クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
399 / 556

399

しおりを挟む
…翌日。



「…ん?」

「…お」


運動がてら野郎三人で拠点内を歩いて見て回っているとクラスメイトの駒込と遭遇した。


「駒込じゃねーか。お前も来てたのか」

「ようやく段位持ちになれてな。今さっき着いたばっかだ」


柴田が話しかけると駒込は得意気にライセンスを見せながら言う。


「別に階級にこだわらず佐藤に言えば普通に来れたのに」

「特別扱いして貰っても実力不足じゃどのみちココではやっていけないだろ」

「おうおうプロ意識が高くて立派な事で」


藤原の発言に駒込が冒険者としてのプライド的な事を言い出すので俺は弄るように返した。


「そう言えば高木だっけ?は元気か?」

「なんだかんだめっちゃ馴染んでるぜ」

「マジか。ちょっと心配してたんだけど杞憂だったか」

「気になるんなら教会に行ってみれば?多分深山達と一緒に居ると思うぞ」


駒込がクラスメイト女子の名前を出して現状を聞いて来るので柴田が答えると安心したように言い、俺は居場所を教える。


「そうか、じゃあ後で様子を見に行ってみるわ。とりあえず俺は先に行く所があるから…じゃあな」

「おう。またな」

「じゃーな」


駒込は手を上げて別れの挨拶をするので俺らは手を上げて挨拶を返す。


「…駒込が来てんのならそろそろ委員長とかも来そうだな」

「あー、確かに」

「駒込のクソスキルでも本人の努力次第で段位持ちになれるんだから委員長のスキルなら楽勝だろうしな」


駒込と別れた後に俺がふと思った事を言うと藤原と柴田も同意した。


「他のクラスメイトの奴らとかも来そうだけど…会った時に制服着けてねーと分からねーかもな」

「…まあ。でも駒込ん時みたく多分アッチから声かけてくんじゃね?」

「一応冒険者やってるなら俺らの名前は有名だろーし」

「藤と柴はソレで良いが俺の場合は制服が判断基準だからな…ま、なるようになるか」


この世界に来てまだ会った事の無いクラスメイト達とばったり会った時の事を想像しながら話すが、考えるのも面倒になったので途中で打ち切る事に。



「お、あんたは…もう武器屋はやってないのか?」

「武器屋?ああ…今は休業中だね」

「なんでだ?原材料の枯渇か?それとも他の冒険者達が剣以外も揃えろと無茶を言ったせいか?」


…拠点内を歩いていると突然冒険者の格好をした男に話しかけられたので『なんだこいつ…?』と思いながら適当に流すも、なぜか男はグイグイ理由を聞いてきた。


「別に。ちょっと纏まった金が入ったから休業してるだけだし」

「そ、そうか…いつ再開する予定なんだ?」

「また金に困ったら。だからしばらくはやらないと思う」

「…頼む!俺に鎧を作ってくれ!」


俺の返答を聞いて男は何故か手を合わせて要望を言い始める。


「人の話はちゃんと聞けよ。『今休業中だ』って言っただろ」

「金は出す。…金貨換算で4万枚でどうだ?」


俺が断るように言うと男は手を開くと親指を曲げて剣の金額よりも高い金を提示した。


「おおー、結構出すねぇ」

「どうすんだ?4万じゃやっぱ少ないか?」

「くっ…!5万、までなら…!」


藤原の弄るような言葉に柴田がニヤニヤと笑いながら俺に確認すると男は苦しそうに提示額を上げる。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

二重異世界行ったり来たりの付与魔術師 ~不幸な過去を変えるため、伝説のダンジョンを攻略して神様の武芸試合で成り上がる~

けろ壱
ファンタジー
佐倉三月(さくらみづき、28歳男)は二重の異世界転移に巻き込まれる。 あるときは伝説のダンジョンを攻略する使命を背負った勇者として。 中世ファンタジー世界を舞台に、エルフの美女二人と深き迷宮の彼方を目指す。 あるときは落ちぶれた女神を救うため、神々の奉納試合を戦う戦士として。 和風な神の世界を舞台に、数多の神々との戦いを勝ち抜いて成り上がる。 授かったスキルはかなり特殊なチート付与魔法。 様々な能力を自分だけでなく、他の人や物に与えることができる。 やがて二つの異世界転移は、現実世界で恋人を失った過去に繋がっていると判明。 各異世界でのクリア条件を満たせば過去を変えられるらしい。 恋人を取り戻し、希望の未来を掴むため──。 和洋の異世界と現実世界を股に掛ける過去改変二重異世界物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...