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1章 孤独との闘い
九品目 キノコの醤油スパゲッティ
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「エルフ?」
「ボーッとしてないで早くその魔物から離れろッ!!」エルフの怒声で我に返った俺は状況を理解した。
「え‥‥‥いや、違うんだッ!ノワルは魔物だけど俺の友達なんだ!!」
「は?何を寝言を言っておるのだ貴様は。そのような強大なオーラを纏った魔物がテイムできるはずがないだろうッ!」
中々信じてくれないエルフに必死にノワルとゴマの事を説明したけど、まだ半信半疑のようだったけど構えていた弓をおろしてくれた。
「私を襲って来ないところを見ると貴様の話も全てが嘘というわけでもなさそうだな。それで人間である貴様がなぜ私たちの村の近くに居るのだ?」
「嘘は1つもついてないんだけどな。信じられないかもしれないけど‥‥‥」
俺がなんでこの森の中に居るかをエルフに説明すると、意外にも俺の話を否定する事なく最後まで聞いてくれた。
「なるほどな。貴様は迷い人だったか」
「迷い人?というか今更だけど自己紹介がまだだったな。俺はシンだ」
「確かに言われてみればそうだな。私はリーシアだ。シンがアイツと同じ迷い人とはな。確かにその平たい顔はアイツに良く似てる」
「アイツ?もしかして佐藤 雄二の事か?」
「確かそんな名前であったな。アイツの知り合いという事は伝えねばならぬ事がある。私達の村に寄ってもらわねばならなくなったな」
まさかのリーシアと2人目の転移者の佐藤が知り合いだったとは‥‥‥というか生きてたんだな。
佐藤がまだエルフの村に居るのかと思ったけど、もう佐藤は村を出ているみたいでエルフの村長に自分のような迷い人を見つけたら保護してくれるように頼んだらしい。
そういう事なら遠慮なくエルフの村に招待されることにするか。
「その魔物は本当に村で暴れないのだろうな?」
「大丈夫だって。魔物じゃなくて大きい方がノワルで小さい方がゴマだ」
「そうか。ならノワル達が安全かどうかだけ確認しても良いか?」
「触りたいって事か?それはノワルに聞いてくれよ」
「モフモフしたいわけではないッ!ただの安全確認をするだけだッ!」
リーシアがノワル達を触ってみたいと思ってる事はなんとなく分かっていたけど、本人は恥ずかしいのか否定しまくっていた。
「ノワルよ。その、触らせてもらってもよいか?」
ノワルはチラッと横目で見るとその場で横になってくれた。どうやらリーシアに触らせてあげるようだ。
「おぉ。美しい毛並みに加えてなんというモフモフ加減。一生触ってられそうだ。」
さっきまではクールで知的な美女だったけど、ノワルを触ってる姿は年頃の女の子のように見えてなんだか微笑ましかった。
いつまでもリーシアがノワルから離れないからなんとか説得して、リーシアは今ゴマの上に乗ってエルフの村に向かっているところだ。
俺達とリーシアが会った場所から30分程でエルフの村が見えてきた。この森には魔物がうじゃうじゃいるのに村は簡易的な柵と門がある程度で、疑問に思った俺はリーシアに聞いてみた。
なんでもエルフの村全体に幻影の魔法をかけているらしく、エルフが一緒にいないと人は勿論、魔物もこの村に辿り着くことはできないらしい。
「くれぐれもこの村で暴れたり問題行動をするんじゃないぞ?」
キリッとした顔で言ってるけどゴマの上でモフモフしながら言われてもな。
村に入るとそこにはエルフ達がたくさん居て、ギョッとした顔でこちらを見た後に警戒した様子の人が多かったけど、ゴマの上でモフモフしているリーシアを見てとりあえずは何もしてこなかった。
遠巻きにジロジロと見られて居心地が悪い状態のまま一軒の大きな家に着いた。
「少しここで待っていろ」
そう言われたので家の前で俺は待っていると家の中から若いお兄さんとリーシアが出て来た。
「君が娘が連れてきた迷い人だね?申し訳ないが、この通り家は狭くてね。お連れの魔物は外で少し待っていてくれるかい?」
その言葉を聞いたノワルは家の前に寝転んで、ゴマはこの村が興味津々のようで見て回りたくてうずうずしているみたいだった。それよりもさ、
「娘!?てっきりお兄さんかと思いました」
「ははっ。そうか、人間にはそのように見えるんだったね。こう見えても君よりは年上だよ?ここで話すのもなんだから中へお上がりなさい」
リーシアは外で待ってると言うので2人で家の中に入った。多分ノワル達をモフモフしたいだけなんだろうな。
「申し遅れたね。僕はこの村の村長のアルフィリオン。さっきも言った通りリーシアの父親でもあるね」
「俺はシンって言います。リーシアから聞きましたけど俺と同じ迷い人がこの村に居たんですね」
「そうだね。僕が説明するよりもこれを読んだ方が早いかな」
