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「…みんな20万なの?私の時なんて15万だったけど…」
「はん、若いからってなんでも思い通りに行くと思ったら大間違いだよ。良い気味さね」
「た、タイミングが、悪い…」
お姉さんの不満そうな言葉におばさんは嬉しそうに鼻を鳴らして笑い、男もニタニタ笑う。
「…はい、これ…」
「これよ、コレ…!あんた、即金で一括なんて分かってるじゃない!」
「う、うへへ…!金…!」
「…ん?…ああ、金か……うむ、確かに…」
とりあえずお姉さんを除く全員に前金で20万ゼベルを渡していく。
「…タイミングねぇ…」
「…はい、残りの5万ゼベル…」
「…え…?」
残念そうに呟いて背中を向けたお姉さんに金を差し出してそう告げると、勢い良く振り向いた後に現金を見て驚く。
「…いいの…?」
「…もともと、決まった時に渡す予定だったから…一人だけ、損をさせるのは流石に…」
「…ふっふーん、来て良かった。さすが私、タイミングが良い」
なぜ用も無いのに居るのか分からなかったけど…
情報屋に頼む手間が省けて良かった…と思ってたらお姉さんがおばさんや男を煽るようにドヤ顔をした。
「…チッ」
「なにさ、喧嘩売ってるの?」
「やめんか。金を受け取ったからには仕事が先だ」
男とおばさんとお姉さんが険悪ムードになる中、白髪の爺さんが一喝するように言う。
「…その通り、スキル合成は3万ゼベルだ」
「…はい」
黒いフードの爺さんが賛同して料金を提示するのでその額を払う。
「…うむ、確かに…では、あの魔法陣の真ん中に…」
受け取った金額を確認してお姉さんが寝転がっているベッドを指差すと、お姉さんに手招きされた。
…その後。
魔方陣の真ん中に移動するや否やお姉さんがベッドから退いて…
いつもと同じようになんの感覚も無いまま直ぐに儀式的なものは終わった。
これで俺は世界初のレベル10のテイムスキルを手に入れた事になるけども…
当然のごとく、実感はゼロ。
…何の努力も無しに技術を手に入れるとそんなものなのかもしれない。
…儀式的なものが終わるとみんなは直ぐに宿から出て行った。
結局、あのお姉さんは何をしに来たのか分からないまま別れの挨拶とともに手を振っていなくなる。
「…どうでした?」
「…やっぱり何の実感もない…騙されても、気づかないかも…」
「まあ、魔物の一匹や二匹でも捕まえたら実感も湧いてくるでしょう」
ただし、捕まえられたら…の話ですが、と情報屋の男はフォローしてるかしてないのか分からない言葉をかけてきた。
俺もなんて返したら良いのか分からないので愛想笑いで返して大通りへと戻る。
「…じゃあ、魔物を捕まえたら見せて下さいね」
「…あ、待って…お金…」
「そうでしたね!私とした事が…いつも前払いだからついうっかり…えーと…」
男が去る前に会計をまだ済ませてない事を告げると自分の頭を叩いて計算を始める。
「…2万ゼベル、ですね」
「…はい」
「…まいどあり!またいつでも、ぜひご贔屓に」
男は金を受け取ると確認して頭を下げ、どこかに歩いて行った。
「はん、若いからってなんでも思い通りに行くと思ったら大間違いだよ。良い気味さね」
「た、タイミングが、悪い…」
お姉さんの不満そうな言葉におばさんは嬉しそうに鼻を鳴らして笑い、男もニタニタ笑う。
「…はい、これ…」
「これよ、コレ…!あんた、即金で一括なんて分かってるじゃない!」
「う、うへへ…!金…!」
「…ん?…ああ、金か……うむ、確かに…」
とりあえずお姉さんを除く全員に前金で20万ゼベルを渡していく。
「…タイミングねぇ…」
「…はい、残りの5万ゼベル…」
「…え…?」
残念そうに呟いて背中を向けたお姉さんに金を差し出してそう告げると、勢い良く振り向いた後に現金を見て驚く。
「…いいの…?」
「…もともと、決まった時に渡す予定だったから…一人だけ、損をさせるのは流石に…」
「…ふっふーん、来て良かった。さすが私、タイミングが良い」
なぜ用も無いのに居るのか分からなかったけど…
情報屋に頼む手間が省けて良かった…と思ってたらお姉さんがおばさんや男を煽るようにドヤ顔をした。
「…チッ」
「なにさ、喧嘩売ってるの?」
「やめんか。金を受け取ったからには仕事が先だ」
男とおばさんとお姉さんが険悪ムードになる中、白髪の爺さんが一喝するように言う。
「…その通り、スキル合成は3万ゼベルだ」
「…はい」
黒いフードの爺さんが賛同して料金を提示するのでその額を払う。
「…うむ、確かに…では、あの魔法陣の真ん中に…」
受け取った金額を確認してお姉さんが寝転がっているベッドを指差すと、お姉さんに手招きされた。
…その後。
魔方陣の真ん中に移動するや否やお姉さんがベッドから退いて…
いつもと同じようになんの感覚も無いまま直ぐに儀式的なものは終わった。
これで俺は世界初のレベル10のテイムスキルを手に入れた事になるけども…
当然のごとく、実感はゼロ。
…何の努力も無しに技術を手に入れるとそんなものなのかもしれない。
…儀式的なものが終わるとみんなは直ぐに宿から出て行った。
結局、あのお姉さんは何をしに来たのか分からないまま別れの挨拶とともに手を振っていなくなる。
「…どうでした?」
「…やっぱり何の実感もない…騙されても、気づかないかも…」
「まあ、魔物の一匹や二匹でも捕まえたら実感も湧いてくるでしょう」
ただし、捕まえられたら…の話ですが、と情報屋の男はフォローしてるかしてないのか分からない言葉をかけてきた。
俺もなんて返したら良いのか分からないので愛想笑いで返して大通りへと戻る。
「…じゃあ、魔物を捕まえたら見せて下さいね」
「…あ、待って…お金…」
「そうでしたね!私とした事が…いつも前払いだからついうっかり…えーと…」
男が去る前に会計をまだ済ませてない事を告げると自分の頭を叩いて計算を始める。
「…2万ゼベル、ですね」
「…はい」
「…まいどあり!またいつでも、ぜひご贔屓に」
男は金を受け取ると確認して頭を下げ、どこかに歩いて行った。
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