れる。これで、地下の神殿共々城の周りは完全に破壊された。
「よし、狙いは蛇の右目。標準合わせろ！」
「命令するな！！」
狙いにくいからと時計塔に登った４人組み。
「だいたい、何で右目なんだよ」
「・・・体は鱗に覆われているので目や口の中など防御の低い部分を狙うべき。右は左と比べて魔力が気薄なため、魔法で阻止される危険性が少ない」
「魔力の流れが見える奴がいると本当に便利だよな」
「そっか、もし薬効かなくても目潰しになるからダメージあるじゃん」
「片方の視界が潰れたら後が戦いやすくならはるしなぁ」
こいつら、思っていた以上に強かだなと苦笑するロイズだった。
銃をライフル型に変化させるとスコープを目に当て構える。弾丸と銃身二つに魔力を絡め、精密さを増すと狙いを定め、引き金を引いた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く