子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 135

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「…団長。ちょっといいか?」

「…なにかあった?」


昼食の時間にみんなで休憩しながら昼飯を食べていると団員の一人が声をかけて来る。


「いや、なんかハロンが妙なものを見たってんで一応報告しとこうかと思って」

「妙なもの?」

「ああ。アイツは目が良いんだが…遠くの方で兵士達のような奴らが何かを追いかけているように馬を走らせていたらしい」


団員の断りを入れるかのような発言に俺が疑問に思って聞くと曖昧な話をしてきた。


「…何を追いかけてたの?」

「さあ?砂煙の感じからの推測らしいから雑談とか噂話の程度でしか無いが、近くに軍や兵士達が居るかも知れないから一応報告しとこうと思ってな」

「…ふーん…ありがと。軍が居たら刺激しないように迂回とかしないといけないからなぁ…」


俺は団員の話を聞いて少し考えながらお礼を言った後に面倒くさ…と思って呟く。


「何かを追いかけていた、って…もしかして…?」

「どうかな?あれから結構時間経ってるし…もう既に逃げおおせてるんじゃない?」

「…それもそうですね」


お姉さんが俺と同じ予想をして聞いてくるが俺は時間とか移動速度を考えながら否定する。


「まあでも近くに軍が展開してるとかで面倒な事にならないと良いんだけど」

「全くです」


そんなこんな雑談してると昼の休憩が終わり、俺とお姉さんは馬車の中へと戻って団員達が今日泊まる村に向かって移動を再開した。


…それから数時間後。


「…団長。団長に用がある、と言う奴らが来てるが…」

「…こんな所で?」

「ああ。なんでも急ぎの用らしい」


移動中に馬車のドアがノックされ、団員の一人が馬車と並走しながら報告をしてくるので俺がドアを開けながら確認すると肯定して話す。


「じゃあごめんだけど連れて来て」

「分かった」

「…村まであと二時間ぐらいですけど…村に着いてからじゃダメだったんですかね?」

「確かに。なんでこんな移動中に、なんだろ?」


俺の指示に従って団員が馬を走らせて行くとお姉さんは不思議そうに言い、俺も不思議に思いながら返した。


「おう、傭兵団の!すまねぇが俺達はちょっと追われててな!コイツら頼んだ!」

「過激派が狙ってる『鍵』と『後継者』だ。奴らに渡したら面倒な事になる…追手は俺達でなんとかするから任せたぞ」

「え」


令嬢を狙ってた刺客の二人が馬に乗って馬車の隣に来た…かと思いきや早口で説明して俺が何か言う前に急いで去って行く。


「あ、あの…!」

「よろしくお願いします…!」


すると一頭の馬に乗っている二人の少女が馬車の隣に来て挨拶するように話しかけて来る。


「…みんなー!ごめん!ちょっと行った先で少し止まって!」

「…なんだ…?」

「なにかあったのか?」


俺が走ってる馬車の屋根に立って大声で指示を出すと近くにいた団員達が不思議そうにしながらも他の団員達に伝達していき…


約3分ぐらいするとみんなが馬を止めてその場で待機してくれた。


「…うーん…ごめん!隊長達集まって!一応近くの団員達も寄って来て!話がある!」


俺はどうしたものか…と少し考えた後に再度謝ってから指示を出して隊長達や周りの団員達に集合をかける。


「君達の事をみんなに話すからちょっとの間だけ馬から降りててもらいたいんだけど…」

「あ、はい!」

「分かりました!」


俺のお願いに二人の少女は何故か慌てた様子で馬から降りた。


「…何かあったのか?」

「もしかしてさっきの?」

「何があったんだ?」


隊長は不思議そうな様子で尋ねながら直ぐに集まって来る。


「えーと…この前の鍵とか後継者とか人質の話覚えてる?」

「この国の過激派が狙ってると話していたあれか?」

「なんだっけ?なんか馬鹿げた壮大な計画とかだったような…」

「…もしかしてその少女達が?」


俺の確認に隊長達が思い出すように言うと隊長の一人が俺以外で馬から降りて地面に立ってる二人の少女を見ながら確認し返す。


「みたい。本来なら別の奴らが受けた依頼なんだろうけど…なんか知らん内に急に押しつけられて強制的に協力させられる事になった」

「あ、あの…すみません…」

「…どうやら迷惑をおかけしたようで…」


俺が肯定して状況を説明すると二人の少女が居心地悪そうな感じで気まずそうに謝った。


「まあ見捨てるわけにもいかないし…引き取りに来るまでウチで匿う事にしたから、村に着いたら変装や隠す方法とか考えようか」

「…大丈夫なのか?下手すればかなり厄介な爆弾になり得るぞ」

「次期国王の後継者に恩を売れるんなら安いものだよ…それに、いつもとは違った形の要人警護として良い経験になると思わない?」

「…確かに。いつものように堂々とじゃなく、周りにバレないように警護か…」


俺の報告に隊長の一人が最悪の事態を想定して反対するように言うと少女二人が緊張したような表情になり…


俺が軽い感じで返すと他の隊長は面白そうな感じで賛同する。


「それにバレたらバレたで過激派なんて蹴散らしていけば良いだけじゃん。ドードルの辺境伯にでも手紙を送れば喜んで攻め込むハズだから…そうなると俺らの相手してる場合じゃなくなるよ」

「…なるほど…」

「それもそうか…」

「ドードル側とロムニアの穏健派の派閥、二つ同時に恩が売れるわけか…そういう手もあるか…!」


俺の説得するような予想にみんな…反対するような雰囲気だった隊長達も意外そうに呟き、意見を変えて賛成するような反応になった。


「んじゃ、ま。そういうわけで…移動再開の準備をお願い」

「分かった」


俺はとりあえず簡単な報告は済ませたので、細かい話は村に着いてからでいいか…と思いながら指示を出して移動を再開させる。
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