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1章 孤独との闘い
六品目 魚のアラ汁
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「んー‥‥‥やっぱりなんかおかしいよな」
最近なんだか身体がおかしいんだよ。身体がおかしいとは言っても別に体調が悪いとか、美味しい物ばっかり食べてるから太ったとかそんなんじゃないぞ?
まぁノワルとゴマに出会ってから、確かに肉料理を食べる事は多くなったけど、栄養が偏らないようにちゃんと野菜も食べるようにしてるしなんだったら、ゴマとの遊びで運動だってしてる。そんなゴマは最近フリスビーがお気に入りだ。
ゴマは多分、ネコ科だとは思うんだけどフリスビーを投げると喜んで取りにいくんだよ。何回もやらされるから俺の腕が痛い。
話が逸れちまったけど、この間釣りに行った時にパンパンまで詰めたクーラーボックスを持った時に感じたんだけど、余裕で持てたんだよ。多分なんだかんだ50キロくらいはあったと思う。
ゴマとのフリスビー遊びもそんなに力を入れてないのに、遠くまでフリスビーが飛んでくし。あれ?俺こんなに力あったっけ?って思う事が最近多くなってきてさ。
別に今の所、得をする事はあっても損する事はないから良いっちゃ良いんだけど。まぁ気にしなくてもいいのか?
そうだった。そんな事考えてる暇が俺にはないんだった。この数日間、魚ばっかり取ってくるノワル達のせいで崖の上に行けないでいたから、今日こそは行くぞ。
その洞窟の中がどんな風になってるか分からないけど、探索するのに時間がかかりそうと思ったらキリの良い所で戻る感じで良いかな。
そんなわけで俺はまだ暗い中、ノワルとゴマが爆睡してる隙に朝ごはんと昼に俺が食べるお弁当を作ろうと思う。
朝食のメニューは魚のアラ汁を作って後はサラダ、目玉焼きと焼き魚をオカズにして白飯を食おうと思う。
まずは昨日から大量に残ってる魚の骨から出し汁を取っていこう。昨日のうちに血合いなんかを取り除いて綺麗にしておいたから、このまんま鍋にドボンだ。
ノワルとゴマが乱獲してきた魚は臭みがないからやんなかったけど、もしスーパーとかに良く置いてあるアラ汁用のやつは一回、80℃くらいのお湯に軽く入れてあげると臭みなんかが取れるからやった方がいいぞ。
鍋のお湯が沸騰してきたら、火を弱くしてあげて時間をかけてゆっくりと魚の旨みを出していくのがポイントだ。この時はこまめに灰汁を取っていこうな。
魚の目が白くなって脂で汁の色が変わってきたらもう魚の出汁が出ているから、こうなったら濾し器なんかで汁とアラを一旦分けて、食べれない骨なんかはここでお役御免だから捨てて、魚の身が付いてるアラなんかを器に盛っておこう。
後は出汁を沸かしてそこに味噌を溶かしてあげてアラを入れてる器に注ぐ。最後に水にさらしてぬめりを取っておいた細く切った白ネギをたっぷりと乗せれば【魚のアラ汁】完成ッ!!
Gruuuu‥‥‥腹の音が聞こえてきたから後ろを見るとノワル達は料理の匂いに釣られて起きて来たみたいだ。
「おはよう。まだ暗いのに起こしちゃったな。そりゃこんな暴力的なまでの香りを嗅いじゃったら起きちゃうか」
ノワル達は早く食わせてというようにベロベロ顔を舐めてくるけど、まだ全部出来てないからと言ってもう少しだけ待ってもらう。
その後は昨日の夜に食べきれなかった魚を全部焼き魚にして目玉焼きとサラダを器に盛って出来上がり。
「もう準備出来たから朝食にしようか」俺が朝食の準備が出来た頃にはもう朝日が昇っていてノワル達はガツガツと食べていた。
俺もノワル達に全部食べられないうちにさっさと食べるか。いただきます。
ふぁ‥‥‥うますぎ。何種類かのアラで出汁を取ったのもあるけど、一口汁を飲むごとに魚の出汁がそれぞれ主張してきてるな。かと言ってそれぞれが主張しすぎないで丁度良い感じに味が纏まってる。これに米入れて食べても絶対に美味いな。
そしてこの味噌汁を飲んだ安心感よ。朝起きて母さんが作ってくれた味噌汁を思い出すわ。
最後まで汁をしっかり飲み切り、朝食を終えた俺はお弁当を作る事にした。と言ってもお握りを握るだけなんだけどな。
◇
お弁当の準備も出来た俺は、ノワル達と一緒に崖の上に行くことにした。
途中で先住者が居た洞穴に寄って一応日記に洞窟に探索することを記してから向かう。この時俺は完全に忘れていた。崖の上を縄張りにしてる大蛇の事を‥‥‥。
それに気づいたのは崖の上を登ろうとした時だった。森の中は動物達が通っているであろう道と呼べるか疑問に思えるような位の獣道があるんだけど、崖の上にはくっきりと道と呼べるものがあった。
2人の大人が手を両手に伸ばしても余裕なくらいの道幅。崖の道は明らかに何か大きな者が這って出来たように思えた。
「完全に今の今まで忘れてたわ。この上には大蛇が居るって日記に書いてたな。ノワル、この上に行っても大丈夫かな?」
俺の不安に気付いてるのかどうか分からないけど、ノワルは何してんの?早く行くぞ。といった感じで俺の身体を尻尾で押してくる。
まさかノワルが大蛇に気付いてないなんて事はないと思うし、大丈夫ってことか?
