子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 47

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そして二日後、南の国境に領地を持つ侯爵から依頼がきた。


しかも結構な額で。


なので俺はその依頼を受ける事にして傭兵団のみんなに集合をかけて南の国境近くの町まで移動するよう指示を出す。


…任務や仕事で出払ってる団員達には、拠点に戻らず直接国境付近の町へと向かうよう伝令を送った。


「んじゃ、俺も行くか」

「頑張れよ」

「私も行くね」

「うん。頑張って」


…とりあえずやる事を済ませた後に俺とお姉さんは分身達の出発を見送る。


「『分身』ってホント便利ですねー」

「まあね。流石に今回は相手もそれなりに準備をしてるだろうから万が一に備えないと」


修行場所の林に向かってる最中のお姉さんの褒めるような言葉に俺は肯定しながら若干の警戒心を見せながら返す。


「…でもなんとか坊ちゃんを倒せたとしてもソレが分身だったら手の内がバレる、って相手からしたらやってられない反則技ですよ」

「ははは。あくまで変化魔法の技術なんだから魔力持ちなら誰だって真似出来るけどね」

「いや無理ですって。坊ちゃんが懇切丁寧に手取り足取り伝授してくれるのならともかく、初見や見よう見まねじゃ絶対に理解が追いつかないですし」


お姉さんがまだ見ぬ相手に同情するように言い、俺が可能性の話をすると手を振りながら否定してきた。


「まあそもそも変化魔法だ、って事に気づけるかどうかも分からないし、気づいたとしても変化魔法を習得しようとするかな?」

「しないと思います。よほどの変わり者でも無い限りは」


俺の仮定の話での確認にお姉さんはキッパリと言い切るように否定的に答える。


「ははは、こりゃキツイ」

「またそんな…」


俺が笑って意地悪するように自虐的に言うとお姉さんが呆れたように呟いた。



…翌日。



「あ!ちょうど良いところに」


昼食の時間になったので修行場所から本部の自室へと戻っていると、魔法協会所属の人が声をかけてくる。


「どうかしたんですか?」

「ヴォードル辺境伯が来てるんですが…どうしましょう?」


お姉さんが用件を聞くと魔法使いは客人の名前を告げて指示を仰いできた。


「ええ…本人で間違いないの?」

「はい。確認は取れています」


俺の疑うような問いに魔法使いはちゃんと確認済みである事を告げる。


「…なんで辺境伯がアポも取らずにこんな所に直接?…とりあえず俺の部屋に通そうか。俺が迎えに行くよ」

「分かりました。東門で待ってるはずです…お願いします」


俺は疑問に思いつつも指示を出してお姉さんと一緒に辺境伯を迎えに行く事に。


「やあ、久しぶりだな、ゼルハイト卿。いや、今はガウ男爵と呼ぶべきか?それともローズナー男爵の方か?」

「お久しぶりです。自分は呼び名にはこだわっていませんし、今は公式の場でもありませんのでお好きな方で」


俺が出迎えに行くと青年は馬車から降りて挨拶してきて尋ねるので、挨拶を返した後に判断を相手側に委ねた。


「そうか、ならばゼルハイト卿と呼ばせてもらおう」

「…ご用件の方をお尋ねしてもよろしいですか?まさか辺境伯自ら来訪されるとは…」

「なに、王都まで来たついでに寄ったまでの事。ただ遊びに来ただけだ」


俺の問いに青年は軽い感じで用件を答える。


「なるほど…ではまずは昼食などいかがですか?これから食べる予定でしたので」

「ほう?ありがたい申し出だ、受けよう。王都で食べて来なくて正解だったな」


俺は青年の用事が全然大した事じゃない事が分かって内心安堵しながら昼飯に誘うと嬉しそうに快諾してくれた。


「しかし…聞いてた通りの広大な面積だな…聞いてた話とは違う面もあるが」


俺らに合わせて馬車から降りて徒歩で移動してくれている青年が周りを見ながら意外そうに呟く。


「…なぜこうも人が少ないのだ?そちらの傭兵団の人数は国内で最大…千名を超すと聞いたが」


青年は出陣中の団員達に代わって巡回警備をしている魔法協会所属の魔法使い達を見ながら疑問を尋ねてくる。


「実は全員出陣中でして…侯爵からの依頼で南の国境の防衛に向かってます」

「…南というとコンテスティ侯爵の所か…ソバルツの動きが怪しい事は前々から聞いていたが、なるほど」


俺が傭兵団は仕事中で不在である事を告げると青年も噂は聞いていたのか納得しながら返す。


「それで傭兵団の団員達が全員出払ってますので、こういう有事の際は事務作業や巡回警備などは拠点内の魔法協会の支部に居る人達にお願いしてます」

「ほう?それはなんとも面白い試みだな」


俺はまた疑問を聞かれる前に先手を取って説明したら青年が意外そうに笑う。


「だが君は行かなくてもいいのか?いくら傭兵団が優秀で有能揃いとはいえ戦場では指揮官が居なければどうしようもないだろう?」

「大丈夫です。影武者を行かせておりますので」

「『影武者』?」

「…簡単に言えば俺と同じ見た目の身代わりですね」


青年の確認に俺がふと出てしまった前世の知識で返すと、当然通じなかったので俺はヤベ…と内心焦りながら別の言葉に置き換えて解説した。


「…身代わりで大丈夫なのか?」

「問題無いと思います。もしあの身代わりでも負けるようであれば直ぐに分かりますので、その時は俺が直接現場に出ます」

「なるほど。その身代わりとやらはかなりの実力者のようだな」

「ははは、なんせ俺の分身ですからね」


青年が心配そうに聞くので万が一の事態の対応策を話すとニヤリと笑いながら言うので俺は笑いながら本当の事を返す。
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