1 / 16
プロローグ
しおりを挟む
俺の名前は東雲 信。歳は今年で三十三歳になる。都会のレストランに勤めて今は料理長を任されている。
そんな俺が今何をしているのかと言うと、小さい頃からの夢である古民家レストランを開店させる為に物件を見て回ってるんだが、中々良い物件がない。
不動産を何件も見て回って内見もしたけど、安いけどボロボロ過ぎて改装するより、解体して新しいの作った方が安いんじゃね?といった物件や、人口三千人ほどの村の古民家を紹介されたり。
田舎の古民家とは言ったけど、流石にそこまでの田舎じゃなくてもうちょっと人が居てくれないと困るというか――せっかくオープンさせたのに人が来ないんじゃ俺が破綻しちまうし。
んー、俺の条件が厳しすぎるのか?そう思ってしまう程、紹介される物件は誰も買うわけないだろ!という位ひどい物件ばかりだった。
仕事も夜遅くに終わるから、休みの日にしか物件探しは出来ないし、どうしたもんかな、と思って高校からの友人に相談したらある不動産を紹介されたんだ。
早速次の休みにその不動産に行ってきたんだけど、紹介された物件が中々良い条件だったので早速内見をしてみることにした。
その物件の場所は俺が住んでる場所から車で一時間程の場所にあり、周りは田んぼや畑が広がる所だったが、都心から近いという事もあったし、過疎地でもないので俺はその日のうちに契約した。
その後からがドタバタだった。オーナーに辞める事を伝えたが、泣きながら説得されたけど料理長という名前ばかりの役職で、給料もクソ安いまま働かされてた事もあって、俺は心を鬼にして一か月後に辞める事をなんとか渋々認めてもらえた。
辞めるまでの一か月間は副料理長への引継ぎや、休みの日を利用して知り合いの改装業者との話し合いをしながら過ごしていた。
そして一か月後、俺の夢の古民家に足を踏み入れていた。
「ここから俺の夢が始まるんだな――よしッ!!まずは片付けから始めるか!」
この古民家は物を自分で片づけるという条件で相場より格安で買えたんだけど、内見した時はそこまで物はなかったし一人で片づけられると思っていた。
早朝から始めた掃除だけどゴミなんかも捨てる物もそこまでなくて、夕方位には全部終わった。
「あーッ!!終わった…。なんだかこんなにガッツリ掃除なんてした事ないから腰が痛い――あれ?」
掃除が終わって寝転んでた時に俺は違和感を覚えた。廊下の先の行き止まりになっている壁が他の壁とは色が違うというか、真新しい壁の色をしていた。
「あれ?なんでこんな分かりやすいのに内見の時に気付かなかったんだ?」
その壁が無性に気になり、とりあえず壁を叩いてみたらやっぱり他の壁と返ってくる音が違う。
暫くどうしようかと考えたけど、どうせ後から改装するしこの向こうにある空間が気になった俺はハンマーを持ってきて壁を壊してみる事にした。
壁が薄かったからなのか、意外と簡単に穴が空いた。徐々に穴が広がっていった先に見えたのは1つの扉だった。
「なんだこれ?不動産屋からは何も言われてないんだけど」近づいてみると扉は引き戸になっているみたいで、錆付いた鎖と壊れた南京錠が床に落ちていてすごい不気味だった。
とりあえず不動産屋に確認してみようと電話をかけてみたんだけど、担当の営業マンには繋がらなかった。
折り返しを待つかどうかで悩んでた俺だけど、確認だけしてみるかと思って扉を引いてしまった。
扉の先は真っ暗――というより真っ黒で、携帯の明かりを付けようとポケットにしまっている携帯を取り出そうとしたら、不動産屋から電話がかかってきた。
「うわッ!!びっくりした…。もしもし?相田さんですか?東雲ですけど、ちょっと聞きたいことあるんですけど――」
「$%%*‘――ザッ―――ザッ――」
「あれ?ここそんな電波悪いのか?おかしいな――」
そう言いながら元来た道を帰ろうとした瞬間、俺の意識は無くなった。
◇
「あの物件を購入した人が失踪するって有名で全く売れなかったのに、相田先輩よくあの物件売れましたね。ちゃんと事故物件って事を購入者に話したんですか?」
「…別に誰かが死んだとかそういうわけじゃねぇんだから言わなくても問題はないって。大体そんなのたまたまに決まってるだろ?――そんな事言ってたら古民家購入者から電話来たよ。とりあえず1回シカトしよう」
「うわぁ…哀れな購入者。電話かかって来たって事はなんかあったんじゃないですか?入居って確か今日でしたよね?」
「流石にヤバいかな?はぁ…めんどくさいけど掛けなおすか。もしもし?相田ですけど、どうしましたか?あれ?もしもし?――なんか勝手に切れたんだけど…」
「先輩ヤバいんじゃないですか?一回、古民家を見に行った方がいいんじゃないですか?」
「いや、俺には電話は来てない――そういう事にしとこう。分かったな?」
「先輩最悪ッ!!まぁ俺は関係ないんで別に良いですけど、黙ってるかわりに晩飯奢ってくださいね!」
そんな俺が今何をしているのかと言うと、小さい頃からの夢である古民家レストランを開店させる為に物件を見て回ってるんだが、中々良い物件がない。
