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第10章 偶然で幸運な巡り合せ
No,114 それぞれの人間模様
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【これは現在のお話】
こんにちは、現在の理久です。
ここまで大学時代のお話をしてきましたが、少し整理します。
大学に入って6月。直ぐに亮ちゃんと付き合い始めました。
しかしその一年後、大学2年の同じく6月。僕は無惨にも亮ちゃんに振られてしまったのです。
僕にとって初めての幸せと思えた亮ちゃんとの蜜月も、丁度一年で終わってしまいました。
同時期、僕は宝塚を通してタッチと知り合い、その親友関係は今なお続いています。
そしてそのタッチの案内で訪れた二丁目の店 blue night で、たまたま居合わせたのがルカでした。
さらに一年後。大学3年になったばかりの4月。
雑誌の文通欄=ようするに今で言う「出会い系」で、偶然ルカと鉢合わせしました。
そこから僕達は
「ルカとキノちゃん」ではなく、本名の「ナッキーと理久」としての新たな友達付き合いが始まったのです。
僕とナッキーにとってその偶然はとても大きく、お互いの本名や住所だけでなく、同じ郷里の出身だった事まで明らかになりました。
僕達は単なる行き付けの店の常連同士から、互いの部屋にも行き来するほど親しい「友達」になったのです。
ならどうしてそれが「恋人」ではなかったか?
それはそう簡単にはいきません。
人間関係なんて、そんな単純なものじゃありません。
どうだろう?
恋愛って、まずどちらかが相手を好きになって、そして告白して開始するとか?
あるいは互いに好きになって、どちらからともなくキスから始まって動き出すとか?
僕とナッキーは知り合って一年近く、blue night で時折顔を合わせて世間話をする程度の仲でした。それ以上の進展は何も無かったのです。
ある日突然「出会い系」で偶然鉢合わせしたからと言って「それじゃあ、これを機会に付き合いますか?」となるほど、僕もナッキーも安直ではありませんでした。
むしろ僕は「友達」と言う存在の方が「恋人」よりも遥かに得難いものだと感じていました。
また「恋人」はいつか必ず別れる事になるけれど、「友達」はずっと付き合いが続くのだと感じていたのも事実です。
そう思わせる理由として、あんなに好きでも結局別れてしまった亮ちゃんと、恐らく宝塚を通してずっと付き合いが続くだろうタッチの存在が起因していたと思います。
それに僕は、ナッキーはずっと年上の、大人の人が好みなのだと思っていたし、それは間違いではなかった筈です。
もともと「文通欄」の数多い投稿の中から「クラシック音楽」と言う共通項で一致しました。
同じ趣味を楽しめるだなんて得難い事だし、僕とナッキーの関係は、互いのプライベートを知って急速に近しくなった「親友」と言うのが自然な流れだったのだと思います。
それにその頃、実は僕は既に、別の恋に身をやつしていました。
ナッキーと文通で改めて知り合う前に、僕はまたぞろ不毛な片思いにやきもきとしていたのです。
実はゲイ雑誌の文通欄を利用しようと思い立った理由のひとつに、そんな片想いに悶々とする日々を終わられたい!との強い思惑も確かにありました。
出会ったのがもしナッキーでなかったら──つまりその片想いを忘れさせてくれるような相手であったのなら、当時の僕はためらわずその人の元へ飛び込んで行ったのかも知れません。
いやはや、巡り合わせとは不思議なものです。結果として僕はナッキーと親友になり、その不毛な片想いはずるずると続くことになってしまいました。
それは大学のサークルの後輩でした。
──次回から、その不思議な後輩のお話を始めようと思います。
こんにちは、現在の理久です。
ここまで大学時代のお話をしてきましたが、少し整理します。
大学に入って6月。直ぐに亮ちゃんと付き合い始めました。
しかしその一年後、大学2年の同じく6月。僕は無惨にも亮ちゃんに振られてしまったのです。
僕にとって初めての幸せと思えた亮ちゃんとの蜜月も、丁度一年で終わってしまいました。
同時期、僕は宝塚を通してタッチと知り合い、その親友関係は今なお続いています。
そしてそのタッチの案内で訪れた二丁目の店 blue night で、たまたま居合わせたのがルカでした。
さらに一年後。大学3年になったばかりの4月。
雑誌の文通欄=ようするに今で言う「出会い系」で、偶然ルカと鉢合わせしました。
そこから僕達は
「ルカとキノちゃん」ではなく、本名の「ナッキーと理久」としての新たな友達付き合いが始まったのです。
僕とナッキーにとってその偶然はとても大きく、お互いの本名や住所だけでなく、同じ郷里の出身だった事まで明らかになりました。
僕達は単なる行き付けの店の常連同士から、互いの部屋にも行き来するほど親しい「友達」になったのです。
ならどうしてそれが「恋人」ではなかったか?
それはそう簡単にはいきません。
人間関係なんて、そんな単純なものじゃありません。
どうだろう?
恋愛って、まずどちらかが相手を好きになって、そして告白して開始するとか?
あるいは互いに好きになって、どちらからともなくキスから始まって動き出すとか?
僕とナッキーは知り合って一年近く、blue night で時折顔を合わせて世間話をする程度の仲でした。それ以上の進展は何も無かったのです。
ある日突然「出会い系」で偶然鉢合わせしたからと言って「それじゃあ、これを機会に付き合いますか?」となるほど、僕もナッキーも安直ではありませんでした。
むしろ僕は「友達」と言う存在の方が「恋人」よりも遥かに得難いものだと感じていました。
また「恋人」はいつか必ず別れる事になるけれど、「友達」はずっと付き合いが続くのだと感じていたのも事実です。
そう思わせる理由として、あんなに好きでも結局別れてしまった亮ちゃんと、恐らく宝塚を通してずっと付き合いが続くだろうタッチの存在が起因していたと思います。
それに僕は、ナッキーはずっと年上の、大人の人が好みなのだと思っていたし、それは間違いではなかった筈です。
もともと「文通欄」の数多い投稿の中から「クラシック音楽」と言う共通項で一致しました。
同じ趣味を楽しめるだなんて得難い事だし、僕とナッキーの関係は、互いのプライベートを知って急速に近しくなった「親友」と言うのが自然な流れだったのだと思います。
それにその頃、実は僕は既に、別の恋に身をやつしていました。
ナッキーと文通で改めて知り合う前に、僕はまたぞろ不毛な片思いにやきもきとしていたのです。
実はゲイ雑誌の文通欄を利用しようと思い立った理由のひとつに、そんな片想いに悶々とする日々を終わられたい!との強い思惑も確かにありました。
出会ったのがもしナッキーでなかったら──つまりその片想いを忘れさせてくれるような相手であったのなら、当時の僕はためらわずその人の元へ飛び込んで行ったのかも知れません。
いやはや、巡り合わせとは不思議なものです。結果として僕はナッキーと親友になり、その不毛な片想いはずるずると続くことになってしまいました。
それは大学のサークルの後輩でした。
──次回から、その不思議な後輩のお話を始めようと思います。
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