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第2章 インターハイ〜
第103話 暗雲
しおりを挟む残り8:32
星垓 76
豊誠学園 74
涼真が4点プレーからボーナススローを決め、一気に逆転。
山下「豊誠学園は今ビッグラインナップなのに…それでも外からあれだけ決められるなんてどんな心臓してるんでしょう北条君って…」
村上「それが北条だ」
山下「え…?」
村上「他の関係者や取材した記者からも聞いた話だが…あいつは生粋の負けず嫌いだ。相手が強ければ強い程、その真価を発揮する。
それだけならまあ、他にも似たプレイヤーはいるが…」
バシィッ!!
コートでは涼真が神崎のパスを弾く。
神崎玲太「なっ…?」
(こいつ…)
神崎玲太は右ウイングからトップの古沢にパスを出していた。
涼真は、神崎とゴールを結ぶ延長線上にいた。
そのため、このボールに反応するのは通常ならどんな選手でも不可能である。
しかも、先程のスティールで涼真の守備範囲の広さを警戒されての、外気味に出されたパスだった。
だが、信じられない事にパスを出すとほぼ同時。
涼真は、これに反応した。
涼真のトップスピードと神がかった反応が合わさり、このパスを弾く事に成功する。
神崎玲太「くそ…読んでやがったのか!」
山下「すごい…今のは完全に読んでたプレイですね」
村上「いや…」
山下「え?」
(そうでもなきゃあんなプレイ…)
バスッ!
ワンマン速攻から涼真がレイアップを決める。
残り8:21
星垓 78
豊誠学園 74
村上「あくまで噂程度の知識だが…北条はそういう『読み』とかギャンブル的なディフェンスはしない。
昨年の全中の時に似たような事があった。他の記者がインタビューしたらしいんだが北条はこう言ったらしい」
-「ただ夢中で、目の前で起きたアクションにそのまま反応して、それから自分のプレイの選択をしていただけ」
山下「え!?そんなばかな…」
村上「ああ、信じ難い事だが…そうとしか考えられん」
コートでは豊誠学園のオフェンス。
クロックからインサイドで菊田の1対1の形を作った。
ダム!!!!
髙木「ぐっ…」
髙木、今度は備えていたものの、みるみる押し込まれていく。
キュッ!!!
菊田、ゴール下で高速のスピンターン。
押し返す事に全力を出していた髙木、これに反応できない。
ドガァッ!!!
ワンハンドダンクを炸裂させる。
残り8:08
星垓 78
豊誠学園 76
髙木「くそ…」
新城「ドンマイ髙木、あそこまで持ち込めてるだけでも大したもんだよ」
髙木「ああ。にしてもアイツ…高速でターンしてあのタイミングだったら普通ゴール下のジャンプショットだろ?どうやったらダンクにいけるんだよ…」
新城「涼真達の代にはほんと、人間離れしたのがゴロゴロいるな、何食ったらああなるんだ」
涼真「ドンマイです」
涼真、それだけ言ってオフェンスへ走る。
新城「おい」
髙木「ああ、今のは…」
2人とも、今の涼真の一言で察する。
-気にしなくていい、自分が取り返す。だからボール回してください-
明らかに言外にそう言っていた。
新城、ボールを運ぶ。
新城「んじゃ、任せたぜ」
24秒タイマー残り14秒
涼真が得意の右コーナーでボールを受ける。
神崎玲太「何度もやらせるか…!」
涼真「なら、力づくでも通る」
ダダムッ!!
涼真、鋭くドリブルを2回突き、神崎玲太を揺さぶる。
涼真、鋭いクロスオーバーで左へ。
神崎玲太もこれに反応した。
ダムッ!!!
涼真、反応したのを見るやほぼ同時に強引にもう一度切り返す。
神崎玲太「くっ…」
ドサァッ!
神崎玲太、ストップできず転倒。
山下「ドリブルでそんな事ができるなんて…」
村上「アンクルブレイク…!」
涼真、そのまま跳躍。
まさにダンクせんとしたその時
バッ!!!
目の前に巨大な影。
背番号15、菊田。
この男だけはいち早く反応し、涼真のダンクを叩き落とさんと涼真と同時に跳んだ。
真田「よし!」
(菊田を引き付けたなら、髙木がフリー!)