不動産を何件も見て回って内見もしたけど、安いけどボロボロ過ぎて改装するより、解体して新しいの作った方が安いんじゃね?といった物件や、人口三千人ほどの村の古民家を紹介されたり。
田舎の古民家とは言ったけど、流石にそこまでの田舎じゃなくてもうちょっと人が居てくれないと困るというか――せっかくオープンさせたのに人が来ないんじゃ俺が破綻しちまうし。
んー、俺の条件が厳しすぎるのか?そう思ってしまう程、紹介される物件は誰も買うわけないだろ!という位ひどい物件ばかりだった。
仕事も夜遅くに終わるから、休みの日にしか物件探しは出来ないし、どうしたもんかな、と思って高校からの友人に相談したらある不動産を紹介されたんだ。
早速次の休みにその不動産に行ってきたんだけど、紹介された物件が中々良い条件だったので早速内見をしてみることにした。
その物件の場所は俺が住んでる場所から車で一時間程の場所にあり、周りは田んぼや畑が広がる所だったが、都心から近いという事もあったし、過疎地でもないので俺はその日のうちに契約した。
その後からがドタバタだった。オーナーに辞める事を伝えたが、泣きながら説得されたけど料理長という名前ばかりの役職で、給料もクソ安いまま働かされてた事もあって、俺は心を鬼にして一か月後に辞める事をなんとか渋々認めてもらえた。
辞めるまでの一か月間は副料理長への引継ぎや、休みの日を利用して知り合いの改装業者との話し合いをしながら過ごしていた。
そして一か月後、俺の夢の古民家に足を踏み入れていた。
「ここから俺の夢が始まるんだな――よしッ!!まずは片付けから始めるか!」
この古民家は物を自分で片づけるという条件で相場より格安で買えたんだけど、内見した時はそこまで物はなかったし一人で片づけられると思っていた。
早朝から始めた掃除だけどゴミなんかも捨てる物もそこまでなくて、夕方位には全部終わった。
「あーッ!!終わった…。なんだかこんなにガッツリ掃除なんてした事ないから腰が痛い――あれ?」
掃除が終わって寝転んでた時に俺は違和感を覚えた。廊下の先の行き止まりになっている壁が他の壁とは色が違うというか、真新しい壁の色をしていた。
「あれ?なんでこんな分かりやすいのに内見の時に気付かなかったんだ?」
その壁が無性に気になり、とりあえず壁を叩いてみたらやっぱり他の壁と返ってくる音が違う。
暫くどうしようかと考えたけど、どうせ後から改装するしこの向こうにある空間が気になった俺はハンマーを持ってきて壁を壊してみる事にした。
壁が薄かったからなのか、意外と簡単に穴が空いた。徐々に穴が広がっていった先に見えたのは1つの扉だった。
「なんだこれ?不動産屋からは何も言われてないんだけど」近づいてみると扉は引き戸になっているみたいで、錆付いた鎖と壊れた南京錠が床に落ちていてすごい不気味だった。
とりあえず不動産屋に確認してみようと電話をかけてみたんだけど、担当の営業マンには繋がらなかった。
折り返しを待つかどうかで悩んでた俺だけど、確認だけしてみるかと思って扉を引いてしまった。
扉の先は真っ暗――というより真っ黒で、携帯の明かりを付けようとポケットにしまっている携帯を取り出そうとしたら、不動産屋から電話がかかってきた。
「うわッ!!びっくりした…。もしもし?相田さんですか?東雲ですけど、ちょっと聞きたいことあるんですけど――」
「$%%*‘――ザッ―――ザッ――」
「あれ?ここそんな電波悪いのか?おかしいな――」
そう言いながら元来た道を帰ろうとした瞬間、俺の意識は無くなった。
◇
「あの物件を購入した人が失踪するって有名で全く売れなかったのに、相田先輩よくあの物件売れましたね。ちゃんと事故物件って事を購入者に話したんですか?」
「…別に誰かが死んだとかそういうわけじゃねぇんだから言わなくても問題はないって。大体そんなのたまたまに決まってるだろ?――そんな事言ってたら古民家購入者から電話来たよ。とりあえず1回シカトしよう」
「うわぁ…哀れな購入者。電話かかって来たって事はなんかあったんじゃないですか?入居って確か今日でしたよね?」
「流石にヤバいかな?はぁ…めんどくさいけど掛けなおすか。もしもし?相田ですけど、どうしましたか?あれ?もしもし?――なんか勝手に切れたんだけど…」
「先輩ヤバいんじゃないですか?一回、古民家を見に行った方がいいんじゃないですか?」
「いや、俺には電話は来てない――そういう事にしとこう。分かったな?」
「先輩最悪ッ!!まぁ俺は関係ないんで別に良いですけど、黙ってるかわりに晩飯奢ってくださいね!」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について
国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”
人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる