クラスまるごと異世界転移

198

「！！？また、場所が…！」

「ココは王都だね。一応ほら…王様達に事情の説明とかしないといけないし？」

「王都…？まさか、ドロウィンの！？」

「そうそう。この家は正確には家じゃなくて中継基地みたいなもんなんだけど…まあいっか」


俺は更に驚く王子にある程度の説明をして面倒になったので途中で終わって城へと向かう。


「おや？ウミハラ殿、その御方は？」

「トルツの王子」

「「「！！？」」」


城の裏庭でいつも通り巡回の兵に声をかけられたのでそう返すと周りの兵も聞こえたのか一気に雰囲気が変わった。




…ような気がする。




「と、トルツの王子と言いますと…」

「まあ今は招待されたワケでも無くプライベートだし、そんな気を使わなくても良いんじゃない？」

「そうだな」


兵が緊張した表情で聞いてくるので俺が軽く返すと王子も同意した。


「わ、分かりました。そう仰られるのであれば…」

「じゃ、警備よろしく」

「おっ、兄ちゃん。今クランチェスターに行ってるんじゃなかったのか？隣の色男はもしかしてトルツの王子か？…まさかな！」


兵に労いの言葉をかけて城の中に入るといつも通り料理長が話しかけてくる。


「お、良く分かったな。トルツの第四王子だよ」

「ま、マジかよ…俺はこの城の料理長を任されている。何度かお目にかかった事はあるはずだが…まあよろしくな」

「…よろしく」


俺が軽く驚きながら返すと予想外だったのか料理長は驚いて自己紹介をした。


「んじゃ、いつも通り5体で」

「おう。ありがとよ」


俺は料理長に5体の兵を預けてとりあえず佐藤の部屋へと向かう。


「あれ！？海原もう戻って来たの！？」

「まあな…ってかどっから出て来たんだよ」

「今クランチェスターの対応を巡って協議中。私は海原から電話で聞いた事を話すために呼ばれたんだけど…」


廊下を歩いてる最中にどっかの部屋から出てきたと思えばこっちを見て驚く佐藤に俺が聞くとどうやら既に会議みたいなのが始まっているらしい。


「…で？そのイケメンは誰？もしかして電話で言ってた王子？」

「おう。お前が世話になった『魔法農法』を生み出したえらい人よ」

「マジ！？このイケメ…この王子様が！？…ありがとうございます。そちらの研究には大変お世話になりました」


佐藤の問いに答えると驚いた後にすぐさま真面目な表情になって笑顔を見せながらお礼を言い頭を下げる。


「あ…いえ…研究…？」

「ほー、ソレがよそ行きの顔か。貴族でも通用する真面目なツラだな」

「…茶化さないでくれる？」

「…ごめん」


困惑する王子をよそに俺が思った事をそのまま言うと佐藤が笑顔のまま怒ったかのように言ってくるので、俺は意味不明にちょっと怖くなったので適当に謝った。


「…魔法農法は未だ研究中ですが、世話になったと言うのは？」

「ああ。俺なら実用レベルで使えるようになったからその報告をした方が良い…って王妃と佐藤に言われてな。だからあの国まで行ったってわけだ」

「ああ、なるほど…人を揃える能力とは相性が良いのか…」


王子の疑問に俺が答えると少し考えたように呟いて納得する。