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青年期 248
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「…ふむ…確かに『情報が正しければ』、即時退却の判断を下すところだが…そもそも敵の情報を鵜呑みにするわけにはいかんな」
「その通りでございます。やはり根拠を示していただかなければ…安易に敵の術中に嵌るような事があってはなりませぬ」
青年は分身の俺の提案を受け入れるかのように呟くもため息を吐いて急に否定的になり、おじさんも賛同する。
「では大公国に居る兵達が全滅しても構わない、と?手遅れになった後に結果を見て後悔するのですか?」
「ソレで駆け引きのつもりか?根拠を示せず証拠も無い…もう少しマシな内容でも考えて出直して来い」
「陛下、お待ちを」
分身の俺が説得するように脅して確認するも青年はもう取り合うつもりが無いのか、話を打ち切って追い出すみたいに返し…おじさんが止めるように割って入った。
「どうした?」
「中将の意見を聞いてからでも遅くは無いかと。もしかしたら…万が一があるかもしれません。アズマ中将、君はどう思う?」
もはやどうでも良さそうな反応になった青年におじさんがそう話して女の子に話を振る。
「私の個人的な意見としましては中継基地が破壊された事実を鑑みるに、海岸の拠点の破壊工作や彼が申し上げた計画は実行可能かと思われます」
「…では帝国軍を退却させるべきだと?」
「私の立場から申し上げさせていただくなら絶対にあり得ません。現状ではトゥレット大公国の1/3の攻略に成功し、損害は人的被害は皆無で中継基地三ヶ所が破壊され町が一つ奪い返された程度…そのような状態で退却の判断を下す事など出来ません」
女の子の考えを聞いて青年が眉をひそめながら確認すると女の子は『軍人』という立場を前提とした意見を話して否定した。
「いやー、素晴らしい。正に軍人の鑑だね。でも?」
「…私個人の考えを述べさせていただくのなら、帝国は魔法協会から手を引くべきだと思います。彼がその気になれば本当にトゥレット大公国に駐在している帝国軍を直ぐに全滅させる事が可能なはずなので…」
分身の俺が拍手して褒めながら本心を尋ねると女の子は微妙な顔をしながら個人的な意見を話し始める。
「ほう…今まで全戦全勝、敗北を知らぬ『軍神の生まれ変わり』とまで言われるアズマ中将にそこまで言わせるとは…」
「…今までは『人間』を相手に戦っていましたので…どうやら『怪物』や『化物』の相手は私には荷が重過ぎたようです」
おじさんの驚きながらの意外そうな発言に女の子は落ち込むように俯きがちに分身の俺を人外扱いして返す。
「…ならばこちらから提案がある」
「何でしょうか?」
「我々は根拠や証拠の無い話を信じるつもりは無い。つまり、その力があるかどうかを我々に示してもらおうか?」
「…内容次第ですね」
青年は少し考えて譲歩してくれたかのように言うも…曖昧な感じで話を進めてくるので分身の俺は若干警戒しながら怪しむように返事を保留した。
「なに、我々の選出した代表者と決闘してもらうだけだ。そちらが勝てば我々は魔法協会から手を引き、トゥレット大公国からも兵を引こう」
「…つまり一騎打ちって事ですか?それなら喜んで」
「…なんでそんなに嬉しそうなのさ」
「いやー、だって本当は俺が提案しようとしてた事をアッチから先に提案してくれるなんてラッキーじゃない?それに強い人と戦えるなら勝っても負けても何かしら得る物はあるだろうし」
青年の説明に分身の俺が驚きながら確認して喜んで了承すると女の子が微妙な顔でツッコむように言い、分身の俺は嬉しさでテンションが上がりながら理由を話す。
「元帥、奴を連れて来てくれ」
「かしこまりました」
「…あ。そういや俺が負けた場合はどうします?」
青年がおじさんに指示を出すとおじさんが軽く頭を下げて部屋を出ようとしたところで分身の俺はふと思い出し、条件の確認をする。
「その時はそのまま魔法協会との戦争を続けるだけだ」
「おおー、流石は皇帝陛下。懐が広くて器が大きい…負けても特に何も無いなんてありがたい限りだね、感謝申し上げます」
「…いや、遠回しに死刑宣告を受けてるだけじゃない?」
青年の返答に分身の俺が意外に思いながらお礼を言って軽く頭を下げると女の子は微妙な顔で指摘した。
「まあ一騎打ちのルールは今から決める事になると思うけど…相手を殺さないと勝負が決まらない、って言うんなら多分俺は勝てないだろうね」
「流石にソレは無いんじゃない?『殺したら負け』とかならともかく…」
「それだとありがたい…ありがたいかな?もしかしたら俺と実力差が近い相手ならそんなん気にしてる余裕なんてあるか分からなそうだし…」
「え。意外…不殺主義じゃないの?」
分身の俺は帝国側の嫌がらせを想定して青年の居る前で釘を刺すように言うと女の子が否定的に返し、分身の俺が微妙な顔をしながら万が一の想定を呟くと女の子は驚いたように確認する。
「基本的にはね。でもどうしようも無い悪人と生殺とかを考えてる余裕が無い強者と戦ってる時は殺しても仕方ない、とは思ってる」
「へー…なんか意外かも…絶対人殺さないマンだと思ってたのに」
「いやいや、流石にどこかで折り合いつけないと。ずっと真っ直ぐなままでは心が折れるし、大変な事になりそうじゃん」
