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二日目その4、叶えさせる
間違った休日の過ごし方
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注文中に店員がずっと苦笑いをしていた。充希もクウも笑っているのだが、空気は刺々しい。目つきの悪い刑事と無表情の自分がさらにその重い空気に拍車をかけている。いつもは賑やかだろう店内は人の割に音量が下がっている。
「面白い味ですわ」
「そうだろうな」
「おまえ、本当に飲み物だけなんだな。一口食べるか?」
せっかくの申し出だが、首を横に振る。固形物は消火不良になるから普段からあまり食べない。
「・・・というわけだ。魔法で解決するのもだが、暴力で解決するのは極力控えるように」
「「はい」」
「実力があるからこその発想だよな~。俺には無理だもん」
一番手っ取り早い方法を取っているだけ。会話が苦手だから仕方がない。盗むこともできるが、視線を合わせなければが成功率にかかわってしまう。彼が騒いで注意を引きつけてくれていたら上がったかもしれない。
「で、これからどうするんだ」
「適当な願い叶えさせてエキスを抽出するわけじゃが」
濃くはないけれど量は多いはずとクウは続ける。
「ただでさえ複雑だったのをややっこしいものにしたのじゃからダンジョンもボスも大変なのは必然。だから、実力云々はとりあえずおいておきたいほど人手をほっしとるところじゃ」
「もしかして、俺らに協力しろとか言わないよな?」
「社会的にお亡くなりになられてもいいのなら、どうぞどうぞ」
「???どういうことだ???」
「あの亜空間、犯罪だけではなく人の悪意に反応させて形成するようになっているのでのう。その気になりましたら根本を“秘密”にすることだって可能じゃ」
入力したそれに対して5W1Hを暴くことができるシステムとも言われている。
「捜査に使えそうだな」
「検証段階だけれどかなり使えると思うぞ。なんせ最低限必要なのは2Wじゃならのう。ダンジョン攻略する手間さえ惜しまなければ、犯人はわかる。誤情報でもある程度なら形成してしまうのが難点じゃが」
「そこが一番の問題だろうが!」
「聞いてて思ったんだけれどさ、そんなの取り出されるんだったら再犯率が下がるので犯罪抑制力になるんじゃね」
「さすがにそこまでの機能はなかったはず」
犯罪によって生まれたエキスを取り出しているので、再犯に手を染めるかどうかは本人の意思次第となる。
「話を戻すが、4人だけで平気か?」
「他につてがないからのう。仕方がないのじゃ」
「サードの知り合いはどうなんだ?」
「いない」
「キッパリ言うなって」
「なに、最終階までは探索がメイン。回復役もいるしのう。装備一式整えれば、雑魚敵くらいなら一般人でもなんとかなるもんじゃぞ」
「警官として一市民を巻き込むわけにはいかない」
「相変わらず硬いのう」
「当たり前だ」
「俺だって行きたくないって」
あの空間で一度死んだからだろう。痛覚麻痺されているからそこまでひどくなかったはずだ。今ここで腕へし折った方が痛いだろう。
これはチャンスだ。
「・・・いいのか?こっちにいる方が危険だと思うんじゃが」
「へ?」
クウが視線で全員に外を向くように命じる。見下ろすと見覚えのある不良が走っていた。理由はわからないが、他の仲間と合流して自分達を探しているようだ。
「見つかったらフルボッココース直行って俺もうここで遊べないじゃん」
「ほとぼりが冷めるまで来ない方がいいだろう」
「どうじゃ。いい暇つぶしになるかと思うのだが?」
「命がけの行為は暇つぶしで括れないって」
2人がそんな話をしていると着信を告げる電子音が響く。クラッシックな音楽でクウの腰ポケットから聞こえてくる。
「はい、はい、・・・そうなりますわ」
少し話すと電話を切り、クウは大きなため息をついた。
「どうした?」
「引き取り手との連絡が途絶えたらしいのじゃ」
「どんな奴なんだ?」
