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一、Boy(?) Meets Girl(?)
1ー9、人に与える影響も強くなる。
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「おい、来たぞ」
校舎内に入った孟起が真っ直ぐに向かったのは二階男子トイレだった。ドアを壊さんばかりに開くとそこにいた赤いスカートの女の子はよほど驚いたのか三番目のトイレに隠れてしまった。
「さっさと出て来んと帰るぞ。話がしたいと言ったのはおまえのほうだろ」
おずおずと顔を出したのはおかっぱの少女、誰もが想像するトイレの花子さんそのものである。それもそのはず、トイレの花子さん本人なのだ。ただし、幽霊としての威厳も恐怖感も皆無。それどころか今にも消えてしまいそうだ。
「おまえ、霊力足りてないんじゃないのか」
「は、はい、ここに連れてこられてからというもの疲労が消えなくって」
「本来の居場所じゃないからだろ」
花子はしっかり首を縦に振った。
「でも、何故わかったの?他の人と違って、こうして声も届くし」
「大したことじゃねーよ。俺は他の奴より霊力が強いんだ。それにおまえがここの住人にさせられたのは少し考えればすぐにわかる。築五年の新学校にどう見ても昭和の幽霊が憑くわけないだろ」
「うん、あたし本当はもっと北の方の学校にいたの。ちゃんと女子トイレに。そこが取り壊されたとき、ここの学校に移されたの」
しかも、わざわざ大金を出してこの便座を購入したんだとか。
「おまえが現世に留まる媒体にしているのは便器だな。しかし、何で男子トイレに。普通女子トイレだろ」
そこまではわからないらしく花子さんはプルプルと首を横に振る。
何とかしてやりたいことは山々なのだが、生憎、孟起は浄化術や光道示といった類の術は使えない。幽霊などの精神体に影響を与える術は霊を除化することで黄泉に送るもので、それらの術は霊に攻撃を仕掛けるのと同意である。中には浄化術を使える者もいるが、改めて修行するが面倒だったので孟起は習得しなかった。元々召喚士や魔銃士に適正があり、精神魔法はそのついでにかじったくらいだ。まさか、後々必要になるとは思いもしかなかったのだろう。この無抵抗な幽霊に攻撃を仕掛けられるほど非常になれない孟起だった。元々、彼は弱い者に手を出すような男じゃない。
「お前のように、他に別の所から連れてこられた奴、わかるか」
『えっと、モナリザさんとピアニストさんとボール君がそうかな。よく四人で元の場所のほうがよかったって話すから』
「わかった。そのうち何とかしてやる。しばらく待ってろと伝えとけ。他に気がついたことはあるか」
『私はここを動けないから・・・・・・そうです。最近よく校舎を走り回ってる人がいるからその人に聞いてみてください』
「・・・ありがとな」
そう言うと孟起は男子トイレを出た。これで感じていた違和感は解決したが、別の問題があらわれる。何故こんな素っ頓狂なことをする必要があったのか。学校を経営する側としては明らかに避けたい、避けるべきことである。そこいら辺りにいる浮遊霊ならいても影響は少ないが、自縛霊、特に七不思議によく登場するものとなるとそれなりに力が強い。
そして、その分人に与える影響も強くなる。それは学校の評判にも影響が出るはずなのだ。
しかし、仮眠をとる前にインターネットで調べてはみたが、悪い評判は今のところ全くない。それどころか、設備の良さが好評で行きたい学校ベスト10に入っていたのだから驚きだ。昼間の女子たちも七不思議を知ったのはここに入ってからだと言っていた。
絶対に何か秘密があると孟起は確信した。これだけ霊憑依物を大金で買い集めたのを、実は知らなかったのです、でまとめるには明らかに不自然であり、誰も納得しないだろう。
「あいつの話を信じるとしたらあの二つを調べるのは後でいいな。11番目の不思議は会えればでいいだろう」
女子の話の中で移動する霊はなかった。新たにできたか、単に接触がなかっただけか。
なら、わざわざこちらから動き回って探すのは効率が悪いし、何より面倒臭い。幽霊から直接聞いたのだ。信憑性はかなりある。