「うわー、結構ドライ。ってか現実的?まあ私も似たような考えだから親近感は湧くけど」
分身の俺が肯定しながら例外を教えるとまたしても意外そうに言うので反論すると、女の子は笑って弄るように返してきた。
「その通りでございます。やはり根拠を示していただかなければ…安易に敵の術中に嵌るような事があってはなりませぬ」
青年は分身の俺の提案を受け入れるかのように呟くもため息を吐いて急に否定的になり、おじさんも賛同する。
「では大公国に居る兵達が全滅しても構わない、と?手遅れになった後に結果を見て後悔するのですか?」
「ソレで駆け引きのつもりか?根拠を示せず証拠も無い…もう少しマシな内容でも考えて出直して来い」
「陛下、お待ちを」
分身の俺が説得するように脅して確認するも青年はもう取り合うつもりが無いのか、話を打ち切って追い出すみたいに返し…おじさんが止めるように割って入った。
「どうした?」
「中将の意見を聞いてからでも遅くは無いかと。もしかしたら…万が一があるかもしれません。アズマ中将、君はどう思う?」
もはやどうでも良さそうな反応になった青年におじさんがそう話して女の子に話を振る。
「私の個人的な意見としましては中継基地が破壊された事実を鑑みるに、海岸の拠点の破壊工作や彼が申し上げた計画は実行可能かと思われます」
「…では帝国軍を退却させるべきだと?」
「私の立場から申し上げさせていただくなら絶対にあり得ません。現状ではトゥレット大公国の1/3の攻略に成功し、損害は人的被害は皆無で中継基地三ヶ所が破壊され町が一つ奪い返された程度…そのような状態で退却の判断を下す事など出来ません」
女の子の考えを聞いて青年が眉をひそめながら確認すると女の子は『軍人』という立場を前提とした意見を話して否定した。
「いやー、素晴らしい。正に軍人の鑑だね。でも?」
「…私個人の考えを述べさせていただくのなら、帝国は魔法協会から手を引くべきだと思います。彼がその気になれば本当にトゥレット大公国に駐在している帝国軍を直ぐに全滅させる事が可能なはずなので…」
分身の俺が拍手して褒めながら本心を尋ねると女の子は微妙な顔をしながら個人的な意見を話し始める。
「ほう…今まで全戦全勝、敗北を知らぬ『軍神の生まれ変わり』とまで言われるアズマ中将にそこまで言わせるとは…」
「…今までは『人間』を相手に戦っていましたので…どうやら『怪物』や『化物』の相手は私には荷が重過ぎたようです」
おじさんの驚きながらの意外そうな発言に女の子は落ち込むように俯きがちに分身の俺を人外扱いして返す。
「…ならばこちらから提案がある」
「何でしょうか?」
「我々は根拠や証拠の無い話を信じるつもりは無い。つまり、その力があるかどうかを我々に示してもらおうか?」
「…内容次第ですね」
青年は少し考えて譲歩してくれたかのように言うも…曖昧な感じで話を進めてくるので分身の俺は若干警戒しながら怪しむように返事を保留した。
「なに、我々の選出した代表者と決闘してもらうだけだ。そちらが勝てば我々は魔法協会から手を引き、トゥレット大公国からも兵を引こう」
「…つまり一騎打ちって事ですか?それなら喜んで」
「…なんでそんなに嬉しそうなのさ」
「いやー、だって本当は俺が提案しようとしてた事をアッチから先に提案してくれるなんてラッキーじゃない?それに強い人と戦えるなら勝っても負けても何かしら得る物はあるだろうし」
青年の説明に分身の俺が驚きながら確認して喜んで了承すると女の子が微妙な顔でツッコむように言い、分身の俺は嬉しさでテンションが上がりながら理由を話す。
「元帥、奴を連れて来てくれ」
「かしこまりました」
「…あ。そういや俺が負けた場合はどうします?」
青年がおじさんに指示を出すとおじさんが軽く頭を下げて部屋を出ようとしたところで分身の俺はふと思い出し、条件の確認をする。
「その時はそのまま魔法協会との戦争を続けるだけだ」
「おおー、流石は皇帝陛下。懐が広くて器が大きい…負けても特に何も無いなんてありがたい限りだね、感謝申し上げます」
「…いや、遠回しに死刑宣告を受けてるだけじゃない?」
青年の返答に分身の俺が意外に思いながらお礼を言って軽く頭を下げると女の子は微妙な顔で指摘した。
「まあ一騎打ちのルールは今から決める事になると思うけど…相手を殺さないと勝負が決まらない、って言うんなら多分俺は勝てないだろうね」
「流石にソレは無いんじゃない?『殺したら負け』とかならともかく…」
「それだとありがたい…ありがたいかな?もしかしたら俺と実力差が近い相手ならそんなん気にしてる余裕なんてあるか分からなそうだし…」
「え。意外…不殺主義じゃないの?」
分身の俺は帝国側の嫌がらせを想定して青年の居る前で釘を刺すように言うと女の子が否定的に返し、分身の俺が微妙な顔をしながら万が一の想定を呟くと女の子は驚いたように確認する。
「基本的にはね。でもどうしようも無い悪人と生殺とかを考えてる余裕が無い強者と戦ってる時は殺しても仕方ない、とは思ってる」
「へー…なんか意外かも…絶対人殺さないマンだと思ってたのに」
「いやいや、流石にどこかで折り合いつけないと。ずっと真っ直ぐなままでは心が折れるし、大変な事になりそうじゃん」
「うわー、結構ドライ。ってか現実的?まあ私も似たような考えだから親近感は湧くけど」
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