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第1章 入学〜インターハイ予選
第55話 ファウルゲーム
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第4Q 残り1:46
星垓 74
舟栄 78
新城(あと4点が遠い…ディフェンスは効いてるけど追いつくにはまだ何か足りねえ)
そんな中、星垓のオフェンス。
ボールは新城から涼真へ。
涼真、すかさずドライブ。
だが、ずっと攻撃の中心を担ってきた涼真、この最終盤にきてキレが落ちてくる。
ドライブを霧谷に止められる。
涼真「くそ…」
涼真、やむなく外の武蔵へ。
新城(涼真…スタミナが切れてきてるのか…?)
無理もなかった。
ここまでフル出場している涼真。
超高校級と言われ、自分より7㎝大きい霧谷と攻守で向かい合ってきたのだ。
チームをここまで引っ張ってきた殊勲者の1人は彼である。
ボールは武蔵からトップにきた真田へ。
真田からハイポストに陣取った髙木へ。
永島(どう来る…?)
髙木、ハイポストからシュートの構え。
永島、跳んでしまう。
髙木、すかさずドライブへ。
永島「しまった!」
インサイドにヘルプは誰もいない。
インサイドプレイヤーである日置が抜けたことで永島以外は外に陣取っている。
ドガアアアアアアアァ!
第4Q 残り1:34
星垓 76
舟栄 78
星垓メンバー「いよっしゃああああ!」
「髙木!よく決めた!」
「さすがっす髙木さん!」
涼真「あざっす…」
涼真はかなり消耗している。
髙木「お前にばっかいいかっこさせるかよ」
髙木、涼真と拳を合わせる。
平井「ディフェンス!ここで取られたらまたおんなじだよ!」
マネージャーである平井も声を出す。
近藤がボールを運ぶ。
近藤(くそ…ディフェンスの穴が見つからねえ…)
村上「時折真田、篠田のところで連携ミスが出てはいるんだが…上級生の新城、髙木が上手くカバーして帳消しにしているな」
山下「全国的に注目されていたわけではないですけど名将、唐沢監督の元で育っただけにバスケットボールIQがしっかり培われていますね」
そして24秒タイマー残り7秒、
本庄が篠田の厳しいチェックにあいながらも難しい距離のミドルシュートを放つ。
中澤「外れろ…!」
星垓メンバー「外れろぉー!」
ガッ!
星垓メンバーの祈りが通じたか、リングで跳ねるシュート。
リバウンド争いの末、ボールを掴んだのは…
舟栄メンバー「よく取った!霧谷!」
髙木「なんだと!?」
新城「涼真は…?」
シュートが放たれた瞬間、ゴールに急に走り出した霧谷。
それを追う涼真。
ガシィッ!
だが、そのタイミングで岩倉が涼真にスクリーン。
スタミナが切れかけている涼真、このフィジカルコンタクトで更に体力を削られ、なんとかゴールへ走るもリバウンド争いに間に合わなかった。
ゴール下でボールを持つ霧谷。
マークは涼真。
涼真がいくら身体能力が高いと言っても、ゴール下など身体のコンタクトがある場面ではあまり関係ない。
身体を寄せられたら誰しも上手く飛べないからだ。
ものを言うのは、身長そして体格。
かたや中学を卒業したばかりで身体も出来切ってない187㎝、高校1年生の涼真。
かたや超高校級と言われ、高校界でも注目されるフィジカルと技術を持つ194㎝、高校3年生の霧谷。
バスッ!
第4Q 残り1:11
星垓 76
舟栄 80
意気消沈する星垓サイド。
新城「切り替えろ!まだ試合は終わってねえぞ!」
星垓メンバー「おう!」
ボールは幾人かを経由し、涼真へ。
だが涼真、ボールを受けるも霧谷の威圧感の前に攻め込めない。
この最終盤で霧谷はますますキレも闘志も増している。
その上、涼真はスタミナ切れ寸前。
勝負を挑んでも負けることは火を見るよりも明らかだった。
涼真(ちくしょう…!)
涼真、勝負を避ける。
涼真(クソ…くそおおおっ…!)
勝負を避けた。
それはすなわち、霧谷に対しての個人の敗北を受け入れたのと同義。
人一倍負けず嫌いのこの男は屈辱と怒りと悔しさでいっぱいになっていた。
新城へとパスを戻す。
新城のドライブから武蔵、武蔵から真田のスリー。
真田「負けられねえ!」
真田、ボールリリースの瞬間、入ることを確信する。
バシッ!
これを岩倉がすんでの所でブロック。
ボールはセンターラインを超えたところで岩倉がそのまま拾う。
岩倉、そのままワンマン速攻に。
新城「やべえ!戻れ!」
星垓メンバー、必死で戻る。
だが、出だしの遅れた星垓メンバーがゴール下にたどり着いた時には岩倉はレイアップを放っていた。
バスッ!
第4Q 残り59.8
星垓 76
舟栄 82
大歓声が起こる。
舟栄メンバー「いよっしゃあ!」
「さすがキャプテン!」
「最後まで!集中!」
勝利を確信する舟栄メンバー。
-応援席
慎太郎「くそ…」
(なんでこんな時、俺はベンチにすら入れてないんだ…!)
