子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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壮年期 9

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…その二時間後。


式もパーティーも終わったであろう時間に予想通り姫が拠点へと戻って来た。


「おかえり」

「パーティーで出された食事、とても美味しくいただけました。聞いたところによると子爵家の令嬢や跡取りが料理し、あなた様の弟妹だとか」


俺は建物のエントランスで出迎えて挨拶をすると姫が弟と妹が提供した食事の感想を言う。


「ああ、俺の技術のほぼ全てを教えてるから。今や料理の腕はほとんど差が無い、もし料理の味に差が出るとしたらソレは使ってる材料の差だね」

「なるほど。しかし子爵家の子息令嬢が厨房で指揮を執るなど初めて聞いたので驚きました…まさか手ずから料理を作るとは…」

「いやいや、一応俺も子爵家の長男だから貴族の息子よ。今は辺境伯家の当主だし」

「…あ。そう言えば…!」


俺が理由を話すと姫が納得した後に意外そうに告げられ、笑ってツッコミを入れると姫は俺をガン見しながら驚いたような反応をする。


「忘れてたの?ひでぇ」

「すみません。確かに『辺境伯』とお呼びする事もありますが…貴族らしさが全く無いのでつい」

「まあそれが長所にもなってるから不満は一切無いし変える気もないんだけど」


俺の笑いながらの弄るような返しに姫も笑って冗談を言い、今のところその状態で困る事はあんまりないから現状維持のままでいく事を告げた。


「ところで婚姻の件ですが…」

「ああ…今さっきエーデ…弟に聞いたばっかでさっき初めて知った」

「やはり、ですか?滞在の件や滞在中の様子を見ていてその可能性は考慮していましたが…先ほどダリーヌ公から謝罪と報告を受けました」

「へえ?意外」


姫はタイミングを図ったかのように話を切り出し、俺が正直に告げると姫が事前に予想してたかのように話した後にあの公爵直々に対応された事を言うので俺は軽く驚きながら返す。


「どうやらダリーヌ公が受けていた報告と担当の者の行動に相違があったそうで…」

「あー…下っ端が無能な新興貴族だったわけね。人手不足なのか紹介なのか、誰かの回し者か…」

「私もこれでもライツの王族の一員です。国の名誉や誇りを守る立場にあるので個人的な感情で勝手な行動は出来ません」

「そりゃそうだ」


姫が婦人から聞いた話を教えてくれ、俺がこうなった原因を予想しながら呟くと姫は何故か申し訳なさそうな顔で当たり前の事を言い始めるので俺はその意見に賛同する。


「なので非常に残念ですが宰相補佐と相談の上『クライン辺境伯との婚姻は先延ばし、あるいは今後の状況次第で白紙に戻す』との返事をいたしました」

「そりゃそうだ。立派な判断だと思うよ」


姫の予想通りの発言に俺は内心やった!と喜びつつも顔には出さずに同情しながら褒めるような感じで肯定した。


「…ありがとうございます」


俺は姫の判断を称賛したつもりなのに何故か姫は不服そうな顔になって不本意な感じでお礼を言う。


「まあなんにせよ流石に同盟の破棄まではいかないでしょ?」

「そこは…流石に難しいかと思います。ですが期間の短縮やラスタへの対応の仕方等に影響はあるかもしれません」

「そこはしょうがないか。やらかしたのはウチなんだし」

「…あなた様が今回の件の一番の被害者のはずですが…何故そのような責任を感じでおられるのですか?」


俺が話を変えるように同盟の話に言及して確認すると姫は否定しつつも影響がある事を示唆し、俺の諦めたような発言に微妙そうな顔になって聞いてくる。


「いやいや何言ってんの、ソッチが一番の被害者でしょ」

「え?」

「かつての敵国と同盟を結ぶために輿入れする覚悟を決めていざ赴いたら実は一切相手に話が通ってなかった…とかざまあ系の導入でも結構ヘビーなやつだよ。しかもそれで帰国して今後の対応を練らないといけないってなったら…『察するに余り有る』…はちょっと言い過ぎかな?」


俺はツッコミを入れるように否定して不思議そうな顔をしている姫に前世の記憶からの知識を織り交ぜながら現状を告げて雰囲気を重くしないように冗談を言う。


「あの…すみません、仰ってる意味が…」

「まあとりあえず簡単に言うなら俺も被害者ではあるけどソッチほどでは無い、って事」

「…そうですか?どう考えても当事者なのに一切何も知らされる事ないあなた様の方が…」

「ああ、なるほど。だから『あなた様』って呼び方だったのか…他の人と区別し易いため?」


困惑したように言う姫に簡潔にまとめて言うと不思議そうな顔で否定され、俺は今になってふと理解したので納得しながら呟く。


「まあなんでもいいや。とりあえずいつ帰るの?当初の予定よりも大分早まったんじゃない?」

「…そうですね。本来ならば一月後あたりに残った必要な物を取りに帰る予定でしたが…明日、帰国する事になりました」


俺が話を切り替えて確認すると姫は考えるように肯定して答えた。


「明日、それはまた急じゃない?でも早急に帰らないといけない事案だからなぁ…」

「つきましては猟兵隊に国境までの護衛をお願いしたいのですが…」

「ああ、危険度が上がったから。オッケー、俺らからのお詫びって事でタダにしとく」

「本当ですか!」

「ん。ちょっと早いけど、ついでにみんなを集めて合同演習でもやるつもりだから」


俺はちょっと驚きつつも納得して呟くと姫が言いづらそうな感じで依頼を出し、俺が快諾すると喜ぶので…


姫に気を遣わせないよう俺は気を遣って他の予定を前倒しにして実行する事を告げる。
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