子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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学生期 弐 8

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「ギ…!」

「…そろそろかな」

「次の階層に進みますか?」


6体目のゴブリンを倒した後に頃合いを図って呟くとお姉さんが魔石や素材を回収しながら尋ねた。


「いや…そろそろ武器を使おうかな、って」

「武器…ですか?」


俺が否定しながら剣を取り出すとお姉さんは意外そうに驚く。


「うん。素手はあくまで最終手段であって、本来なら武器を使って戦うのが当たり前だからね」

「…でも坊ちゃんは素手の方が強くないですか?武器を使うと逆に弱体化するような…」

「『能ある鷹は爪を隠す』って言うし…まあ見た目と同じで実力を隠すための擬態や偽装だよ」

「なるほど…!流石坊ちゃん!」


俺の説明に不思議そうに聞くお姉さんに理由を話すと納得して褒めてくる。


「でも坊ちゃんはどういう武器を使うんですか?」

「今のところ剣と槍と弓を練習中」


お姉さんが好奇心で聞いてくるので俺は剣を腰に差し、矢筒を背負いながら答えた。


「近距離、中距離、遠距離のバランス型ですね」

「うん。薙刀とかもいいかな…と思ったけど『それならハルバードでいいや』って」

「…というか…一気に持つんですか?」


話しながら弓と細身の槍を取り出して背負うとお姉さんが驚いたように聞く。


「その方が全距離対応できるでしょ?咄嗟の時は素手でいいし」

「…確かに、そうですが…」


俺の返答にお姉さんはなんとも言えないような顔で返す。


「ちなみにこの槍はこのボタンを押しながら上に突くと小さくなる」

「あ、凄い!」


俺が槍の変形ギミックを見せるために一番後ろに付いてる小さな突起を親指で押しながらコンパクトにしたら、お姉さんは予想通り驚いてくれる。


「使う時はまたボタンを押しながら振ると…」

「へー!便利な武器もあるんですね!」

「携帯には便利だけど…この変形機構のせいで耐久性が弱いからあんまり売れてないらしいよ」

「なるほど…」


小さくなった槍を伸ばすとお姉さんが意外そうに言うので欠点を伝えると納得した。


「一応紐を付けたら空間魔法とのコンボで投げる事もできる」

「なるほど…でもその分出し入れする手間がかかりますね」

「うん。だからコンマを争うような時には使えないね」


俺が実際に紐を付けて山なりに投げ、地面に刺さった槍を回収するとお姉さんは欠点を分析してくるので俺は緊急時には使えない事を告げる。


「まあでも弓があれば槍を投げる事なんてなさそうですし」

「それもそうだ」


お姉さんの笑いながらの指摘に俺も笑いながら同意した。


「いた」

「…あ」


ゴブリンを発見して直ぐに俺が弓を構えて矢を放つと見事に頭に命中して貫通し、ゴブリンの姿が消える。


「坊ちゃん弓矢もお上手ですね!」

「学校でもたまに練習してるから。でも最初の方は酷かったよ…真っ直ぐ飛ばないし、的に当たらないのなんのって…」


落ちた矢と素材を回収するとお姉さんが拍手して褒めるので俺はドヤ顔で返し、その後に半年以上前の事を思い出しながら苦労話をするように呟く。


「まあ最初の方は誰だってそんなもんですよ」

「だよね。…いた」


お姉さんのフォローに同意しながら返して更に発見したゴブリンも弓矢で倒した。


「…弓で倒すと早くて楽なんですが、魔石が落ちないのが残念ですね」

「まあソコはしょうがないよ」


第二階層に降りてる最中にお姉さんが残念そうに笑いながら言うので俺は気持ちを切り替えるように返す。


…そして第二階層の通路を進んで小部屋のような少し広い空間に出ると…


「あ」

「お」


なんとグリーズベアーが4体も同じ空間に居るではないか。


「ちょうどいいや。ラッキー」

「ラッキーって…」


俺が喜びながら槍を伸ばし、魔物に向かって歩き出すとお姉さんは心配したように不安そうに呟いた。


「グアア!」「グオオ!」「グアア!」

「ははは」


近づいてきた俺に三体のグリーズベアーが立ち上がって威嚇しながら吠えるので俺は余裕で笑いながら槍を構える。


「グアッ!」

「グオォ!」


グリーズベアーが二体、俺を両側から挟んで腕を振るいながら爪で激しく引っ掻いてくるが…


服がどんどん破けていくだけで俺の肌にはかすり傷一つ付いてない。


「…す、凄い…!」

「まずは一匹」


その様子を見たお姉さんが驚きながら呟き、俺はグリーズベアーの心臓に狙いすました槍を突き刺す。


「ガッ…!」

「二匹目」

「カッ…!」


そして槍の刃が心臓まで達して倒れたグリーズベアーに背を向け、俺は剣を抜いて隣の魔物の心臓へと突き刺した。 


「ガアア!!…カッ…!」

「三匹目」


不用意に俺に近づいて立ち上がって腕を振るグリーズベアーに弓を強く引いて矢を放ち、心臓を貫通させて倒しながら俺は数を数える。


「グアア!!…ガ…!」

「ラスト、っと」


最後のグリーズベアーは威嚇しながら立ち上がるので無防備な心臓めがけて貫手を突き刺し、その心臓を抜き取って倒した。
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