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7-3、ウサギ、ダイブする
エターナニル魔法学園特殊クラス
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「さてと、これからどうするかね」
遠ざかる船を見ながらイスカはポツリと呟いた。実はすでに校長室を調べ終わっていた。昨日の消灯時間後に待ちきれずに忍び込んだ。結果はシロ。書類は持って帰るタイプなのか一枚たりとも保管されていなかった。
「他に保管室がある可能性もあるかな・・・・・・」
なんにせよ情報が少なすぎる。わかっていることと言えば、ロイズがロンを使って陰で何かをやっていることと、それにリトアが何らかの形で力を貸していたということ。肝心のリトアはイスカ達一年が入学した頃からギルドの仕事で出かけているので、彼女が関わったとするならは帰還後となるだろう。それ以前からだったら手の打ちようがない。軽々と飛び乗った灯台の上でイスカは深い深い溜息を吐いた。
「本当にもう何がどうなってるの?」
自分が何をするべきなのか、何を望まれているのか。痛くなった頭を振り払ってイスカは走り出した。目的地があるわけではない。アドレナリンを分泌して頭を空っぽにしようとした。ある程度汗をかいてスッキリしてきた頃だった。山の中のランニングはいい運動になると思っていた時、
「コラーッ!そこ踏むな!!」
「痛ぇ」
カランコロンと足元に転がった如雨露だった。見るとカザキ先輩が投げたフォームでこちらを睨んでいた。
「そこは薬草園だ」
「すみません、知らなかったんです」
「オラ、そこに赤いリボンがあるだろうが!」
そういえば、前にもそんなこと言っていた。獣道から外れるなと、赤いリボンを超えるな、と。
「覚えておけよ。それが薬草園の印なんだから燃やしたら只じゃすまないからな!イスカ!!」
「え、あたしのこと知ってるの!?」
「この学園で喧嘩常習犯のお前のこと知らない奴なんかいねーぞ」
「あははは―――」
とりあえず、笑ってごまかすイスカだった。
「この辺は崖も多い。落ちないように気をつけろよ」
「はーい」
帰っていくカザキ先輩の後ろ姿を眺めながらイスカはふと思った。
あの時にもカザキ先輩に会った。その後しばらく歩いてロンに穴の中に落とされたのだった。その後、スタートウとか言う異次元に飛ばされた。そこであったオコの携帯電話が何故かメモリー内に残っている。電話番号交換をしたのは巨大鶏に会った時なので時間を遡ったのだから消えていないとおかしい。スタートウに行ったからか時流壁に触れたからか理由は分からない。
「本当にわからないことだらけじゃない」
叢をかき分けながらイスカはブツブツと文句を言った。そして、自分の進行方向に同じように草木をかき分けながら進む者の音を聞き取った。木の枝に飛び乗り、その方向を見ると確かに誰かが何かを探している。
「ちょっと、こんなところで何してんのよ?!」
「うわ??!!」
「・・・なんだザリじゃない。こんなところで何やってるのよ?」
「何だ、イスカか。驚かせるなよな」
「で、練習サボって何やってんのよ?」
「ちょっと、探し物・・・・ってなんでお前に言わなきゃならないんだよ!」
「もしかしなくても、ワープホールを探してる?」
「・・・そんなものがこの学園にあるわけないだろ、常識で考えて」
メガネを押し上げてザリが言う。殴りたい衝動をイスカは何とか堪える。
「俺は本を探しているだけだ。どうやらここにはないようだな」
「図書館で探しなさいよ」
グゥとも言えなくなったのかザリはそそくさと立ち去っていった。
「何隠してんだか」
イスカは探索を再開した。足を踏み鳴らしながら手で草をかいていく。日が暮れ、40分経過してそろそろ諦めようと思った時だった。足の裏の感触が違う箇所を見つけた。
「お、ここだな」
一人でいるとついつい男言葉になってしまうイスカだった。草を掴んで引っこ抜くと下水道の入り口みたいな、ドロドロとした何かが溜まった井戸みたいな何かがそこにはあった。
「げ、こんな風になってたんだ・・・」
あの時は見る間もなく突き落とされたのだった。この蠢いているのが時流壁なのだろうか?ポリポリと頬を掻くとイスカは携帯を取り出し、ある番号にかけた。
『おう、イスカどうした?』
「やっぱり、あなたは記憶あるんだ」
『???何のことだ???』
「冗談に聞こえるかもしれないけれど、あたしタイムワープして過去に来ているの」
『へ~、どこのどの時だ?』
「俺ん所の20014年春だよ」
『結構近場だな。千年代とかだったりしたのかと思ったぜ?』
「神戦国時代はさすがにごめんね。それでちょっとそっちに物を送りたいのよ。何修行のお礼みたいなものだから」
『お、わざわざ悪いな』
「じゃあ、受け取ってね」
そう言うとイスカは手近な木を引っこ抜くと穴の中に投げ入れた。しばらくすると電話の向こうで重い何かが落ちる音と、何かが壊れる音がした。そして、聞き覚えのある悲鳴が受話器から聞こえてくる。そして、オコの嘆く声がした。
『まぁた、壊れた!!』
ちょっとした罪悪感に襲われながらイスカは穴へとダイブした。
