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広大な世界
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遺跡から出た2人には信じられない光景が広がっていた。小高い丘の上に立つと、地平線が見えたのである。日本では北海道でしかありえないもので、2人とも生で見るのは初めてだった。広がる大地、緑豊かな森、とても終わりが見えない世界。ついでに町も見えない。
「なぁ、兄ちゃんどこから来たんだよ?」
町らしき物体が360度見渡しても一切見えない。つまりは、
「そうだな。あの山を越えて一週間ぐらい歩くことになるか」
大体それくらいかかったし、と平然と防寒着の人は言った。そんなに歩いたことがない2人は唖然とした。だが、この景色を見てしまっては、他に町などありそうになかった。
「だ、大丈夫だよ。保存食余裕あるし、何だったら採ってもいいし」
今の時期だから山菜は豊富にあるよ、と説得している。
「それにほら、モンスターに襲われたら大変だし」
それは確かに、と2人は思い出す。武器を持った緑肌の化け物に追われていたことを。こちらは完全丸腰な上に対抗手段がない。防寒着の人を頼るしかなさそうだ。
「そのモンスターならゴブリンだね。大丈夫さ」
非常に頼もしいが、その美声はマフラーに阻まれて籠って聞こえた。気温も温かいなのにどうしてこの人はこんなに厚着をしているのだろうか?と考えていたカイだったが、ナナから凄い寒がりさんなんだよ、と言われてどうでもよくなった。
続く
「なぁ、兄ちゃんどこから来たんだよ?」
町らしき物体が360度見渡しても一切見えない。つまりは、
「そうだな。あの山を越えて一週間ぐらい歩くことになるか」
大体それくらいかかったし、と平然と防寒着の人は言った。そんなに歩いたことがない2人は唖然とした。だが、この景色を見てしまっては、他に町などありそうになかった。
「だ、大丈夫だよ。保存食余裕あるし、何だったら採ってもいいし」
今の時期だから山菜は豊富にあるよ、と説得している。
「それにほら、モンスターに襲われたら大変だし」
それは確かに、と2人は思い出す。武器を持った緑肌の化け物に追われていたことを。こちらは完全丸腰な上に対抗手段がない。防寒着の人を頼るしかなさそうだ。
「そのモンスターならゴブリンだね。大丈夫さ」
非常に頼もしいが、その美声はマフラーに阻まれて籠って聞こえた。気温も温かいなのにどうしてこの人はこんなに厚着をしているのだろうか?と考えていたカイだったが、ナナから凄い寒がりさんなんだよ、と言われてどうでもよくなった。
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