361 / 556
361
しおりを挟む
「…ん?」
「どうかした?」
「…この前のとは違って果肉がほとんど無い。逆に種がほとんどを占めているな」
「げー。って事は食べられねーの?」
「食べられない事は無いが…『食べる』と言うよりも『舐める』になるな。ほら」
木の実を切って中身を見ながら言う料理長に俺がそう尋ねると表現方法の違いを告げながら切った物を見せてくれる。
「…マジだ。種しかねーじゃん…外れかよ…」
「……ふむ。もしかしたらコレは種を加工する類の木の実かもしれんな」
コッフェやチョコのように。と、落胆しながら呟く俺に料理長は活用方法を予想した。
「ふーん。でも俺コーヒーとかあんま飲まねーからな…」
「とりあえず乾燥させた後に焙煎させてみよう」
「まあやるだけやってみるか」
なんか料理長が自前でやろうとするので俺は一応魔導兵を召喚して手伝ってあげる事に。
…その夜。
「うまっ!なんだこのコーヒー!?」
「全然苦くねーし、ココアばりにめっちゃ甘いじゃん!」
「しかもそれでいて香りやべーし、コクとか深みとか風味とか…後味もエグっ!」
「…コレで無糖ってマジ?」
「いや、淹れるの見てただろ」
「いや、そーだけど…」
「…俺、甘いコーヒーは邪道だと思ってたけど、ここまでコーヒーの良さを前面に出してる甘さだったら認めるわ」
魔法の力で乾燥や焙煎させたコーヒー豆を柴田と藤原に振る舞うと絶賛された挙句に柴田が謎のこだわりを言い出して容認し始めた。
「ちなみにあのさくらんぼみたいなヤツがコーヒー豆で、パパイヤみたいなヤツはカカオだった」
「カカオ…って事はチョコか?」
「ココアもじゃね?」
「とりあえずコレ。そのカカオ100%で砂糖不使用のチョコ」
「「…うまっ!!」」
俺の報告に藤原と柴田が不思議そうな顔をするので料理長が作ったチョコを出すと二人とも食べて直ぐに絶賛するように叫ぶ。
「…あーでもアレだな…このチョコには普通の苦いコーヒーが合いそうだな」
「そうか?普通にこれでも合うと思うけど」
柴田がチョコを食った後にコーヒーを一口飲んでわがままみたいな事を言い出すも藤原は普通にコーヒーをグビグビ飲んで不思議そうに返す。
「あとコレ…魔法調法でしか作れない特別な『霊水コーヒー』略して『霊コー』」
「『冷水』と『霊水』を掛けたのかよ。ただのダジャレじゃねーか!」
「つーか霊水の『霊』って幽霊の『霊』だろ?字にしたらなんか危なくね?」
「まあ言い方で言えば冷光とも被るけどな」
「…うまっ!良く分からんけど頭が冴えてめっちゃ気分上がるっつーか、テンションハイになるじゃん!」
「…藤がなんか意味分からん事言い出したけど、大丈夫か?コレ飲んで」
俺の出した霊水コーヒーを飲んだ藤原が立ち上がっておかしなテンションになるので柴田は不安そうにコーヒーを見ながら確認してきた。
「カフェインとかポリフェノールとかそこらへんの影響じゃね?多分コレ飲んだら今日はオールでゲーム大会になると思う」
「んな適当な……うまっ!…おお…!なんか気分が良くなったというか胸がスッとしたというか、確かにテンション上がるな!コレは!」
俺がざっくりとした予想を話すと呆れつつも誘惑には勝てなかったのか…
柴田も結局は霊水コーヒーを飲んで変なテンションになって立ち上がる。
「まあストレスとかにも効果あるだろ。多分」
「よっしゃ格ゲーしようぜ格ゲー!」
「おう!」
「コントローラー壊すなよ」
藤原と柴田がハイテンションのままゲームをしようとするので俺は一応注意として釘を刺す。
「どうかした?」
「…この前のとは違って果肉がほとんど無い。逆に種がほとんどを占めているな」
「げー。って事は食べられねーの?」
「食べられない事は無いが…『食べる』と言うよりも『舐める』になるな。ほら」
木の実を切って中身を見ながら言う料理長に俺がそう尋ねると表現方法の違いを告げながら切った物を見せてくれる。
「…マジだ。種しかねーじゃん…外れかよ…」
「……ふむ。もしかしたらコレは種を加工する類の木の実かもしれんな」
コッフェやチョコのように。と、落胆しながら呟く俺に料理長は活用方法を予想した。