アルフィリオンがそう言うと1冊のノートを俺に手渡してきた。ノートの中身を見ると日本語で無人島から脱出してからの事が書かれていた。
簡単に説明すると、
・無人島を脱出した佐藤は俺と同じように森を抜ける為に歩いていたけど、魔物達に襲われて逃げてるところをルーフェルトに助けられた。
・エルフの村で世話になり、魔物と戦えるような力を付ける為に5年位訓練していた。
・自分のような犠牲者を出さないようにあの無人島を探しだす旅に出る。
・絶対にララノアには手を出すな。
「という事は佐藤はあの無人島を探す旅に出たのか‥‥‥すいません、ララノアに手を出すなってどういう事?」
「ララノアは僕の姉だよ。君が迷い人と疑ってるわけではなかったけど、姉さんの名前が出てくるという事はそのノートを読めたという事なんだね。僕にはなんて書いてるのかさっぱり分からなくてさ。ユウジ君は姉さんの事が好きだからね。今でも数年に1回はこの村に戻って来て姉さんの事を口説いてるよ」
しっかり佐藤は異世界を満喫してるんだな。
「さてシン君、君はこの後どうするつもりなんだい?」
「俺はまずはこの森を出て人間の町に行こうと思います。俺は料理人で元々はレストランを開業しようとしてたんですけど、佐藤は俺達の様な迷い人を救うために行動してる・・・本当に自分のしたい事をしていいのか分からなくなりました。俺にも何かできるんじゃないかって」
「んー、そんなに難しく考える必要はないんじゃないかな?人にはそれぞれ得手不得手がある。ユウジ君は姉さんに鍛えられたから戦う事が得意になったのであって、シン君は料理人なのだろう?料理人の君にしかできない事がきっとあるはずだよ」
「俺にしか出来ない事‥‥‥?」
「うん。例えば僕たちに料理を振舞ってくれるとかね。僕たちエルフは基本的には魔物の肉を食べないんだよ。だから自分たちで作っている野菜やキノコなんかが主食になるんだ。エルフは長生きだからね‥‥‥何百年も同じような料理ばかり食べてきたから僕たちは料理を食べる喜びなんかを忘れてしまってね、今じゃ生きる為にただ食べてるのが現状なんだよ。もし良ければ僕たちに料理を作ってくれないか?」
ただ生きる為に食事をするか‥‥‥。なんというか少し勿体ないな。
「んー‥‥‥分かりました。エルフの皆さんに喜んでもらえるような料理を作ってみせます!」
「ははっ。ありがとう。早速だけど僕たちの食糧庫に行こうか」
俺達が食糧庫に向かうために家の外に出ると、リーシアは横になっているノワルに身体を埋めていた。ノワルは迷惑そうな顔をしてなんとかしろと言ってるみたいだった。
「あぁッ!なんという気持ち良さ。ずっとこうしていたい」
「リーシア。そんなだらしのない顔をして‥‥‥ノワルも困ってますよ?」
「ハッ!?お父様これは違うんですよ。私なりの挨拶というか、その‥‥‥」
「はぁ。もういいです。シン君が僕たちに料理を振舞ってくれる事になりました。皆に今日の夕飯は広場で食べるという事を伝えてきてもらえるかな?」
ハイッ!と元気な返事をして悪戯が見つかった子供のように逃げていく姿を見て苦笑いをした俺達はノワル達と一緒に食糧庫に向かった。
「ここが食糧庫だよ。この中の物を使って料理を作ってほしいんだけど頼めるかな?」
「思ったより種類があるんですね」
見たことのない野菜やキノコがたくさんあったからアルフィリオンに質問しながら今日の夕飯のメニューを決めていく。その食糧庫の中で俺はある物を見つけた。
「これって、パスタですか?」
「それはユウジ君が珍しい物を見つけたとか言って持ってきてくれたものだね。食べ方が良く分からないからそのままにしてたよ」
パスタを見た時に今日の夕飯のメニューが決まった。色々な種類のキノコを使った『キノコたっぷりバター醤油スパゲティ』を作ろう。
早速調理場に連れて行ってもらって今日の夕飯の準備をする。この村にいるエルフは100人程らしく食糧庫にあるパスタだけでは足りなかったから魔石で調達しておく。俺一人では100人前のパスタを作るのは時間がかかるし、何より冷めてしまうから料理ができるらしいリーシアとアルフィリオンに手伝ってもらう事にした。
2人にはキノコの処理とパスタを茹でてもらう事にして、後は俺が全部やる事にした。
まずは大葉のような香りをした物を千切りにしておくのと、パスタを茹でるお湯を準備しておこう。
パスタが茹で上がるのを待つ間に4種類のキノコのいしづきを切り落とし、手でキノコを一口で食べれるくらいまで裂いていく。ちなみにエルフの村にあったキノコは地球でいうところのシメジ、まいたけ、エノキ、エリンギに似たキノコだった。
フライパンにバターを入れて溶けたらキノコを炒めていく。キノコがしんなりとしてきたら醤油と塩コショウで自分好みになるまで味付けをする。
今回エルフは基本薄味を好むらしいから、少し薄めに味付けしておくか。
後は茹で上がったパスタをキノコを炒めていたフライパンに入れて、軽く炒めたら完成だッ!
