クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
48 / 556

48

しおりを挟む
…パーティー開始から約一時間後。


「おい兄ちゃん。今は余裕があるから料理を教えてやるよ」

「お。マジで?」

「最初は誰でも作れる『ソフレ』からだ」


おっさんは周りの人達が忙しそうに料理を作っている中、マイペースに卵の殻を割って中身をボウルの中に入れてかき混ぜる。


そして作業工程を一から十まで全て言葉で説明しながらオムレツを完成させて皿に移す。


「食べてみな」

「…うっま…!すっげ。ふわふわでトロトロだけど食感がちゃんとある!」

「ソフレ自体は子供でも作れるがコレがプロの技術ってもんよ」

「へー、俺もやってみて良い?」

「おう!やってみな」


流石『世界でもトップクラスの料理人』っていう肩書きがあるだけあって凄い美味い料理を教えて貰ったので、俺は兵士を召喚して同じ物を作らせた。


「…ほう、見た目は完璧だな…どれ」


俺が教えて貰った作業工程を兵は寸分の狂いなく真似して全く同じ料理を作り上げる。


「…!なるほど…見た目、食感は完璧だ。しかし味の方はもう一歩だな」

「へー」

「どうやら味付けが間違ったようだな。いや、教え方の問題か…」


もう一度作る。とおっさんは何故かもう一回同じ料理に取り掛かった。


「いいか、味付けは感覚だ。なぜなら体内時計の間隔が人それぞれだからだ。俺の3秒も兄ちゃんには4秒かもしれんし、ソイツでは2秒かもしれん」


コンマ数秒の差で味は大きく変わる!と、おっさんは卵を混ぜてる時からすでに味付けの説明を始める。


「その感覚を掴むためには経験を積むしかない。数十数百とひたすらに作り続けて初めて辿り着ける境地だ」

「ふーん」


おっさんが良く分からん事を言い出すので俺は興味無さげに適当に返す。


「1、2、3……このタイミングだ」

「へー」


急に数字を言い出したかと思えば秒数を数えてたようで俺が別のところを見てるタイミングで調味料を投入してたらしく…再び見た時にはもう調理が終わっていた。


「もう一度やってみろ」

「はいはい」


おっさんの指導に俺は兵に指示して今見せた事をそのままやらせる。




「…ふ、はは!たった、たった二度で同じ物を作るか!俺の指導力も更に磨きがかかっているな!」


兵が作った物を食べると何故かおっさんは笑い出し…


俺のスキルによる兵士達の学習力の高さが成せる事なのにも関わらず意味不明に自分を褒め出す。


「気に入ったぜ兄ちゃん!良いだろう。俺の技術を全て叩き込んでやるぞ!」

「お、マジで?」

「ああ!楽しみにしていろ!」 


おっさんの言葉に俺が確認すると頷いた後に仕事の時間が戻って来たのかパーティー料理の作業を再開した。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...