子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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壮年期 17

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…それから二週間後。


中央騎士団の騎士団長が教会騎士団の動きを全力で止めた甲斐があって何事もなく処刑の日を迎える事が出来た。


「やーやー。処刑はどこでするの?」

「街の広場だ。おい」

「はっ!失礼します!」


辺りが明るくなり始めた時間帯に分身の俺が大聖堂へと赴き、挨拶して確認すると…


大司教のおっさんは場所を告げて教会騎士に指示を出し、騎士は分身の俺の両手をロープで後ろ手に縛り始める。


「こんな事してもどうせ逃げないのに」

「罪人を信じろというのは無理な話だな。連れて行け」

「はっ!こちらです」

「はいはい」


分身の俺の適当な感じでの発言に大司教のおっさんは睨みながら返した後に指示を出し、教会騎士達は意外な事に丁寧な対応をしながら分身の俺を広場へと案内した。



「…おおー、ギロチンか。中々に良心的だねぇ」

「こちらへ」


街の広場へと行くとステージのような台が設置されており、その上に処刑器具が設置されていたので分身の俺は皮肉交じりで呟くと騎士の一人がステージ上に登る階段の場所を教えてくれる。


「しかしえらく人がいっぱい集まったな…いくら他に娯楽が少ないとはいえ人が死ぬところなんて見ても楽しくないだろうに…」

「では!異端者が到着したようなのでこれより刑の執行を行う!」


ステージ上からは広場を埋め尽くさんばかりの民衆が集まってるのが見え、分身の俺が呆れながらため息を吐いて呟くと教会の腐った上層部の一人が高らかに宣言した。


「…最期に言い残す事はありませんか?」

「おっ。いいの?」

「おい!そんな勝手な…!」

「神の慈悲は等しく与えられるべきである…違いますか?」

「…まあいい。最期ぐらいは好きにさせてやるか」


俺らが仕込んだ司祭が予定通りに確認し、分身の俺が意外そうな演技をしながら聞くと…


他の奴らは怒ったように反発するが神の教えを説かれ納得いかなそうな顔をしつつも認める。


「あー、あー…んんっ…お集まりの民衆諸君!俺は教会によって異端者に認定されてしまったがソレは誤りである!そしてこの刑罰が神の裁きならば、どちらが正しいかは結果で決まる事になる!お集まりの教会の諸君!もし俺が刑に二度耐えたのなら自分達の過ちを認め、異端者の認定を取り消して欲しい!」

「「「なっ…!!」」」

「なぜ、二度なのですか?」


分身の俺が変化魔法を使って喉をセイレーンに部分変化させながら集まった人達にも聞こえるよう良く通る大声で主張を話すと、腐った上層部達が驚いて何も知らないであろう別の司祭が不思議そうに尋ねてきた。


「処刑に一度耐えるだけならば偶然やまぐれ、奇跡もあり得るだろうが!二度耐える事が出来ればソレは神の加護…すなわち俺が正しいから殺さぬという神の意志に他ならない!」

「…くっ…!さっさと殺せ!」

「今すぐに刑を執行しろ!」

「これ以上あやつに喋らせるな!」


分身の俺の演説のような返答に広場に集まった民衆達が歓喜の声を上げて盛り上がり始め、腐った上層部達は慌てた様子で教会騎士に命令を下す。


「さあ約束しろ!コレがただの殺人じゃないと!『神の判断に委ねる行為』だと民衆に宣言しろ!でなければこの行為はただの殺人も同然だ!」

「そうだそうだ!」

「辺境伯の言う通りだ!」

「教会ははっきり宣言しろ!」

「はっきりさせろ!」

「「「ぐっ…!!」」」


分身の俺が強気で要求を突きつけると民衆は簡単に煽動されて教会側に野次を飛ばし、腐った上層部達は困惑したような様子になる。


「…辺境伯の要求はもっともかと」

「もし二度の処刑に耐える事が出来たのであればソレは神のご意志といっても差し支えはないでしょう。本来ならば一度とて…」

「…ちぃ…どうせ直ぐに首を落とす事になる、か…」

「うむ…あのギロチンを耐えられる者など居まい」

「良いだろう!刑に二度耐える事が出来たのならば神のご意志によるものと判定し、『異端者』の認定を取り消そう!」


…教会側の人達が話し合った結果、処刑を耐える事は出来ないと判断したのか腐った上層部の一人が大々的に宣言し…集まった民衆達は耳をつんざくほどの大声を上げて凄まじいほどに沸き立った。


「よかろう!ならば俺は甘んじて神の判断に委ねるのみ!」

「…こちらへ」


分身の俺はもう一度『この処刑が神の判断である』という事を告げて教会騎士に促されるままギロチン台に首だけを固定される。


「では!これより異端者である『リデック・ゼルハイト』の刑を執行する!」


…大司教が民衆に向けて叫ぶと教会騎士団の騎士団長がギロチンの刃に繋がっている紐を斧で切り…


刃が勢いよく落ちて来て分身の俺の首に当たったがやはり薄皮一枚切れる事無く首に触れた状態でピタリと止まった。


「おや?もしかして刃が錆びてたのかな?それとも刃こぼれ?」

「おい!その斧で上から叩きつけろ!」

「はっ!」


分身の俺が余裕の態度でニヤリと笑いながら弄るように言うと大司教が焦ったように指示を出し、騎士団長は斧を振りかぶるとギロチンの刃を上から叩きつける。
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