器に盛りつけてその上からあればでいいんだけど大葉を乗せればより美味しくなるんだよな。
「地球のキノコより格段にいい香りがするな‥‥‥臭いをかんでるだけで口の中にヨダレがたまってくわ。」
「なるほど、パスタはこうやって作るんだね。それにしても凄く美味しそうだね」
「お父様。私達の口に合うか味見をした方が良いと思われますッ!!」
ただ食べたいだけであるリーシアの言葉だったけど、思ってることは3人一緒だったらしく味見をすることにした。
「美味い。キノコがプリップリで噛むたびにキノコの香りが口の中に広がってくわ。キノコの王様松茸でさえも、このキノコの前では霞んで見えるな」
「このような料理を始めて食べましたけど、パスタにキノコの香りが良い感じについていて美味しいですね」
「‥‥‥」
リーシアだけは無言でガツガツ食べていたけど、どうやらエルフにもパスタは好評のようで安心したな。
その後は3人でパスタを永遠と作った。パスタを食べたエルフの皆も美味しいと言って喜んでくれてたし、その笑顔を見ると作って良かったなと思えるよな。
その後俺は、パスタを食べたエルフの奥さん方からパスタ料理の作り方を教えてほしいと言われたので暫くこの村に滞在して色々な料理を教えてあげることになった。
「ボーッとしてないで早くその魔物から離れろッ!!」エルフの怒声で我に返った俺は状況を理解した。
「え‥‥‥いや、違うんだッ!ノワルは魔物だけど俺の友達なんだ!!」
「は?何を寝言を言っておるのだ貴様は。そのような強大なオーラを纏った魔物がテイムできるはずがないだろうッ!」
中々信じてくれないエルフに必死にノワルとゴマの事を説明したけど、まだ半信半疑のようだったけど構えていた弓をおろしてくれた。
「私を襲って来ないところを見ると貴様の話も全てが嘘というわけでもなさそうだな。それで人間である貴様がなぜ私たちの村の近くに居るのだ?」
「嘘は1つもついてないんだけどな。信じられないかもしれないけど‥‥‥」
俺がなんでこの森の中に居るかをエルフに説明すると、意外にも俺の話を否定する事なく最後まで聞いてくれた。
「なるほどな。貴様は迷い人だったか」
「迷い人?というか今更だけど自己紹介がまだだったな。俺はシンだ」
「確かに言われてみればそうだな。私はリーシアだ。シンがアイツと同じ迷い人とはな。確かにその平たい顔はアイツに良く似てる」
「アイツ?もしかして佐藤 雄二の事か?」
「確かそんな名前であったな。アイツの知り合いという事は伝えねばならぬ事がある。私達の村に寄ってもらわねばならなくなったな」
まさかのリーシアと2人目の転移者の佐藤が知り合いだったとは‥‥‥というか生きてたんだな。
佐藤がまだエルフの村に居るのかと思ったけど、もう佐藤は村を出ているみたいでエルフの村長に自分のような迷い人を見つけたら保護してくれるように頼んだらしい。
そういう事なら遠慮なくエルフの村に招待されることにするか。
「その魔物は本当に村で暴れないのだろうな?」
「大丈夫だって。魔物じゃなくて大きい方がノワルで小さい方がゴマだ」
「そうか。ならノワル達が安全かどうかだけ確認しても良いか?」
「触りたいって事か?それはノワルに聞いてくれよ」
「モフモフしたいわけではないッ!ただの安全確認をするだけだッ!」
リーシアがノワル達を触ってみたいと思ってる事はなんとなく分かっていたけど、本人は恥ずかしいのか否定しまくっていた。
「ノワルよ。その、触らせてもらってもよいか?」
ノワルはチラッと横目で見るとその場で横になってくれた。どうやらリーシアに触らせてあげるようだ。
「おぉ。美しい毛並みに加えてなんというモフモフ加減。一生触ってられそうだ。」
さっきまではクールで知的な美女だったけど、ノワルを触ってる姿は年頃の女の子のように見えてなんだか微笑ましかった。
いつまでもリーシアがノワルから離れないからなんとか説得して、リーシアは今ゴマの上に乗ってエルフの村に向かっているところだ。
俺達とリーシアが会った場所から30分程でエルフの村が見えてきた。この森には魔物がうじゃうじゃいるのに村は簡易的な柵と門がある程度で、疑問に思った俺はリーシアに聞いてみた。