少し不安だったけどノワルが何とかしてくれると、自分に言い聞かせながら山道を登って行った。
少しすると山の頂上に着いた。そこは、広い空間で木や草などは一切生えていなかった。そこで俺は初めてこの目で大蛇を見た。
とぐろを巻いている蛇の黒々とした体表が、光を浴びてキラキラと光っている。山頂の入り口から大蛇までの距離は結構あるのに、それでもでかいという事は分かった。
蛇なんてコンクリートジャングルの都会ではそうそう見る機会なんてない俺でも、あんなでかい蛇を見るのは初めてだった。物怖じしてる俺を気にする素振りも見せずにノワルとゴマは中央に陣取っている大蛇の方に向かっていく。
「お、おい。大丈夫なのかよ?」不安がる俺を呆れたようにため息を吐いたかと思うと、俺の背負ってるリュックを口で掴んで自分の背に放り投げられた。
「うおッ!!危なッ!!」慌ててノワルの背中に抱き着くようにしがみ付いた俺を確認すると、そのまま大蛇の方にスタスタと歩いていく。
大蛇の方に隠れもしないで向かっていけば勿論、大蛇もこっちに気付くわけで、もぞもぞと動き出した。今まではとぐろを巻いていたから蛇の顔は見えなかったけど、俺達が近づくと顔をこちらに向けてきた。
爬虫類特有の目をしていて舌をチロチロと出しながらこっちをジッと見てる。もし俺がノワルの背中に乗っていなかったら、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなっていたと思う。その位の迫力はあった。
そんな状態の俺を無視していつの間にか大蛇と俺達の距離は1メートル位の所で止まった。怖かったけど、薄目を開けて大蛇を見るとノワルの方を見ながら舌をチロチロと出して頭を左右に振っていた。
なんか会話をしてるのか?そう思いながら見ていると、急に俺の方を見たかと思うと、俺に顔を寄せて細い目をしながら口を開けて、ユラユラと頭を左右に振ってた。
「ヒィッ!!」食われる!!と思った俺は思わず悲鳴を上げちまったけど、いつまでたっても衝撃が襲ってこなかったのでゆっくり目を開けた。
そこには未だに蛇の顔はあるものの、俺を襲ってくる気配はなかった。背中越しでも伝わる位ノワルのため息がして、なんだか凄い呆れているようだった。
ノワルのため息のお陰で少し冷静になった俺は、この蛇は俺を襲うつもりはなくてただ俺に興味を持ってるという事がなんとなくだけど分かった。
「え、えーと‥‥‥俺は信って言うんだ。よろしくな?」
一応ノワル達も言葉が分かるらしいから、この大蛇も理解するかもと思ってたどたどしい挨拶をしてみると、大蛇は頭のてっぺんをおれに押し付けてきた。
大蛇的には軽くやったつもりなんだろうけど、俺はあまりの衝撃でノワルの背中から転げ落ちた。
「いてて」背中から地面に強打したにもかかわらず、この位の痛みで済んでる事を少し疑問に思いながらも起きあがって見ると、大蛇は口を開けていてなんだか笑っているように見えた。
まぁ勿論まだ怖いから文句は言えなかったんだけどさ。
とりあえず敵意はないみたいだし、この蛇が食べるかどうか分からないけど昼に俺が食べる弁当である、焼きおにぎりを通行料替わりに蛇の目の前にだしてみた。