「ふーん。でも俺コーヒーとかあんま飲まねーからな…」
「とりあえず乾燥させた後に焙煎させてみよう」
「まあやるだけやってみるか」
なんか料理長が自前でやろうとするので俺は一応魔導兵を召喚して手伝ってあげる事に。
…その夜。
「うまっ!なんだこのコーヒー!?」
「全然苦くねーし、ココアばりにめっちゃ甘いじゃん!」
「しかもそれでいて香りやべーし、コクとか深みとか風味とか…後味もエグっ!」
「…コレで無糖ってマジ?」
「いや、淹れるの見てただろ」
「いや、そーだけど…」
「…俺、甘いコーヒーは邪道だと思ってたけど、ここまでコーヒーの良さを前面に出してる甘さだったら認めるわ」
魔法の力で乾燥や焙煎させたコーヒー豆を柴田と藤原に振る舞うと絶賛された挙句に柴田が謎のこだわりを言い出して容認し始めた。
「ちなみにあのさくらんぼみたいなヤツがコーヒー豆で、パパイヤみたいなヤツはカカオだった」
「カカオ…って事はチョコか?」
「ココアもじゃね?」
「とりあえずコレ。そのカカオ100%で砂糖不使用のチョコ」
「「…うまっ!!」」
俺の報告に藤原と柴田が不思議そうな顔をするので料理長が作ったチョコを出すと二人とも食べて直ぐに絶賛するように叫ぶ。
「…あーでもアレだな…このチョコには普通の苦いコーヒーが合いそうだな」
「そうか?普通にこれでも合うと思うけど」
柴田がチョコを食った後にコーヒーを一口飲んでわがままみたいな事を言い出すも藤原は普通にコーヒーをグビグビ飲んで不思議そうに返す。
「あとコレ…魔法調法でしか作れない特別な『霊水コーヒー』略して『霊コー』」
「『冷水』と『霊水』を掛けたのかよ。ただのダジャレじゃねーか!」
「つーか霊水の『霊』って幽霊の『霊』だろ?字にしたらなんか危なくね?」
「まあ言い方で言えば冷光とも被るけどな」
「…うまっ!良く分からんけど頭が冴えてめっちゃ気分上がるっつーか、テンションハイになるじゃん!」
「…藤がなんか意味分からん事言い出したけど、大丈夫か?コレ飲んで」
俺の出した霊水コーヒーを飲んだ藤原が立ち上がっておかしなテンションになるので柴田は不安そうにコーヒーを見ながら確認してきた。
「カフェインとかポリフェノールとかそこらへんの影響じゃね?多分コレ飲んだら今日はオールでゲーム大会になると思う」
「んな適当な……うまっ!…おお…!なんか気分が良くなったというか胸がスッとしたというか、確かにテンション上がるな!コレは!」
俺がざっくりとした予想を話すと呆れつつも誘惑には勝てなかったのか…
柴田も結局は霊水コーヒーを飲んで変なテンションになって立ち上がる。
「まあストレスとかにも効果あるだろ。多分」
「よっしゃ格ゲーしようぜ格ゲー!」
「おう!」
「コントローラー壊すなよ」
藤原と柴田がハイテンションのままゲームをしようとするので俺は一応注意として釘を刺す。
10
あなたにおすすめの小説
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
二重異世界行ったり来たりの付与魔術師 ~不幸な過去を変えるため、伝説のダンジョンを攻略して神様の武芸試合で成り上がる~
けろ壱
ファンタジー
佐倉三月(さくらみづき、28歳男)は二重の異世界転移に巻き込まれる。
あるときは伝説のダンジョンを攻略する使命を背負った勇者として。
中世ファンタジー世界を舞台に、エルフの美女二人と深き迷宮の彼方を目指す。
あるときは落ちぶれた女神を救うため、神々の奉納試合を戦う戦士として。
和風な神の世界を舞台に、数多の神々との戦いを勝ち抜いて成り上がる。
授かったスキルはかなり特殊なチート付与魔法。
様々な能力を自分だけでなく、他の人や物に与えることができる。
やがて二つの異世界転移は、現実世界で恋人を失った過去に繋がっていると判明。
各異世界でのクリア条件を満たせば過去を変えられるらしい。
恋人を取り戻し、希望の未来を掴むため──。
和洋の異世界と現実世界を股に掛ける過去改変二重異世界物語。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる