転移者と転生者と現地チート

シロ

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61、

不良待ったなし

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「私が人間だからって舐めやがるのです?」
「しまってる。しまってるって」
 は、つい襟首をつかんで締め上げてしまった。普段やらない行動なのにすんなりとできたのは、その道の素質があるからかもしれない。襟首をつかんで締め上げる素質・・・・・・あのまま元の世界にいたら不良待ったなしだったのかな、私。
「けほけほ、全くこれだから人間は乱暴で嫌なのよ」
「妖精は正直なのです」
 うん、それを面と向かって言えるってことが凄い。正直は妖精の美徳と言われているが、正直過ぎるのも考えものである。事実、そのせいで襟首絞められた。
「誰を探しているのです?」
「えっと、この絵を見て」
 かなり精密に書かれた絵を妖精は取り出した。オカマッチョさんは髪の面影がまだあるが、完全にギルドマスターである。そう現在の彼は禿である。禿でマッチョで・・・・・これであれだったら・・・・・・私には害がないので、大丈夫だ、問題ない。
 他に書かれているのは、顔のよく似た青年が2人。立派な馬を連れている青年ととんがり帽子を被った青年。どちらも金髪碧眼で、特徴的な尖り耳の持ち主だ。エルフで間違いないだろう。ただ、馬を連れている凛々しい青年の耳には優し気な青年の耳にない毛が少しある。
そして、彼らの前に立つ3人の少女達。平々凡々なこれと言って特徴のない少女、おそらく人間。頭に折れた曲がり角がある少女、羊の獣人にも見えるが、どちらかというと蛮族よりだと思う。ちょっと浅黒い肌だ。最後の一人は、片眼のところにバラの花がある。妖精ではなく、植物人だろうと、その大きさから推測できる。
「ヒーロー達とその恋人って感じなのです」
「ズバリその通りよ。よくわかったわね」
 男性二人が如何にも正義側のヒーローって感じの美形だからね。エルフにしては鍛えてあるのも大きい。背負っている剣から、彼らが剣士であることはすぐにわかった。少女は皆これだって武器っぽいのを持ってない。魔法使いの可能性もあるが、それにしては装備が貧弱だ。一般人だろう。
「で、誰を探しているのです?」
 妖精が探すのだから、同じ妖精族か、それに準ずる誰かだろう。予想をするなら、この植物人ではないか?

                           続く
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