涼真、空中でパスを出す。
新城「ダメだ!」
髙木がノーマークになり、ボールを受ける体勢になった瞬間
髙木をマークせんと丸山がスイッチしカバーに動いていた。
山下「さすが3年生!」
(瞬時に危険を判断した!)
だが、涼真の放ったボールは
神崎健太に向かっていた。
髙木「!?」
新城「!?」
丸山「!!」
両チームの殆どの人間が、そして見ていた観客のほぼ全員が度肝を抜かれた。
ただ1人、それまで丸山にマークされていた神崎健太だけは違った。
体が咄嗟に動いた。
丸山が髙木をマークしに走った瞬間、神崎健太もディフェンスのいない方向へと動いていた。
ドライブからパスを選択した涼真
髙木のマークを捨て涼真のドライブを止めにいった菊田
それによりノーマークになりボールを受けようとした髙木
その髙木を阻止せんと動いた丸山
その丸山の動きに合わせ、結果的に最善の動きでノーマークになった神崎健太。
その中から涼真は、一瞬で最善の選択をした。
バスッ!
楽々とゴール下を決める神崎健太。
ここから試合は膠着する。
豊誠学園はここまで、古沢と間島のガードコンビの連携やインサイドの菊田の1対1、マッチアップの神崎健太に高さで優る丸山のインサイドプレイなどで幾度となくワンゴール差まで迫った。
だが、その直後の星垓が攻撃を失敗しない。
ワンゴール差に迫った直後に決まって突き放される。
豊誠学園、追いつけない。
いや、正確には
バスッ!
「来た!」
「北条のドライブから髙木のゴール下!」
「星垓のツインエースのホットライン!」
北条涼真。
彼が追いつかせなかった。
豊誠学園は涼真についていけなかった神崎玲太を1度下げ、山内をコートに戻し徹底マークさせるも
バス!
「今度は北条が自ら決めた!」
「難しい距離のミドルだ!」
それを嘲笑うかのように涼真は相手の策を潰していく。
リードチェンジのあるシーソーゲームという訳ではないものの、2点差と4点差を行ったり来たりしてる接戦。
1つのゴールの度に、1つのディフェンスの度に
1つのプレイの度に観客が湧く。
残り1:32
星垓 84
豊誠学園 82
この第4Q、出だしは点の取り合いだったが、徐々に重い展開になり、7分間で互いに6得点とロースコアに。
両チーム共に肩で息をしているメンバーが目立つ。
涼真ですら膝に手をつき、疲労の色を見せている。
新城「さあ1本!」
新城がボールを運びつつチームメイトを鼓舞する。
だが、疲れからか全員足が止まっている。
ここまで得点でチームを引っ張ってきた涼真も疲れからか神崎玲太のマークを振り切れない。
ボールを回すばかりで時間が過ぎていく。
新城「時間ない!打て!」
ガンッ!!
神崎健太が無理に打ったシュートはリングで跳ねる。
ガシィッ!!!
菊田が髙木を吹っ飛ばしながらリバウンドを取る。
古沢「速攻!!」
星垓も必死に戻るが、それより早く豊誠学園の選手達がフロントコートになだれ込む。
特に髙木は菊田との接触で倒れていた為、戻るのが遅れた。
神崎玲太が右45度からドライブを仕掛ける。
涼真「ぐっ…」
涼真、反応するも足がもつれそうになる。
加えて…
ガッシイイイィィィ!!
丸山のスクリーンで止められる。
ピピーッ!!!
レフェリー「ファウル!青10番!」
涼真、踏ん張りきれず丸山を押し倒してしまう。
涼真、オフィシャルに目を向ける。
涼真のファウルの数は「2」。
だがチームファウルが「4」と点灯している。
※チームファウルが4を超えると、次からディフェンスファウルを取られると自動的に相手に2本のフリースローが与えられる。
残り1:02
星垓 84
豊誠学園 82
スコアは星垓がまだ2点リード。
だが、ここからはファウルも許されない。
1つ間違えば、2点差はすぐにひっくり返されてしまう。
暗雲立ち込める星垓。
逃げ切るか、敗北か。
……To be continued
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