ミニバスからずっと共にバスケットボール人生を歩んできた親友が、相棒がスタミナ切れを起こし、個人でも試合でも敗北しようとしている。
かつてはそんな時、慎太郎は常にコートで共にいた。
涼真がいたから慎太郎も踏ん張れ、涼真もまた慎太郎に助けられていた。
悔しかった。
何もできない自分が悔しくて自然と涙が溢れる。
美保「…」
悲しそうな、そして痛みを悔しさを共感するような眼差しで慎太郎を見る美保。
春香も唇を真一文字にして悔しさに耐えている。
だが、諦めた者は誰もいない。
スパァッッ!
第4Q 残り38.2
星垓 79
舟栄 82
新城が意地でスリーポイントシュートを沈める。
星垓メンバー「よっしゃあ!」
「まだまだ!ディフェンス!」
新城「ファウルゲームにいくぞ!ディフェンスはマンツーだ!ナンバーコール!」
※ファウルゲーム
僅差で負けているチームが時計を止めるためにわざとファウルをし、チームファウルの累積(1つのQでチームで4つファウルをすると、次からファウルのたびに相手にフリースロー2本が与えられる)でフリースローを打たせ、外れることに掛けて自分たちのボールにしてオフェンス回数を増やすことである。
相手がフリースローを苦手とするチームならば特に有効な戦術である反面、ファウルの累積で退場となる選手が出たり、相手にフリースローを2本とも決められたら失敗となってしまうなど諸刃の剣でもある。
新城「4番!」
真田「6番!」
武蔵「11番!」
涼真「7番!」
髙木「5番!」
ボールを運ぶ近藤に真田がファウル。
近藤、フリースローに向かう。
第4Q 残り35.0
星垓 79
舟栄 82
1投目。
ガッ!
星垓メンバー「いよーし!」
ファウルゲームの時のフリースローの緊張感は並大抵ではない。
追われる者のプレッシャー、恐怖は味わった者でないとわからない。
高校でどれだけ実績を積んだ選手でも…世界最高峰のプロリーグ、NBAの選手でもフリースローを100%決め切る選手は存在しない。
近藤の2投目。
スパッ!
第4Q 残り35.0
星垓 79
舟栄 83
ピピーッ!
オフィシャル「タイムアウト!青!」
ここで星垓、最後のタイムアウト。
新城「4点差ならまだわからねえ!最後まで走るぞ!」
星垓メンバー「おう!」
星垓、追いつけるか?
To be continued…
星垓 74
舟栄 78
新城(あと4点が遠い…ディフェンスは効いてるけど追いつくにはまだ何か足りねえ)
そんな中、星垓のオフェンス。
ボールは新城から涼真へ。
涼真、すかさずドライブ。
だが、ずっと攻撃の中心を担ってきた涼真、この最終盤にきてキレが落ちてくる。
ドライブを霧谷に止められる。
涼真「くそ…」
涼真、やむなく外の武蔵へ。
新城(涼真…スタミナが切れてきてるのか…?)
無理もなかった。
ここまでフル出場している涼真。
超高校級と言われ、自分より7㎝大きい霧谷と攻守で向かい合ってきたのだ。
チームをここまで引っ張ってきた殊勲者の1人は彼である。
ボールは武蔵からトップにきた真田へ。
真田からハイポストに陣取った髙木へ。
永島(どう来る…?)
髙木、ハイポストからシュートの構え。
永島、跳んでしまう。
髙木、すかさずドライブへ。
永島「しまった!」
インサイドにヘルプは誰もいない。
インサイドプレイヤーである日置が抜けたことで永島以外は外に陣取っている。
ドガアアアアアアアァ!
第4Q 残り1:34
星垓 76
舟栄 78
星垓メンバー「いよっしゃああああ!」
「髙木!よく決めた!」
「さすがっす髙木さん!」
涼真「あざっす…」
涼真はかなり消耗している。
髙木「お前にばっかいいかっこさせるかよ」
髙木、涼真と拳を合わせる。
平井「ディフェンス!ここで取られたらまたおんなじだよ!」
マネージャーである平井も声を出す。
近藤がボールを運ぶ。
近藤(くそ…ディフェンスの穴が見つからねえ…)
村上「時折真田、篠田のところで連携ミスが出てはいるんだが…上級生の新城、髙木が上手くカバーして帳消しにしているな」
山下「全国的に注目されていたわけではないですけど名将、唐沢監督の元で育っただけにバスケットボールIQがしっかり培われていますね」
そして24秒タイマー残り7秒、
本庄が篠田の厳しいチェックにあいながらも難しい距離のミドルシュートを放つ。
中澤「外れろ…!」
星垓メンバー「外れろぉー!」
ガッ!
星垓メンバーの祈りが通じたか、リングで跳ねるシュート。
リバウンド争いの末、ボールを掴んだのは…
舟栄メンバー「よく取った!霧谷!」
髙木「なんだと!?」
新城「涼真は…?」
シュートが放たれた瞬間、ゴールに急に走り出した霧谷。
それを追う涼真。
ガシィッ!
