クラスまるごと異世界転移

八神

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「…ただの魔法強化だぜ?出来る奴は限られてっけど、特に珍しい技術でもねーし」

「…あー、なるほど。ソレの防御系統のやつね」

「じゃああの聖石にも術式とやらが組み込まれてんのか?」

「いや、アレには無理だな。出来ねー事はねーが無理やり術式入れて強化すると聖水の効果が消える」

「はあ~…付与効果の上書きみたいな感じか…『一長一短』とか『あちらを立てればこちらが立たず』と言うべきか?魔法強化ってやつも意外と難しいんだな」

「な」


俺の説明に柴田と藤原が納得したようなので…


次は鉄門を開けて外の堀も見せる事にした。


「あ、なるほど!周りは塹壕みたいになってんのか!」

「深さは約4m、距離にして約10m。水を入れれば空飛ぶ魔獣以外は攻めるのに苦労するだろうよ」

「へぇ~…壁を作るための土で堀を作るたぁ考えたな!」

「魔獣に対して効果があるのか分からんが一応な。後で跳ね橋作らねーといけねーのが面倒だけど」


…柴田と藤原の知りたい事にはちゃんと説明して答えてあげたので、俺らは馬車に乗って中心部のテントへと帰還する。



「…ココの拠点ってどこらへんだ?」

「多分ココらへんじゃね?」

「…そーいや、この大陸がダンジョン扱いになるんならよ、ダンジョンマップとか使ったらどうなんの?」

「…そーいえば…」

「…見てみるか」


外のテーブルに地図を広げて現在地を確認する柴田と藤原に俺がふと思いついた事を聞いてみると二人は別の地図を取り出した。


「「おっ!」」


するとその地図を見て二人同時に声を上げる。


「この大陸でも使えるみてーだな!」

「ちゃんと俺らが通って来た場所やその周りの事が分かるようになってるわ!」

「マジで?」

「まじまじ!ほら!」


藤原と柴田の報告に俺が確認すると二人とも頷いて柴田がダンジョンマップを見せて来た。


「…おおー、ちゃんとした地図みたいになってんのな」

「最初からコレ使っとけば良かったな」

「全くだ。そしたらある程度進む場所も選べたのに…」

「…この拠点から前の拠点まで直線距離で1011キロってよ。俺ら結構進んだな」

「「マジ?」」


ガッカリしたような柴田と藤原に最初の拠点との距離を言うと驚いたように地図を見る。


「マジだ!めっちゃ進んだな!」

「でも中心部は遠いな…この距離で1000って事は残り4000ぐらいありそうじゃね?」

「車で100キロでも40時間か…実際は一ヶ月ぐらいかかりそうだな」

「それぐらいで済めば早い方だろ」

「「確かに」」


俺と柴田が大陸の中心部までの距離と期間を予想すると藤原はポジティブに解釈して返すので俺らも同意した。


「まあとりあえず俺は鉱石と果物とかを渡して来るわ。藤、頼む」

「おう」


話がひと段落したところで俺は藤原にお願いしてスキルの連携でワウシャープの家へと移動する。


そして王子が居るであろう王宮へと向かった。


「ん?何用だ」

「こっちの第三王子に用があってね。鉱石を渡しに」

「第三…ルドラ王子か。あいにくだが今は宮の中には居ない」

「マジで?どこ行ったか分かる?」

「『バール』という鍛冶屋だ。場所は…」


守衛だか門番の兵士は親切にも王子が居るっぽい鍛冶屋の場所を地図を広げて丁寧に教えてくれる。
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