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おやすみなさい
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「ふへぇ~、やっぱ、ベッドはいいぜ」
「カイ、靴は脱いでなのですよ」
「あー、これもこれで便利なような不便なような」
濡れタオルで足を拭かれるのもべちゃってして嫌だったけれど、一々脱ぎ着するのも面倒臭いというのがカイの靴への感想だった。
「齧ったらダメなのですよ」
買ってもらったから大切に履きたい。
「齧ったことないだろ」
何で、そんな事言うんだよと言われてナナは首を傾げた。そういえば、彼と会ったのは遺跡に落ちる少し前、丘の上で二人で伸びていた時である。同じく転移したと考えたのだが、同じ世界からとは限らないのではなかろうか。偶然、召喚場所が同じだっただけで。
おかしいのはそれだけではない。召喚者がいないのだ。町中をうろうろしていても、町外に出ても、それらしい人物が声をかけてくることはなかった。召喚しっぱなしで放置するなら、愉快犯の可能性が高い。そうなると、元の世界に戻れる可能性は限りなく低い。
「(未練などないから、帰る気はないのですけれど・・・・・・)」
送られた目的などは知っておいた方がいいに決まっている。ベストが神の気紛れ。最悪が英雄目的での召喚だ。
「(戦争終わったって言ってたのです)」
なら、英雄目的はなさそうだ。気紛れで声が届いたから助けたとナナは考えることにした。
「(あと、問題は・・・・・・)」
素敵スキルはいくつか貰っているが、ステータス上昇が見られない。半日歩いたら疲れる。1時間駆けたら息が切れかかる。英雄として召喚したのだったら、この辺はどうにかしてほしかった。持久力が上がるとか、すぐ回復するとか。
「(それ系の魔法はあるのです?)」
スイ~スィと魔法一覧を開いて指を走らせる。魔法一覧には3つのウィンドウがある。1つ目はファイアボルトやアースウォールが載っている。まだ多くは読めない。2つ目はどこかで見たマークで区切られた文字列が並んでいる。3つ目は名簿のように見える。2つ目と3つ目はまだ読める箇所はない。
「(唱えるのではなく、効果を発揮できて詳細が見られるようになるんですね)」
唱えても発動しなければわかるようにはならない。ファイアーボールが詳細記載されていないことからわかる。
「(一度発動させないといけないのは大変なのです。1つ目は表になっているので攻撃魔法なのか、そうでないのかの区別もつかないのです)」
寝ればHPMP全快はお約束。何だかんだでステータス異常も解除される。ゴロリと横になると程よい眠気がナナに襲ってきた。横ではカイがすでに夢の世界に旅立っている。
「(どこか、遠慮なく魔法使えるところ、ないのですかね・・・・・)Zzzz」
彼女がそれを追うのに時間はかからなかった。
続く
「カイ、靴は脱いでなのですよ」
「あー、これもこれで便利なような不便なような」
濡れタオルで足を拭かれるのもべちゃってして嫌だったけれど、一々脱ぎ着するのも面倒臭いというのがカイの靴への感想だった。
「齧ったらダメなのですよ」
買ってもらったから大切に履きたい。
「齧ったことないだろ」
何で、そんな事言うんだよと言われてナナは首を傾げた。そういえば、彼と会ったのは遺跡に落ちる少し前、丘の上で二人で伸びていた時である。同じく転移したと考えたのだが、同じ世界からとは限らないのではなかろうか。偶然、召喚場所が同じだっただけで。
おかしいのはそれだけではない。召喚者がいないのだ。町中をうろうろしていても、町外に出ても、それらしい人物が声をかけてくることはなかった。召喚しっぱなしで放置するなら、愉快犯の可能性が高い。そうなると、元の世界に戻れる可能性は限りなく低い。
「(未練などないから、帰る気はないのですけれど・・・・・・)」
送られた目的などは知っておいた方がいいに決まっている。ベストが神の気紛れ。最悪が英雄目的での召喚だ。
「(戦争終わったって言ってたのです)」
なら、英雄目的はなさそうだ。気紛れで声が届いたから助けたとナナは考えることにした。
「(あと、問題は・・・・・・)」
素敵スキルはいくつか貰っているが、ステータス上昇が見られない。半日歩いたら疲れる。1時間駆けたら息が切れかかる。英雄として召喚したのだったら、この辺はどうにかしてほしかった。持久力が上がるとか、すぐ回復するとか。
「(それ系の魔法はあるのです?)」
スイ~スィと魔法一覧を開いて指を走らせる。魔法一覧には3つのウィンドウがある。1つ目はファイアボルトやアースウォールが載っている。まだ多くは読めない。2つ目はどこかで見たマークで区切られた文字列が並んでいる。3つ目は名簿のように見える。2つ目と3つ目はまだ読める箇所はない。
「(唱えるのではなく、効果を発揮できて詳細が見られるようになるんですね)」
唱えても発動しなければわかるようにはならない。ファイアーボールが詳細記載されていないことからわかる。
「(一度発動させないといけないのは大変なのです。1つ目は表になっているので攻撃魔法なのか、そうでないのかの区別もつかないのです)」
寝ればHPMP全快はお約束。何だかんだでステータス異常も解除される。ゴロリと横になると程よい眠気がナナに襲ってきた。横ではカイがすでに夢の世界に旅立っている。
「(どこか、遠慮なく魔法使えるところ、ないのですかね・・・・・)Zzzz」
彼女がそれを追うのに時間はかからなかった。
続く
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