「これ、焼きおにぎりって言うんだけど良かったら食うか?」
蛇は不思議そうに俺の手の中にある焼きおにぎりを見てからパクンッと食べたかと思うと、美味しかったのかどうか分からなかったけどとりあえず満足はしたみたいで、俺の身体に頭を押し付けてきた。
こうして見ると一軒家くらいはありそうな大蛇だけど、なんだか可愛く思えるな・・・蛇の頭を撫でてみると思いの他ヒンヤリとしていて気持ち良かった。
暫く大蛇と交流した後に蛇に洞窟の場所を聞くと、大蛇は知っていたようで案内してくれるようだった。
大蛇の後を付いていくと地面に大きな穴が空いていて、日記に書いてあった洞窟はこれなんだという事が見て分かった。
「ありがとな」大蛇に挨拶しながら洞窟の中に入って行くと、中は光ってるコケが壁に着いていて思いのほか明るかった。
一応ライトの準備とかしてきたけど、どうやら使わなくても済みそうだった。
人生初めての洞窟という事もあって、ちょっとだけテンションが上がってる俺を無視して、ノワル達はどんどん先に進んで行ってしまった。
こんな所で1人置き去りにされたくはなかったから慌てて走ってついて行った。この洞窟は斜めに1本道になっていて、身体がでかいノワルでも余裕で歩けるくらいには広かった。洞窟の中をキョロキョロと見回してる俺はノワル達が止まっていたことに気付かずに思いっきりぶつかった。
「いってて‥‥‥どうしたいきなり止まって‥‥‥ん?」
ノワル達に文句を言おうと正面を向くと、壁に寄りかかるように骸骨がもたれかかっていた。
まさか、2人目にこの世界に来た佐藤!?と思った俺は骸骨の近くに行った。近くで見ると比較的最近の造りのバックが肩から掛けられていて、服装とその中身を確認するとどうやら女の人である事が分かった。
少し派手で小さなポーチには化粧品などが入っており、比較的若い女性という事が分かる。他には日記帳が入っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
味噌汁作ろうと思って冷蔵庫開けたら味噌がないだとッ‥‥‥!?
泣きながら走って買ってきましたw
最近なんだか身体がおかしいんだよ。身体がおかしいとは言っても別に体調が悪いとか、美味しい物ばっかり食べてるから太ったとかそんなんじゃないぞ?
まぁノワルとゴマに出会ってから、確かに肉料理を食べる事は多くなったけど、栄養が偏らないようにちゃんと野菜も食べるようにしてるしなんだったら、ゴマとの遊びで運動だってしてる。そんなゴマは最近フリスビーがお気に入りだ。
ゴマは多分、ネコ科だとは思うんだけどフリスビーを投げると喜んで取りにいくんだよ。何回もやらされるから俺の腕が痛い。
話が逸れちまったけど、この間釣りに行った時にパンパンまで詰めたクーラーボックスを持った時に感じたんだけど、余裕で持てたんだよ。多分なんだかんだ50キロくらいはあったと思う。
ゴマとのフリスビー遊びもそんなに力を入れてないのに、遠くまでフリスビーが飛んでくし。あれ?俺こんなに力あったっけ?って思う事が最近多くなってきてさ。
別に今の所、得をする事はあっても損する事はないから良いっちゃ良いんだけど。まぁ気にしなくてもいいのか?