そうなると、次はどこから調べるか、だ。
続く
校舎内に入った孟起が真っ直ぐに向かったのは二階男子トイレだった。ドアを壊さんばかりに開くとそこにいた赤いスカートの女の子はよほど驚いたのか三番目のトイレに隠れてしまった。
「さっさと出て来んと帰るぞ。話がしたいと言ったのはおまえのほうだろ」
おずおずと顔を出したのはおかっぱの少女、誰もが想像するトイレの花子さんそのものである。それもそのはず、トイレの花子さん本人なのだ。ただし、幽霊としての威厳も恐怖感も皆無。それどころか今にも消えてしまいそうだ。
「おまえ、霊力足りてないんじゃないのか」
「は、はい、ここに連れてこられてからというもの疲労が消えなくって」
「本来の居場所じゃないからだろ」
花子はしっかり首を縦に振った。
「でも、何故わかったの?他の人と違って、こうして声も届くし」
「大したことじゃねーよ。俺は他の奴より霊力が強いんだ。それにおまえがここの住人にさせられたのは少し考えればすぐにわかる。築五年の新学校にどう見ても昭和の幽霊が憑くわけないだろ」
「うん、あたし本当はもっと北の方の学校にいたの。ちゃんと女子トイレに。そこが取り壊されたとき、ここの学校に移されたの」
しかも、わざわざ大金を出してこの便座を購入したんだとか。
「おまえが現世に留まる媒体にしているのは便器だな。しかし、何で男子トイレに。普通女子トイレだろ」
そこまではわからないらしく花子さんはプルプルと首を横に振る。
何とかしてやりたいことは山々なのだが、生憎、孟起は浄化術や光道示といった類の術は使えない。幽霊などの精神体に影響を与える術は霊を除化することで黄泉に送るもので、それらの術は霊に攻撃を仕掛けるのと同意である。中には浄化術を使える者もいるが、改めて修行するが面倒だったので孟起は習得しなかった。元々召喚士や魔銃士に適正があり、精神魔法はそのついでにかじったくらいだ。まさか、後々必要になるとは思いもしかなかったのだろう。この無抵抗な幽霊に攻撃を仕掛けられるほど非常になれない孟起だった。元々、彼は弱い者に手を出すような男じゃない。
「お前のように、他に別の所から連れてこられた奴、わかるか」
『えっと、モナリザさんとピアニストさんとボール君がそうかな。よく四人で元の場所のほうがよかったって話すから』
「わかった。そのうち何とかしてやる。しばらく待ってろと伝えとけ。他に気がついたことはあるか」
『私はここを動けないから・・・・・・そうです。最近よく校舎を走り回ってる人がいるからその人に聞いてみてください』
「・・・ありがとな」
そう言うと孟起は男子トイレを出た。これで感じていた違和感は解決したが、別の問題があらわれる。何故こんな素っ頓狂なことをする必要があったのか。学校を経営する側としては明らかに避けたい、避けるべきことである。そこいら辺りにいる浮遊霊ならいても影響は少ないが、自縛霊、特に七不思議によく登場するものとなるとそれなりに力が強い。
そして、その分人に与える影響も強くなる。それは学校の評判にも影響が出るはずなのだ。
しかし、仮眠をとる前にインターネットで調べてはみたが、悪い評判は今のところ全くない。それどころか、設備の良さが好評で行きたい学校ベスト10に入っていたのだから驚きだ。昼間の女子たちも七不思議を知ったのはここに入ってからだと言っていた。
絶対に何か秘密があると孟起は確信した。これだけ霊憑依物を大金で買い集めたのを、実は知らなかったのです、でまとめるには明らかに不自然であり、誰も納得しないだろう。
「あいつの話を信じるとしたらあの二つを調べるのは後でいいな。11番目の不思議は会えればでいいだろう」
女子の話の中で移動する霊はなかった。新たにできたか、単に接触がなかっただけか。
なら、わざわざこちらから動き回って探すのは効率が悪いし、何より面倒臭い。幽霊から直接聞いたのだ。信憑性はかなりある。
そうなると、次はどこから調べるか、だ。
続く
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