「・・・・・・手間が省けた」
木の上で彼を見張っていた黒い影はそう呟いて消えていった。
続く
遠ざかる船を見ながらイスカはポツリと呟いた。実はすでに校長室を調べ終わっていた。昨日の消灯時間後に待ちきれずに忍び込んだ。結果はシロ。書類は持って帰るタイプなのか一枚たりとも保管されていなかった。
「他に保管室がある可能性もあるかな・・・・・・」
なんにせよ情報が少なすぎる。わかっていることと言えば、ロイズがロンを使って陰で何かをやっていることと、それにリトアが何らかの形で力を貸していたということ。肝心のリトアはイスカ達一年が入学した頃からギルドの仕事で出かけているので、彼女が関わったとするならは帰還後となるだろう。それ以前からだったら手の打ちようがない。軽々と飛び乗った灯台の上でイスカは深い深い溜息を吐いた。
「本当にもう何がどうなってるの?」
自分が何をするべきなのか、何を望まれているのか。痛くなった頭を振り払ってイスカは走り出した。目的地があるわけではない。アドレナリンを分泌して頭を空っぽにしようとした。ある程度汗をかいてスッキリしてきた頃だった。山の中のランニングはいい運動になると思っていた時、
「コラーッ!そこ踏むな!!」
「痛ぇ」
カランコロンと足元に転がった如雨露だった。見るとカザキ先輩が投げたフォームでこちらを睨んでいた。
「そこは薬草園だ」
「すみません、知らなかったんです」
「オラ、そこに赤いリボンがあるだろうが!」
そういえば、前にもそんなこと言っていた。獣道から外れるなと、赤いリボンを超えるな、と。
「覚えておけよ。それが薬草園の印なんだから燃やしたら只じゃすまないからな!イスカ!!」
「え、あたしのこと知ってるの!?」
「この学園で喧嘩常習犯のお前のこと知らない奴なんかいねーぞ」
「あははは―――」
とりあえず、笑ってごまかすイスカだった。
「この辺は崖も多い。落ちないように気をつけろよ」
「はーい」
帰っていくカザキ先輩の後ろ姿を眺めながらイスカはふと思った。
あの時にもカザキ先輩に会った。その後しばらく歩いてロンに穴の中に落とされたのだった。その後、スタートウとか言う異次元に飛ばされた。そこであったオコの携帯電話が何故かメモリー内に残っている。電話番号交換をしたのは巨大鶏に会った時なので時間を遡ったのだから消えていないとおかしい。スタートウに行ったからか時流壁に触れたからか理由は分からない。
「本当にわからないことだらけじゃない」
叢をかき分けながらイスカはブツブツと文句を言った。そして、自分の進行方向に同じように草木をかき分けながら進む者の音を聞き取った。木の枝に飛び乗り、その方向を見ると確かに誰かが何かを探している。
「ちょっと、こんなところで何してんのよ?!」
「うわ??!!」
「・・・なんだザリじゃない。こんなところで何やってるのよ?」
「何だ、イスカか。驚かせるなよな」
「で、練習サボって何やってんのよ?」
「ちょっと、探し物・・・・ってなんでお前に言わなきゃならないんだよ!」
「もしかしなくても、ワープホールを探してる?」
「・・・そんなものがこの学園にあるわけないだろ、常識で考えて」
メガネを押し上げてザリが言う。殴りたい衝動をイスカは何とか堪える。
「俺は本を探しているだけだ。どうやらここにはないようだな」
「図書館で探しなさいよ」
グゥとも言えなくなったのかザリはそそくさと立ち去っていった。
「何隠してんだか」
イスカは探索を再開した。足を踏み鳴らしながら手で草をかいていく。日が暮れ、40分経過してそろそろ諦めようと思った時だった。足の裏の感触が違う箇所を見つけた。
「お、ここだな」
一人でいるとついつい男言葉になってしまうイスカだった。草を掴んで引っこ抜くと下水道の入り口みたいな、ドロドロとした何かが溜まった井戸みたいな何かがそこにはあった。
「げ、こんな風になってたんだ・・・」
あの時は見る間もなく突き落とされたのだった。この蠢いているのが時流壁なのだろうか?ポリポリと頬を掻くとイスカは携帯を取り出し、ある番号にかけた。
『おう、イスカどうした?』
「やっぱり、あなたは記憶あるんだ」
『???何のことだ???』
「冗談に聞こえるかもしれないけれど、あたしタイムワープして過去に来ているの」
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「神戦国時代はさすがにごめんね。それでちょっとそっちに物を送りたいのよ。何修行のお礼みたいなものだから」
『お、わざわざ悪いな』
「じゃあ、受け取ってね」
そう言うとイスカは手近な木を引っこ抜くと穴の中に投げ入れた。しばらくすると電話の向こうで重い何かが落ちる音と、何かが壊れる音がした。そして、聞き覚えのある悲鳴が受話器から聞こえてくる。そして、オコの嘆く声がした。
『まぁた、壊れた!!』
ちょっとした罪悪感に襲われながらイスカは穴へとダイブした。
「・・・・・・手間が省けた」
木の上で彼を見張っていた黒い影はそう呟いて消えていった。
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