エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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4-29、ウサギ、牽制される

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 でも、ユーキはそれでもいいとも思っていた。頑張って治そうとしているレイカには悪いが、虫除けにはピッタリの性癖なのだ。
 彼女と恋仲になろうとする人がどうにかすればいい。
 うちはしっかり邪魔も牽制もしはるけれど。
「ほな、行きますえ」
「「え」」
「しっかりしぃなぁ」
 中々見所のある少年達であるが、まだまだ青い。早く、熟してくれないと本気で遊べないじゃないか。
「うちらかて簡単な仕事やないんよ。まずは上の手伝いいきますえ」
「「上級生?!」」
「その前に確実な協力者に会わせてくれへん。リルク先生かリング先生が居てくれたら話早いんやけど、無理やろなぁ」
「先生なら三日前に外出されて戻ってません」
「ここには先生でも簡単に入れんからなぁ」
「どういうこと?」
「不思議に思わんの?生き物の気配がない空間、動作音のない場所、生活臭いがない場所。ここからは生物の生活痕が薄れていく」
「造られた空間だと言いたいんですか?!こんなに学園にそっくりに?!」
 試しに、イスカは傍の木の幹に正拳を叩き込んでみた。堅いが、殴った感触がいつもと違う。もう一回同じ箇所にめいっぱい拳を叩きつけると木は音を立てて崩れた。倒れたのではない。まるで岩のように壊れた。
「生物を隔離し、術者により特定されたものしか存在していない世界。結界術でもかなり高度な。先生にもここまで作れる人はいやしません」
「うそ、これ生徒が作ったの?!」
「防御魔法と空間把握術においても彼の右に出る人がいるならぜひ会ってみとうどすなぁ」
 凄い先輩が居るものだ。先生が一目置く先輩か。きっと昔の自分みたいにゴツイに違いない。もしくは、典型的ながり勉魔導士タイプか。術の繊細さからして後者だろう。きっと魔術オタクなのだろう。イスカにとって関わり合いになりたくないタイプだった。
「この広大な防御空間を張った本人は探せば会えると思います。というより、見つけ出さなければ僕たちは何時までもここに閉じ込められたままですよ」
「お鉢付けて50点。まだまだどす」
「どういうこと?」
「模範解答ではあらはるけど、教科書そのまま読んだだけ。周囲の情報を全く収集してへんから」
「残り半分は術者が行方不明ってわけね」
「あら、わかりはるの?」
「下の方で誰かを必死に探している声がしてるもん。誰かはわからないけど、この状況だからこれを作った術者って思ったんだけど」
「えらい、プラスね」
「「どれだけ」」
「15点」
 二人合わせて65点。
「たった!」
「やった!」
「おい、喜べる点数じゃないだろういつもの三分の二だ」
「いつもの三倍取れたんだから喜ぶべきでしょ」
「いつもを悲しめよ」
「黙って」
 イスカの耳がピクリと動く。こちらに近づく足音がひい、ふう、みい・・・・・・
「三人来る」
「他に音聞こえます?」
「う~ん、鈴の音がする。音からして一つ。鳴り方からして腰辺りに身に着けてるみたい」
「正解や」
 ユーキに代わって答えたのはいつのまにか彼女の膝上に座っていた兎だった。ゆったりと寝そべるその姿は優美・・・・というより単なる怠け者だ。言葉遣いは似ているところがあるが、ユーキといること自体に違和感がある。
「あんさん、いい耳しとるやないか」
 キセルに乾草を込め、火をつけようとしたが、その寸前でユーキに取り上げられた。
「妖精の類ですか」
「似たようなもんどす」
 だとしても、術の維持媒体が見当たらない。召喚術以外で別の心がある術など二人共聞いたことがなかった。性格が術者に囚われず自由気儘に振舞う召喚獣なんて規格外もいいところだ。他の術者なら即刻契約破棄、処分されてもおかしくない欠陥品である。
「相変わらずそいつなんだな」
「長い付き合いやからやろか。そうそう簡単には切れませんて」
 鈴の音と共に現れたのは自分達よりも年上の少年ではなく、成人しきった大人だった。道なき山の藪の中を進んできたからか髪は乱れてボサボサになり、所々に葉っぱや枝が絡んでいる。革製の胸当てを身に着け、腰にロングソードを装備した典型的なライト剣士だ。
「久しぶりに顔出したな。あれから全然連絡ないから同級生心配してたぞ」
 先生なのかもしれない。少なくともユーキと面識のある人物だ。敵ではないようだけれど、と観察しているイスカと剣士の視線が合った。


                           続く
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