転移者と転生者と現地チート

シロ

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17、

最初の依頼

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「さぁ、ドッキドキの依頼タイムよ!」
 亭主の声が高らかに響き渡る。バシッと力強く掲示板に貼られたのは羊皮紙に書かれた依頼状だった。めり込んでいると言った方が正しいかもしれない。
「依頼内容は、薬草採取、花の蜜集め、コアの回収、の3つよ」
「初期依頼ですね」
「だな、懐かしいなー」
 ほのぼのとしている冒険者と妖精の声に、ナナは比較的簡単な依頼が出てきた、とホッとした。
「薬草集めは知識ないと無理じゃないか?」
「花の蜜集めは蜂さんに頼むしかなさそうですね。そうなると、コア回収がよさそうです。どんなものか説明してもらえれば私達でもなんとかなりそうなのですよ」
「じゃあ、それにしようぜ」
「何言っているの?3つ全部あなた達の依頼よ」
「え?」
「それじゃあいってらっしゃーい」
 語尾にハートマークを付けて送り出したのは、不吉な赤いボタンだった。テレビで見たことがある。あれを押されるとボッシュートされるのだ。下には小麦粉みたいな粉が、がお約束である。その番組はカイもしっかり見ていた。ナナをそんな目に合わせられるか、とカイが亭主目掛けて飛び掛かる。
「ポチッとな」
 無情にも押されたボタンから閃光が溢れる。

                            続く
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