クラスまるごと異世界転移

八神

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「杖?あ、そっか。そうだよ!柴、お前すげーな、良く気づいたわ。海、あの杖を深山にあげた方が良いんじゃねーの?」

「杖…ああ、はいはい。アレね…オッケーオッケー」


藤原も柴田の言いたいことに気づいたのか俺に急かすように言ってくるので、俺は少し考えて察したので頷く。


「おい、深山。コレ貰うか?」

「…なにこれ…?杖?」

「あとコレとコレ。俺らからのプレゼントだ」

「…プレゼント…?…私なんかに?ホントにいいの?」


広場のベンチに座っている深山に俺が『死皇帝の杖』『死皇帝の王冠』『死皇帝のマント』を兵に持って来させて渡すと、深山は遠慮するように柴田と藤原を見た。


「いらねーんだったら別に無理して貰わなくてもいーんだぜ?」

「そーそー、俺らだって押し付ける気はねーしな」

「ううん、ありがとう…!嬉しい!さっそく付けても良い!?」

「お、おう」


プレゼントを貰って上機嫌になったのか…いきなりのハイテンションでの確認に俺が気圧されていると、さっそく深山がウッキウキで嬉しそうに『死皇帝』シリーズを装備し始める。


「…ふ、ふふ…」

「…や、やっぱ…」

「どう?似合う?」

「…ふっ…はは…さ、斉藤…」


…やっぱり可愛めの女の子が立派な王冠を被って、王様が羽織ってるような赤いマントを羽織り、禍々しい大きめの杖を持っている姿はアンバランス過ぎて、いつ見ても『笑える』の一言だった。


「うーん…ミミちゃんでもやっぱこの王冠は厳しいんだねー」

「うん。やっぱり理恵みたいにサークレットにした方が良いかも」

「え、サリーとお揃いのサークレット?」


俺らが必死に笑いを堪えている中、女子二人は普通にファッションチェックをしており…


住吉の発言に深山は嬉しそうな笑顔で反応する。


「マントはカーディガンにしたらどうかな?私たちのコレも海原君達から貰った物を仕立て直したモノだし」

「あ、その可愛いカーディガン?サリーとスミーとお揃いだし、欲しい!どうやったの?」

「海原君お願いして良い?」

「あ、ああ…分かった。んじゃその後はギルドだな」

「うん、お願い!ありがと!」


俺はマントと王冠を受け取ってサークレットとカーディガンのデザインが書かれた紙を手に仕立て屋へと向かった。



…そして夕方。



仕立て終わったカーディガンとサークレットを受け取りみんなでギルドに行って、所持品登録を済ませる。


「…ミミの装備にみんなものすごく驚いてたね…理恵の時以上だったよ」

「そうだね。私の時は受付の人とか絶句しなかったもん」

「…良く見たらこの『死皇帝』って、なんか凄い名前なんだけど…海原くん達はこんな物をどこで手に入れたの?」

「どこだっけ?」

「『黄泉への誘い』とかいうやべーダンジョン。瘴気っつーのが凄くてよ…聖水を大量に持ってった」

「一応『黄泉比良坂』って呼ばれてたりもするぜ。ボスも中々にしぶとかったよなー…倒すまで結構時間かかってたし」

「そ、そう…やっぱり凄いんだ…」


深山の疑問に俺がそのまま質問をスルーパスすると藤原と柴田がダンジョンについて軽く説明して、深山は若干ヒいたように呟く。
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