エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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エターナニル魔法学園特殊クラス

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 調査のために便利な魔法があった。スモールだ。言葉の通り対象を小さくするもので、木属性魔法の一種である。魅了系の魔法が主である木属性だが、こういった魔法もあるのだ。身体を小さくして魅了した猫の肩に乗る。長毛種なので頭が出るくらいまで潜り込むと校舎に行くように頼んだ。事務職員にミルクを貰って、用務員に煮干を貰って満足する。高齢なのでレイカも怖くない。中庭の木に登り、授業を見学する。真面目に受けている人とそうでない人を見分けるのは簡単だった。
「昼休みになる前にお願いします」
購買部でサンドイッチを買ってお腹を満たすとレイカは猫を生徒会室に向かわせた。職員室の隣にある割とこじゃれた部屋で、その隣には情報資料室がある。
「鍵かかってはるなぁ」
開錠の魔法があるらしいが、乱用防止と先生は教えてくれなかった。だが、これは普通の鍵である。見たところ魔法もかかっていない。
「ピッキングできるやろか?」
鍵穴の大きさが自分と同じ大きさなので手近にあった棒を使って押し開ける。ガチャリと音がして鍵が開いた。
「やりました!」
 ニャ~
中は壁のひび割れ具合とは対照的に整理されていた。リトア先輩の情報を得るために生徒会の資料を漁る。しかし、いくら探しても生徒会名簿の中にリトア先輩の名前が見つからない。
「先輩、生徒会の手伝いしてはるんじゃ?」
「まことに残念なことに、何度勧誘しても単なる有志なのだ」
  カポン
「ふぇ?」
透明な何かが急に目の前に現れた。試に叩いてみるとコンコンと良い音が鳴った。これはガラスだろう。何故突如ガラスが・・・それに先程の声は・・・・・・考えたくないが、これはもしかしなくても・・・・・・レイカは恐る恐る振り向いた。
そこには青髪の青年がメガネを光らせて立っていた。かなりの長身で逆光と相まって非常に怖い。逃げようとしたレイカだったが、透明な檻に阻まれてこの場から動けないでいた。
「先輩助けてください・・・」
どうすることもできなくシクシクとその場に泣き崩れるのだった。魔法を使えばいいのではと言われるだろうが、今吸収している量の木属性魔力では密閉されたこの空間を超えて相手にダメージを与える術が使えない。木属性に攻撃魔法はない。魅了魔法は空気感染なので余計無理だし、レイカの性格を考えるとそれを使うという発想に至らないだろう。
「泣くでない。私が悪いみたいじゃないか」
「ふぇぇ――っ、先輩助けて―――っ」
「泣くでないと言っている」
コツンとコップを弾かれ、レイカは全身を震わせてさらに小さくなってシクシクと泣いた。桜色主体の十二単に身体をさらに押し込める。涙が止まらず袖口で拭うレイカの姿を見て青年は深い溜息を吐いた。
「まったく、あいつの妹とは思えぬ情けなさだな」
「情けのうて、悪かったなぁ」
「ふん、保護者を呼ぶように言ってある。しばらくそうしているんだな」
下になっていた資料を器用に引き抜かれ、元の場所に戻されてしまった。何もできなくなったレイカは只々泣いた。


                              続く
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