なんでもエルフの村全体に幻影の魔法をかけているらしく、エルフが一緒にいないと人は勿論、魔物もこの村に辿り着くことはできないらしい。
「くれぐれもこの村で暴れたり問題行動をするんじゃないぞ?」
キリッとした顔で言ってるけどゴマの上でモフモフしながら言われてもな。
村に入るとそこにはエルフ達がたくさん居て、ギョッとした顔でこちらを見た後に警戒した様子の人が多かったけど、ゴマの上でモフモフしているリーシアを見てとりあえずは何もしてこなかった。
遠巻きにジロジロと見られて居心地が悪い状態のまま一軒の大きな家に着いた。
「少しここで待っていろ」
そう言われたので家の前で俺は待っていると家の中から若いお兄さんとリーシアが出て来た。
「君が娘が連れてきた迷い人だね?申し訳ないが、この通り家は狭くてね。お連れの魔物は外で少し待っていてくれるかい?」
その言葉を聞いたノワルは家の前に寝転んで、ゴマはこの村が興味津々のようで見て回りたくてうずうずしているみたいだった。それよりもさ、
「娘!?てっきりお兄さんかと思いました」
「ははっ。そうか、人間にはそのように見えるんだったね。こう見えても君よりは年上だよ?ここで話すのもなんだから中へお上がりなさい」
リーシアは外で待ってると言うので2人で家の中に入った。多分ノワル達をモフモフしたいだけなんだろうな。
「申し遅れたね。僕はこの村の村長のアルフィリオン。さっきも言った通りリーシアの父親でもあるね」
「俺はシンって言います。リーシアから聞きましたけど俺と同じ迷い人がこの村に居たんですね」
「そうだね。僕が説明するよりもこれを読んだ方が早いかな」
アルフィリオンがそう言うと1冊のノートを俺に手渡してきた。ノートの中身を見ると日本語で無人島から脱出してからの事が書かれていた。
簡単に説明すると、
・無人島を脱出した佐藤は俺と同じように森を抜ける為に歩いていたけど、魔物達に襲われて逃げてるところをルーフェルトに助けられた。
・エルフの村で世話になり、魔物と戦えるような力を付ける為に5年位訓練していた。
・自分のような犠牲者を出さないようにあの無人島を探しだす旅に出る。
・絶対にララノアには手を出すな。
「という事は佐藤はあの無人島を探す旅に出たのか‥‥‥すいません、ララノアに手を出すなってどういう事?」
「ララノアは僕の姉だよ。君が迷い人と疑ってるわけではなかったけど、姉さんの名前が出てくるという事はそのノートを読めたという事なんだね。僕にはなんて書いてるのかさっぱり分からなくてさ。ユウジ君は姉さんの事が好きだからね。今でも数年に1回はこの村に戻って来て姉さんの事を口説いてるよ」
しっかり佐藤は異世界を満喫してるんだな。
「さてシン君、君はこの後どうするつもりなんだい?」
「俺はまずはこの森を出て人間の町に行こうと思います。俺は料理人で元々はレストランを開業しようとしてたんですけど、佐藤は俺達の様な迷い人を救うために行動してる・・・本当に自分のしたい事をしていいのか分からなくなりました。俺にも何かできるんじゃないかって」
「んー、そんなに難しく考える必要はないんじゃないかな?人にはそれぞれ得手不得手がある。ユウジ君は姉さんに鍛えられたから戦う事が得意になったのであって、シン君は料理人なのだろう?料理人の君にしかできない事がきっとあるはずだよ」
「俺にしか出来ない事‥‥‥?」
「うん。例えば僕たちに料理を振舞ってくれるとかね。僕たちエルフは基本的には魔物の肉を食べないんだよ。だから自分たちで作っている野菜やキノコなんかが主食になるんだ。エルフは長生きだからね‥‥‥何百年も同じような料理ばかり食べてきたから僕たちは料理を食べる喜びなんかを忘れてしまってね、今じゃ生きる為にただ食べてるのが現状なんだよ。もし良ければ僕たちに料理を作ってくれないか?」
ただ生きる為に食事をするか‥‥‥。なんというか少し勿体ないな。
「んー‥‥‥分かりました。エルフの皆さんに喜んでもらえるような料理を作ってみせます!」
「ははっ。ありがとう。早速だけど僕たちの食糧庫に行こうか」