「殺しても死なぬ男じゃ。単なる失踪じゃろう」
それに同意する。あれの殺害依頼は受けたくない。
「話を戻すぞ。この時間人がいないところはあるのかのう」
「西の波止場はどうだ。ここの喧騒が嘘のような静けさだ」
「面白い味ですわ」
「そうだろうな」
「おまえ、本当に飲み物だけなんだな。一口食べるか?」
せっかくの申し出だが、首を横に振る。固形物は消火不良になるから普段からあまり食べない。
「・・・というわけだ。魔法で解決するのもだが、暴力で解決するのは極力控えるように」
「「はい」」
「実力があるからこその発想だよな~。俺には無理だもん」
一番手っ取り早い方法を取っているだけ。会話が苦手だから仕方がない。盗むこともできるが、視線を合わせなければが成功率にかかわってしまう。彼が騒いで注意を引きつけてくれていたら上がったかもしれない。
「で、これからどうするんだ」
「適当な願い叶えさせてエキスを抽出するわけじゃが」
濃くはないけれど量は多いはずとクウは続ける。
「ただでさえ複雑だったのをややっこしいものにしたのじゃからダンジョンもボスも大変なのは必然。だから、実力云々はとりあえずおいておきたいほど人手をほっしとるところじゃ」
「もしかして、俺らに協力しろとか言わないよな?」
「社会的にお亡くなりになられてもいいのなら、どうぞどうぞ」
「???どういうことだ???」
「あの亜空間、犯罪だけではなく人の悪意に反応させて形成するようになっているのでのう。その気になりましたら根本を“秘密”にすることだって可能じゃ」
入力したそれに対して5W1Hを暴くことができるシステムとも言われている。
「捜査に使えそうだな」
「検証段階だけれどかなり使えると思うぞ。なんせ最低限必要なのは2Wじゃならのう。ダンジョン攻略する手間さえ惜しまなければ、犯人はわかる。誤情報でもある程度なら形成してしまうのが難点じゃが」
「そこが一番の問題だろうが!」
「聞いてて思ったんだけれどさ、そんなの取り出されるんだったら再犯率が下がるので犯罪抑制力になるんじゃね」
「さすがにそこまでの機能はなかったはず」
犯罪によって生まれたエキスを取り出しているので、再犯に手を染めるかどうかは本人の意思次第となる。
「話を戻すが、4人だけで平気か?」
「他につてがないからのう。仕方がないのじゃ」
「サードの知り合いはどうなんだ?」
「いない」
「キッパリ言うなって」
「なに、最終階までは探索がメイン。回復役もいるしのう。装備一式整えれば、雑魚敵くらいなら一般人でもなんとかなるもんじゃぞ」
「警官として一市民を巻き込むわけにはいかない」
「相変わらず硬いのう」
「当たり前だ」
「俺だって行きたくないって」
あの空間で一度死んだからだろう。痛覚麻痺されているからそこまでひどくなかったはずだ。今ここで腕へし折った方が痛いだろう。
これはチャンスだ。
「・・・いいのか?こっちにいる方が危険だと思うんじゃが」
「へ?」
クウが視線で全員に外を向くように命じる。見下ろすと見覚えのある不良が走っていた。理由はわからないが、他の仲間と合流して自分達を探しているようだ。
「見つかったらフルボッココース直行って俺もうここで遊べないじゃん」
「ほとぼりが冷めるまで来ない方がいいだろう」
「どうじゃ。いい暇つぶしになるかと思うのだが?」
「命がけの行為は暇つぶしで括れないって」
2人がそんな話をしていると着信を告げる電子音が響く。クラッシックな音楽でクウの腰ポケットから聞こえてくる。
「はい、はい、・・・そうなりますわ」
少し話すと電話を切り、クウは大きなため息をついた。
「どうした?」
「引き取り手との連絡が途絶えたらしいのじゃ」
「どんな奴なんだ?」
「殺しても死なぬ男じゃ。単なる失踪じゃろう」
それに同意する。あれの殺害依頼は受けたくない。
「話を戻すぞ。この時間人がいないところはあるのかのう」
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