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第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP

No,260 夏生、理久を娶る

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「そうなんだ!!俺達はそう言うシステムだったんだ!」

 そしてオレはため息を吐いた。

「そう言うシステムだって気付くのに、15年もかかった……」


(長かったな、オレの15年……)


「もう、年下らしくしようとか、可愛がられようとか、無駄な努力は一切やめた。
これからは言いたい事を言って、やりたいようにする」

「ナッキー、なんだか素敵なんだけど……」

(ええ~っ?素敵なのか~?!
この強引な押しまくりが理久には素敵に思えるのか~っ?!
達也先生、大正解です!)

 理久が完全にその身体をオレにまかせてる。まばたきパチパチがいかにも姫だ。
 オレはそのパチパチの瞳を見詰めながらささやいた。達也先生の(うんと臭くね♪)を意識して。

「理久……だからもう、おまえに浮気はさせない」
「え?もう俺……浮気しなくてもいいの?」
 理久の声が、歓喜と期待に打ち震えてる。

「隼人と付き合っている間、理久はずっと不安だっただろ?
不安定な愛に怯えている時、理久はそれを解消してくれる相手を探してしまう。
でも、オレはそんな思いを絶対にさせない。もう、何も心配しなくていいんだ。
黙ってオレに抱かれてろ」

 オレは力一杯理久の身体を抱きしめた。
 オレはずっとこうしたかった。理久を、潰れるくらいに抱き締めたかった。

──理久の潤んだ瞳がキラキラと揺れる。

(こいつ、何を見てこんなにキラキラしてんだ?オレを見てこんなキラキラ、今までは無かったじゃないか)

「理久、オレはおまえと同じ生き方をする。だからおまえも、オレと同じ生き方をして欲しい」

「ナッキーは誰とも結婚しない?俺を一人にしない?」
 理久の声が震えてる。

「だから言ったろ?
同じ生き方をするって事は、オレ達が結婚するってことなんだ。
オレ達はずっと一緒さ」

「ナッキー……嬉しい……」

 理久の瞳に涙が溢れた。オレは勝利を噛み締めて、フッと不敵な笑みを浮かべてしまう。

「オレにここまで言わせておい
て、ただで済むとは思ってないよ
な?」

「うん……え?
……いや……はい……
…………キスして?ナッキー♡」

(あれ?……こんな娘役の台詞もどこかで聞いたぞ?
理久……もしかしておまえもか?おまえも演じてるのか?)

 まあいいや♡
 とにかくキスして?って言って
るんだからキスしちゃお♪

──理久をソファーに押し倒し、ゆっくりとその赤い唇を奪ってやった。



 さあ、ここからが肝心だ。

 理久は完全に夢見心地で青い鳥がクッククック~♪とか、お花畑がランランラン♪とか──ひとりでうっとりとつぶやいている。

 こいつはいつだってそうなんだ。自分の世界に陶酔すると全く周りが見えなくなる。
 この機に乗じてやる事をやって、取り敢えず理久をオレのものにしちゃうんだ!

 うんうん。
 全てはその後から──計画通りに行動開始だ!

 まずは亮さんと会って話をつける。
 理久の奴──ふらふらしていて目が離せない。
 放っておいたら淋しくなって、またぞろ亮さんの匂いをクンクンと嗅ぎに行ってしまう。
 釘刺くぎさしとかないと!

 それから急いで転職と引っ越しを力技でやり遂げて──なるべく近所で理久を事務所に閉じ込める。
 へんてこりんな虫が付かないように、しっかりと監視しなくちゃね。
 理久の奴、例によって優柔不断で八方美人だから、うっかり放っておくとまた直ぐ変なのに引っ掛かる。目の届くところに置いとかなきゃ安心できない。



 オレは理久の白い首筋に舌を這わせた。他の男には見せられないように、思いっ切りキスマークを付けてやる。

──こいつは
 オ・レ・の・も・の・だ!
(3箇所くらい付けてやれ!)

 それにしてもだ、臭い男役振りがここまで理久に有効だとは思わなかった。
 難攻不落の高嶺の姫だと思っていたのに、案外簡単だったんだな、理久──。
 全くもって、達也先生には頭が
上がらない。感謝──。


 理久はそんなオレの野望には全く気付かず、ニャンニャン♪ゴロゴロ♪とオレの胸の中で鼻を鳴らす。

(よ~し、たっぷりと可愛がってやるぞ理久、積年の想いをぶちかましてやる!)

 理久はもう、オレの手中から逃げられない……一生、いばらの事務所に閉じ込めてやる。がんじがらめだ。
──眠れる事務所の理久姫だ。

 いずれ髪もぼさぼさ、着た切りジャージに洒落っ気も無い、引き籠もりの仕事オヤジへと調教してやる。
 さもないとこいつ、直ぐに他の男に羽をバッサバッサとやらかすからな。
 見てろよ理久、ふっふっふ……


 あれ?なんか怖いぞ?
もしかしてオレってあぶない奴?


 気だるい秋の昼下り。
──時がゆっくりと流れて行った。


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