転移者と転生者と現地チート

シロ

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依頼料ハウマッチ?

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 威嚇するカイの姿を見て見ぬふりしてナナは傍観者を決め込んでいた防寒着の冒険者に近づいた。
「あの、私達のお手伝いしてくれるみたいですが、その、大丈夫なのですか?」
「・・・・・・・大丈夫だよ」
 即答でないのは何を考えたからなのか。
「そうそう、新人の監督教育係も立派な仕事よ。お給金はちゃんとあるから。クソ安いけれど」
「どの位なのですか?」
「そうね・・・・・・普段彼らがやっているのが、大企業の秘書くらいだとして」
 雇われている環境では最高の状態と言いたいのだろう。お給金もかなり良い金額が支給されている。国家機関ではないのは、このギルドが民間だからかもしれない。
「パートってやつくらいか?」
「アルバイトかもしれないのです」
「幼稚園児のお小遣い稼ぎ程度です。基本ワンコイン」
 札でなく、硬貨程度の稼ぎしか出ない。つまり、本当の小遣い稼ぎ。
「本当に大丈夫なのです?」
 泥棒のせいで今までの稼ぎがほとんどなくなったはずである。
「食用薬草の知識は彼女がある程度学んでいるから大丈夫でしょう。斥候能力も高めだし」
「長期討伐依頼だと必要知識だからな。俺もある程度なら」
「特に問題はない、のですね?」
 ちょっと気になったナナは疑問形にした。自分の疑問に答えられていない気がする。
「キノコと木の枝と虫は禁食になるけれど、そこは平気だよね?」
「・・・・う、それは残念なのです」
 どれも嫌いな物ばかり。小さくガッツポーズを作るナナだった。
「カイもわかんないものばかりだから拾い食い禁止なのですよ」
「したことないだろ!」
 異議あり!とカイが頬を膨らませる。
「食用草も生はダメな場合が多いです。その、灰汁抜きしてからでないと、とても・・・」
「だ・か・ら、したことないって!」

                         続く
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