そうだった。そんな事考えてる暇が俺にはないんだった。この数日間、魚ばっかり取ってくるノワル達のせいで崖の上に行けないでいたから、今日こそは行くぞ。
その洞窟の中がどんな風になってるか分からないけど、探索するのに時間がかかりそうと思ったらキリの良い所で戻る感じで良いかな。
そんなわけで俺はまだ暗い中、ノワルとゴマが爆睡してる隙に朝ごはんと昼に俺が食べるお弁当を作ろうと思う。
朝食のメニューは魚のアラ汁を作って後はサラダ、目玉焼きと焼き魚をオカズにして白飯を食おうと思う。
まずは昨日から大量に残ってる魚の骨から出し汁を取っていこう。昨日のうちに血合いなんかを取り除いて綺麗にしておいたから、このまんま鍋にドボンだ。
ノワルとゴマが乱獲してきた魚は臭みがないからやんなかったけど、もしスーパーとかに良く置いてあるアラ汁用のやつは一回、80℃くらいのお湯に軽く入れてあげると臭みなんかが取れるからやった方がいいぞ。
鍋のお湯が沸騰してきたら、火を弱くしてあげて時間をかけてゆっくりと魚の旨みを出していくのがポイントだ。この時はこまめに灰汁を取っていこうな。
魚の目が白くなって脂で汁の色が変わってきたらもう魚の出汁が出ているから、こうなったら濾し器なんかで汁とアラを一旦分けて、食べれない骨なんかはここでお役御免だから捨てて、魚の身が付いてるアラなんかを器に盛っておこう。
後は出汁を沸かしてそこに味噌を溶かしてあげてアラを入れてる器に注ぐ。最後に水にさらしてぬめりを取っておいた細く切った白ネギをたっぷりと乗せれば【魚のアラ汁】完成ッ!!
Gruuuu‥‥‥腹の音が聞こえてきたから後ろを見るとノワル達は料理の匂いに釣られて起きて来たみたいだ。
「おはよう。まだ暗いのに起こしちゃったな。そりゃこんな暴力的なまでの香りを嗅いじゃったら起きちゃうか」
ノワル達は早く食わせてというようにベロベロ顔を舐めてくるけど、まだ全部出来てないからと言ってもう少しだけ待ってもらう。
その後は昨日の夜に食べきれなかった魚を全部焼き魚にして目玉焼きとサラダを器に盛って出来上がり。
「もう準備出来たから朝食にしようか」俺が朝食の準備が出来た頃にはもう朝日が昇っていてノワル達はガツガツと食べていた。
俺もノワル達に全部食べられないうちにさっさと食べるか。いただきます。
ふぁ‥‥‥うますぎ。何種類かのアラで出汁を取ったのもあるけど、一口汁を飲むごとに魚の出汁がそれぞれ主張してきてるな。かと言ってそれぞれが主張しすぎないで丁度良い感じに味が纏まってる。これに米入れて食べても絶対に美味いな。
そしてこの味噌汁を飲んだ安心感よ。朝起きて母さんが作ってくれた味噌汁を思い出すわ。
最後まで汁をしっかり飲み切り、朝食を終えた俺はお弁当を作る事にした。と言ってもお握りを握るだけなんだけどな。
◇
お弁当の準備も出来た俺は、ノワル達と一緒に崖の上に行くことにした。
途中で先住者が居た洞穴に寄って一応日記に洞窟に探索することを記してから向かう。この時俺は完全に忘れていた。崖の上を縄張りにしてる大蛇の事を‥‥‥。
それに気づいたのは崖の上を登ろうとした時だった。森の中は動物達が通っているであろう道と呼べるか疑問に思えるような位の獣道があるんだけど、崖の上にはくっきりと道と呼べるものがあった。
2人の大人が手を両手に伸ばしても余裕なくらいの道幅。崖の道は明らかに何か大きな者が這って出来たように思えた。
「完全に今の今まで忘れてたわ。この上には大蛇が居るって日記に書いてたな。ノワル、この上に行っても大丈夫かな?」
俺の不安に気付いてるのかどうか分からないけど、ノワルは何してんの?早く行くぞ。といった感じで俺の身体を尻尾で押してくる。
まさかノワルが大蛇に気付いてないなんて事はないと思うし、大丈夫ってことか?