だが、そのタイミングで岩倉が涼真にスクリーン。
スタミナが切れかけている涼真、このフィジカルコンタクトで更に体力を削られ、なんとかゴールへ走るもリバウンド争いに間に合わなかった。
ゴール下でボールを持つ霧谷。
マークは涼真。
涼真がいくら身体能力が高いと言っても、ゴール下など身体のコンタクトがある場面ではあまり関係ない。
身体を寄せられたら誰しも上手く飛べないからだ。
ものを言うのは、身長そして体格。
かたや中学を卒業したばかりで身体も出来切ってない187㎝、高校1年生の涼真。
かたや超高校級と言われ、高校界でも注目されるフィジカルと技術を持つ194㎝、高校3年生の霧谷。
バスッ!
第4Q 残り1:11
星垓 76
舟栄 80
意気消沈する星垓サイド。
新城「切り替えろ!まだ試合は終わってねえぞ!」
星垓メンバー「おう!」
ボールは幾人かを経由し、涼真へ。
だが涼真、ボールを受けるも霧谷の威圧感の前に攻め込めない。
この最終盤で霧谷はますますキレも闘志も増している。
その上、涼真はスタミナ切れ寸前。
勝負を挑んでも負けることは火を見るよりも明らかだった。
涼真(ちくしょう…!)
涼真、勝負を避ける。
涼真(クソ…くそおおおっ…!)
勝負を避けた。
それはすなわち、霧谷に対しての個人の敗北を受け入れたのと同義。
人一倍負けず嫌いのこの男は屈辱と怒りと悔しさでいっぱいになっていた。
新城へとパスを戻す。
新城のドライブから武蔵、武蔵から真田のスリー。
真田「負けられねえ!」
真田、ボールリリースの瞬間、入ることを確信する。
バシッ!
これを岩倉がすんでの所でブロック。
ボールはセンターラインを超えたところで岩倉がそのまま拾う。
岩倉、そのままワンマン速攻に。
新城「やべえ!戻れ!」
星垓メンバー、必死で戻る。
だが、出だしの遅れた星垓メンバーがゴール下にたどり着いた時には岩倉はレイアップを放っていた。
バスッ!
第4Q 残り59.8
星垓 76
舟栄 82
大歓声が起こる。
舟栄メンバー「いよっしゃあ!」
「さすがキャプテン!」
「最後まで!集中!」
勝利を確信する舟栄メンバー。
-応援席
慎太郎「くそ…」
(なんでこんな時、俺はベンチにすら入れてないんだ…!)
ミニバスからずっと共にバスケットボール人生を歩んできた親友が、相棒がスタミナ切れを起こし、個人でも試合でも敗北しようとしている。
かつてはそんな時、慎太郎は常にコートで共にいた。
涼真がいたから慎太郎も踏ん張れ、涼真もまた慎太郎に助けられていた。
悔しかった。
何もできない自分が悔しくて自然と涙が溢れる。
美保「…」
悲しそうな、そして痛みを悔しさを共感するような眼差しで慎太郎を見る美保。
春香も唇を真一文字にして悔しさに耐えている。
だが、諦めた者は誰もいない。
スパァッッ!
第4Q 残り38.2
星垓 79
舟栄 82
新城が意地でスリーポイントシュートを沈める。
星垓メンバー「よっしゃあ!」
「まだまだ!ディフェンス!」
新城「ファウルゲームにいくぞ!ディフェンスはマンツーだ!ナンバーコール!」
※ファウルゲーム
僅差で負けているチームが時計を止めるためにわざとファウルをし、チームファウルの累積(1つのQでチームで4つファウルをすると、次からファウルのたびに相手にフリースロー2本が与えられる)でフリースローを打たせ、外れることに掛けて自分たちのボールにしてオフェンス回数を増やすことである。
相手がフリースローを苦手とするチームならば特に有効な戦術である反面、ファウルの累積で退場となる選手が出たり、相手にフリースローを2本とも決められたら失敗となってしまうなど諸刃の剣でもある。
新城「4番!」
真田「6番!」
武蔵「11番!」
涼真「7番!」
髙木「5番!」
ボールを運ぶ近藤に真田がファウル。
近藤、フリースローに向かう。
第4Q 残り35.0
星垓 79
舟栄 82
1投目。
ガッ!
星垓メンバー「いよーし!」
ファウルゲームの時のフリースローの緊張感は並大抵ではない。
追われる者のプレッシャー、恐怖は味わった者でないとわからない。
高校でどれだけ実績を積んだ選手でも…世界最高峰のプロリーグ、NBAの選手でもフリースローを100%決め切る選手は存在しない。
近藤の2投目。
スパッ!
第4Q 残り35.0
星垓 79
舟栄 83
ピピーッ!
オフィシャル「タイムアウト!青!」
ここで星垓、最後のタイムアウト。
新城「4点差ならまだわからねえ!最後まで走るぞ!」
星垓メンバー「おう!」
星垓、追いつけるか?
To be continued…
応援ありがとうございます!
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