子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
183 / 480

青年期 119

しおりを挟む
「あ、お帰りなさい。どうでした?」


宿屋の部屋に帰るとお姉さんが本から目を離して挨拶し、尋ねてくる。


「なんか金をいっぱい貰った。あとこの領内で賊とかがいて困ってるとかで仕事を貰ってきた」

「賊退治ですか?…残り二日では無理では?」

「滞在期間を伸ばそうか。別に急ぐ用事があるわけでも無いし」

「そうですね」


俺の説明にお姉さんが不思議そうに聞き返して確認を取ってくるのでそう返すと納得して理解したように肯定した。


「依頼は正式に傭兵団宛てにして欲しい言ったけど…一応前もってみんなに伝えとこうか」

「その方が良いと思います」

 
俺が先にお姉さんに伝えて隊長達にも伝えに行こうと部屋を出るとお姉さんも賛同しながら後ろからついてくる。


ーーーーー



「…じゃあ揃ったって事で…みんなお疲れさん。実はさっき辺境伯に呼ばれて賊退治とかの依頼をお願いされた」


…隊長達や事務作業をしてくれている団員達をギルドの建物に集め、みんなが揃ったのを確認して俺は話を切り出した。


「賊退治だと…?」

「二日では無理じゃない?」

「うむ。難しいだろうな」

「だよねー…だから滞在期間を延ばす事にした」


隊長達は期間を鑑みての否定的な感じで返すので俺は賛同しながら報告をする。


「期間延長か、珍しい」

「初めてじゃない?」

「せっかくの金を稼ぐチャンスだし、一応新人もいるし、みんなにとっても訓練とか鍛錬的に良い経験になりそうじゃない?」

「そうだな。金はいくらあっても困らん」

「逆に生活費やら消耗品の補充費やらを考えたら遊ぶお金が足りないぐらいだよ」


隊長二人の意外そうな発言に俺が理由を話すと他の隊長達が賛同してきた。


「まあいつも通り無理はしないように。言うまでも無いと思うけど、自分達だけで厳しいと思ったらちゃんと周りを呼んで連携すること」


端金に目が眩んで危険な目に遭わないようにしてね。と、俺は話の締めとして不必要と知りつつも一応注意を促す。


「分かっている」

「大丈夫大丈夫」

「今は金よりも命が大事だからな」

「じゃあ話は終わりで。よろしく」


隊長達の返事に俺は解散するよう告げて最後に挨拶をするとお姉さん以外のみんながギルドの建物から出ていく。


「さーて…これでようやく観光に行ける…」

「本当なら朝一番に行くはずでしたけど…でも滞在期間が延びたのならゆっくり観光出来ますね」

「…確かに」


俺も椅子から立ち上がりながら呟くとお姉さんが残念そうに呟きつつも結果的に良い方向に転がった的な事を言うので同意する。


…翌日。


辺境伯からの依頼が傭兵団に正式に届いたようで、破格の報酬にみんな驚いていたらしい。


が、俺には関係無いので修行するためにお姉さんと共にダンジョンへと向かった。


「…ん?」

「「「あ」」」

「あ!」


俺らが中級者向けのダンジョンの第一階層を歩いていると、どこからか走って来た男三人のパーティの顔に見覚えがあるような気がして二度見すると…


牢屋から脱獄したんであろう刺客の三人組が俺を見て同時に声を出し、お姉さんが男達に気づいて指を差す。


「おや、もう脱獄したの?早くない?」

「あの飯の不味さには我慢が出来んくてな」

「それに周りがうるさくてあんな所じゃ安眠出来ん」

「あんな所に居るぐらいならまだ野宿の方がマシだ」


俺の問いに男達は嫌気が差したように脱獄した理由を話し始める。


「でもなんでこんなダンジョンに?野宿するなら初心者用のダンジョンの方が良くない?」

「いや、ダンジョンでは危なくて野宿なんてできねぇだろ!」

「魔物がうろつく場所で寝るなんて下手したら永眠だぞ」

「そう?でも数日がかりでダンジョンの攻略に挑むハンター達も結構いるからそうでも無いんじゃないの?」

「…準備をしっかりした上で見張りを立て警戒しながらの危機感を持った野宿と俺達の野宿では方向性が違うんだが…」


俺が疑問を聞くと二人の男がツッコミを入れるように返し、確認するように尋ねたら残りの一人は呆れたように呟く。


「…裏の方で匿ってくれてる人から魔物素材を頼まれたんだよ」

「世話になってる手前、断り切れなくてな…」

「あと二人の仲間が脱獄した後にしばらく匿って貰う約束でもある」


男達は俺に誤解や勘違いされないようになのかダンジョンに来た理由を話した。


「ふーん…で、許可は取ってる?無許可の人を発見した場合は捕まえるのがハンターの義務なんだけど」

「…ほら。俺は昔ハンターだった」


俺が納得しながら呟いて確認すると二人の男が焦ったような顔で男の一人を見て、その男はライセンスを差し出してくる。


「あ、ちゃんと許可はあったんだ。疑ってごめん」

「いや、大丈夫だ。それではな」

「さっさと目当ての魔物倒して帰ろうぜ」

「こんな危ない所に長時間居たくないからな…」


俺はライセンスを確認して返しながら謝り、男達と別れてダンジョンの奥へと進む。


「…あの人達もう脱獄したんですね」

「匿ってくれる人が居たからじゃない?」

「でも…犯罪者が脱獄って…大丈夫ですかね?」

「さあ?悪質な事をやらかしたらまた捕まえれば良いし…流石にしばらくは大人しくしてるでしょ」


お姉さんの呟きに俺が適当に予想すると心配したように返すので俺は楽観的に答えた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

無自覚人たらしマシュマロ令嬢、王宮で崇拝される ――見た目はぽっちゃり、中身は只者じゃない !

恋せよ恋
ファンタジー
 富豪にして美食家、オラニエ侯爵家の長女ステファニー。  もっちり体型から「マシュマロ令嬢」と陰口を叩かれる彼女だが、  本人は今日もご機嫌に美味しいものを食べている。  ――ただし、この令嬢、人のオーラが色で見える。  その力をひけらかすこともなく、ただ「気になるから」と忠告した結果、  不正商会が摘発され、運気が上がり、気づけば周囲には信奉者が増えていく。  十五歳で王妃に乞われ、王宮へ『なんでも顧問』として迎えられたステファニー。  美食を愛し、人を疑わず、誰にでも礼を尽くすその姿勢は、  いつの間にか貴族たちの心を掴み、王子たちまで惹きつけていく。  これは、  見た目はぽっちゃり、されど中身は只者ではないマシュマロ令嬢が、  無自覚のまま王宮を掌握していく、もっちり系・人たらし王宮譚。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 エール📣いいね❤️励みになります!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

処理中です...