俺達が食糧庫に向かうために家の外に出ると、リーシアは横になっているノワルに身体を埋めていた。ノワルは迷惑そうな顔をしてなんとかしろと言ってるみたいだった。
「あぁッ!なんという気持ち良さ。ずっとこうしていたい」
「リーシア。そんなだらしのない顔をして‥‥‥ノワルも困ってますよ?」
「ハッ!?お父様これは違うんですよ。私なりの挨拶というか、その‥‥‥」
「はぁ。もういいです。シン君が僕たちに料理を振舞ってくれる事になりました。皆に今日の夕飯は広場で食べるという事を伝えてきてもらえるかな?」
ハイッ!と元気な返事をして悪戯が見つかった子供のように逃げていく姿を見て苦笑いをした俺達はノワル達と一緒に食糧庫に向かった。
「ここが食糧庫だよ。この中の物を使って料理を作ってほしいんだけど頼めるかな?」
「思ったより種類があるんですね」
見たことのない野菜やキノコがたくさんあったからアルフィリオンに質問しながら今日の夕飯のメニューを決めていく。その食糧庫の中で俺はある物を見つけた。
「これって、パスタですか?」
「それはユウジ君が珍しい物を見つけたとか言って持ってきてくれたものだね。食べ方が良く分からないからそのままにしてたよ」
パスタを見た時に今日の夕飯のメニューが決まった。色々な種類のキノコを使った『キノコたっぷりバター醤油スパゲティ』を作ろう。
早速調理場に連れて行ってもらって今日の夕飯の準備をする。この村にいるエルフは100人程らしく食糧庫にあるパスタだけでは足りなかったから魔石で調達しておく。俺一人では100人前のパスタを作るのは時間がかかるし、何より冷めてしまうから料理ができるらしいリーシアとアルフィリオンに手伝ってもらう事にした。
2人にはキノコの処理とパスタを茹でてもらう事にして、後は俺が全部やる事にした。
まずは大葉のような香りをした物を千切りにしておくのと、パスタを茹でるお湯を準備しておこう。
パスタが茹で上がるのを待つ間に4種類のキノコのいしづきを切り落とし、手でキノコを一口で食べれるくらいまで裂いていく。ちなみにエルフの村にあったキノコは地球でいうところのシメジ、まいたけ、エノキ、エリンギに似たキノコだった。
フライパンにバターを入れて溶けたらキノコを炒めていく。キノコがしんなりとしてきたら醤油と塩コショウで自分好みになるまで味付けをする。
今回エルフは基本薄味を好むらしいから、少し薄めに味付けしておくか。
後は茹で上がったパスタをキノコを炒めていたフライパンに入れて、軽く炒めたら完成だッ!
器に盛りつけてその上からあればでいいんだけど大葉を乗せればより美味しくなるんだよな。
「地球のキノコより格段にいい香りがするな‥‥‥臭いをかんでるだけで口の中にヨダレがたまってくわ。」
「なるほど、パスタはこうやって作るんだね。それにしても凄く美味しそうだね」
「お父様。私達の口に合うか味見をした方が良いと思われますッ!!」
ただ食べたいだけであるリーシアの言葉だったけど、思ってることは3人一緒だったらしく味見をすることにした。
「美味い。キノコがプリップリで噛むたびにキノコの香りが口の中に広がってくわ。キノコの王様松茸でさえも、このキノコの前では霞んで見えるな」
「このような料理を始めて食べましたけど、パスタにキノコの香りが良い感じについていて美味しいですね」
「‥‥‥」
リーシアだけは無言でガツガツ食べていたけど、どうやらエルフにもパスタは好評のようで安心したな。
その後は3人でパスタを永遠と作った。パスタを食べたエルフの皆も美味しいと言って喜んでくれてたし、その笑顔を見ると作って良かったなと思えるよな。
その後俺は、パスタを食べたエルフの奥さん方からパスタ料理の作り方を教えてほしいと言われたので暫くこの村に滞在して色々な料理を教えてあげることになった。
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著者: よっしぃ
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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