少し不安だったけどノワルが何とかしてくれると、自分に言い聞かせながら山道を登って行った。
少しすると山の頂上に着いた。そこは、広い空間で木や草などは一切生えていなかった。そこで俺は初めてこの目で大蛇を見た。
とぐろを巻いている蛇の黒々とした体表が、光を浴びてキラキラと光っている。山頂の入り口から大蛇までの距離は結構あるのに、それでもでかいという事は分かった。
蛇なんてコンクリートジャングルの都会ではそうそう見る機会なんてない俺でも、あんなでかい蛇を見るのは初めてだった。物怖じしてる俺を気にする素振りも見せずにノワルとゴマは中央に陣取っている大蛇の方に向かっていく。
「お、おい。大丈夫なのかよ?」不安がる俺を呆れたようにため息を吐いたかと思うと、俺の背負ってるリュックを口で掴んで自分の背に放り投げられた。
「うおッ!!危なッ!!」慌ててノワルの背中に抱き着くようにしがみ付いた俺を確認すると、そのまま大蛇の方にスタスタと歩いていく。
大蛇の方に隠れもしないで向かっていけば勿論、大蛇もこっちに気付くわけで、もぞもぞと動き出した。今まではとぐろを巻いていたから蛇の顔は見えなかったけど、俺達が近づくと顔をこちらに向けてきた。
爬虫類特有の目をしていて舌をチロチロと出しながらこっちをジッと見てる。もし俺がノワルの背中に乗っていなかったら、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなっていたと思う。その位の迫力はあった。
そんな状態の俺を無視していつの間にか大蛇と俺達の距離は1メートル位の所で止まった。怖かったけど、薄目を開けて大蛇を見るとノワルの方を見ながら舌をチロチロと出して頭を左右に振っていた。
なんか会話をしてるのか?そう思いながら見ていると、急に俺の方を見たかと思うと、俺に顔を寄せて細い目をしながら口を開けて、ユラユラと頭を左右に振ってた。
「ヒィッ!!」食われる!!と思った俺は思わず悲鳴を上げちまったけど、いつまでたっても衝撃が襲ってこなかったのでゆっくり目を開けた。
そこには未だに蛇の顔はあるものの、俺を襲ってくる気配はなかった。背中越しでも伝わる位ノワルのため息がして、なんだか凄い呆れているようだった。
ノワルのため息のお陰で少し冷静になった俺は、この蛇は俺を襲うつもりはなくてただ俺に興味を持ってるという事がなんとなくだけど分かった。
「え、えーと‥‥‥俺は信って言うんだ。よろしくな?」
一応ノワル達も言葉が分かるらしいから、この大蛇も理解するかもと思ってたどたどしい挨拶をしてみると、大蛇は頭のてっぺんをおれに押し付けてきた。
大蛇的には軽くやったつもりなんだろうけど、俺はあまりの衝撃でノワルの背中から転げ落ちた。
「いてて」背中から地面に強打したにもかかわらず、この位の痛みで済んでる事を少し疑問に思いながらも起きあがって見ると、大蛇は口を開けていてなんだか笑っているように見えた。
まぁ勿論まだ怖いから文句は言えなかったんだけどさ。
とりあえず敵意はないみたいだし、この蛇が食べるかどうか分からないけど昼に俺が食べる弁当である、焼きおにぎりを通行料替わりに蛇の目の前にだしてみた。
「これ、焼きおにぎりって言うんだけど良かったら食うか?」
蛇は不思議そうに俺の手の中にある焼きおにぎりを見てからパクンッと食べたかと思うと、美味しかったのかどうか分からなかったけどとりあえず満足はしたみたいで、俺の身体に頭を押し付けてきた。
こうして見ると一軒家くらいはありそうな大蛇だけど、なんだか可愛く思えるな・・・蛇の頭を撫でてみると思いの他ヒンヤリとしていて気持ち良かった。
暫く大蛇と交流した後に蛇に洞窟の場所を聞くと、大蛇は知っていたようで案内してくれるようだった。
大蛇の後を付いていくと地面に大きな穴が空いていて、日記に書いてあった洞窟はこれなんだという事が見て分かった。
「ありがとな」大蛇に挨拶しながら洞窟の中に入って行くと、中は光ってるコケが壁に着いていて思いのほか明るかった。
一応ライトの準備とかしてきたけど、どうやら使わなくても済みそうだった。
人生初めての洞窟という事もあって、ちょっとだけテンションが上がってる俺を無視して、ノワル達はどんどん先に進んで行ってしまった。
こんな所で1人置き去りにされたくはなかったから慌てて走ってついて行った。この洞窟は斜めに1本道になっていて、身体がでかいノワルでも余裕で歩けるくらいには広かった。洞窟の中をキョロキョロと見回してる俺はノワル達が止まっていたことに気付かずに思いっきりぶつかった。
「いってて‥‥‥どうしたいきなり止まって‥‥‥ん?」
ノワル達に文句を言おうと正面を向くと、壁に寄りかかるように骸骨がもたれかかっていた。
まさか、2人目にこの世界に来た佐藤!?と思った俺は骸骨の近くに行った。近くで見ると比較的最近の造りのバックが肩から掛けられていて、服装とその中身を確認するとどうやら女の人である事が分かった。
少し派手で小さなポーチには化粧品などが入っており、比較的若い女性という事が分かる。他には日記帳が入っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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