商人でいこう!

八神

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「えー…僭越ながら、私が音頭をとらせていただきます…此度での戦い、本当にお疲れ様でした。美味しい料理がたくさん用意されていますので、存分にお楽しみ下さい…かんぱーい!」


結構有名らしいレストランで情報屋の男が飲み物を上げて合図をすると、かんぱーい!!とみんながそれぞれ持っていた飲み物を上げる。


「いやー、めでたいですな!あんな歴史的瞬間に立ち会えたなんて!」

「全くですよ!しかもこんなご馳走まで…我々も頑張ったかいがありましたな!」


広い店を貸し切りにしているので、情報屋達がはしゃいだように大声で盛り上がっても文句言う人は居ない。


「おや、お兄さん…そんな隅っこでどうしました?」


…俺は話し相手がいないので目立たないように端っこでジュースを飲んでいたら情報屋の男が話しかけてきた。


「あ、いや…みんな食べるのに夢中で、話す相手がいないから…」

「…あれほどの死闘を乗り越えた後ですからね。およそ3日振りの食事でこんな豪勢な料理が出てきたら…仕方ないですよ」


ボッチな俺を哀れんでなのか男が隣に移動して来る。


「…みなさんが羽目を外して楽しんでいる最中にする話では無いと思いますが…報酬について話しておこうかと」

「…あ、そうか…一人あたりいくらの成功報酬だったの?」


男の報告に俺は、そういや詳しくは聞いてなかったな…と思い尋ねた。


「依頼としての報酬は一人あたり5万ゼベルですね」

「…うわぁ…」

「ですが」


あのドラゴンと戦ってたったの500万円とか割に合わな過ぎる…とヒいて呟くと男が補足するような感じで話を続ける。


「依頼の報酬とは別に、懸賞金から支払われる成功報酬がありまして…」

「…懸賞金?あの魔物に付いてたのと似たような感じ」

「ええ、ですがその比じゃないですよ…桁が違う」


なんせあのドラゴンに付いてた懸賞金…全て合わせると5億を超えますから。と男は文字通り桁が違う内容を告げた。


「…ご、5億…?」

「はい。とある国際組織が2億、先進国の中に1億の賞金をかけていた国が二つ…後は世界各国の賞金で1億あまり…ですね」


日本円に換算すると500億…?と俺が驚いていると情報屋の男が詳細を教えてくれる。


「本来なら依頼主であるお兄さんが賞金を総取り…なのですが、いかがしますか?」


男は笑顔ながらも、まさか独り占めしないだろうな…?という圧をかけるように確認をとってきた。


「…最初に、全部任せる…って言ったから…」


貰う。って言ったら後が怖そうだし、なにより手続きが面倒なので俺は情報屋の男に丸投げする事に。


「素晴らしい!!お兄さんなら、そう仰って下さると信じていました!」


それでこそ、私達も手を貸す価値があるというものです!と男は何故か叫んで勢いよく立ち上がると両手を広げて天を仰ぐ。


…普通なら狂人として注目を浴びそうだけど今日は周りもドンチャン騒ぎでうるさいので少しの人にしか視線を向けられなかった。


「…どういうこと?」

「実は皮算用ではありましたが、事前に賞金の分配の方を試算させていただきました」

「…はあ…」


情報屋の男の言ってる事がイマイチ理解できないので適当に相槌を打つ。


「依頼主のお兄さんに1億ゼベル。ドラゴンと戦った実行者達に1000万ゼベルずつ。そして、残りの2億あまりを我々情報屋で…という手筈になっております」

「…うん、いいんじゃない?」


多分俺の了承の返事が欲しいからわざわざ説明してるんだろうなー…と察したので、とりあえず頷いて内容に賛同する。


「…ありがとうございます。お兄さんの手元に入るのは早くて一週間前後、遅くとも一月前後には入るよう進めてまいります」

「…あー、うん…」


男は頭を下げながらまたしても返答に困るような事を言うので俺は相槌しか打てない。


「いやぁ、お兄さんと知り合えて良かったですよ…私達は本当に運が良い」

「…そうなんだ」

「では、これからも何かありましたら当方をよろしくお願いいたします」


では…と男は営業トークみたいな挨拶の後に手を振って離れて行く。


「どおー?飲んでるー?食べてるー?」


男がいなくなり、ふぅ…と息を吐いたら安心したのもつかの間…


今度はあのお姉さんがワインの瓶を片手に絡んで来た。


「いやー、このワイン美味しー……ほら、これ。つまみじゃなくても美味しいから食べてみて」

「…あ、ありがと…」


お姉さんはワインをラッパ飲みしながら自分の皿を差し出す。


…断るのも悪いので、見た目が美味しそうなベーコンが巻かれてつまようじが刺さってる料理を食べた。


「どおー?美味しいでしょ?はんぺんとかいう良く分からないのをチーズとベーコンで巻いた料理なんだって」

「…はんぺん…?こんな美味しかったんだ…」

「コレはそのはんぺんでチーズとしそのはっていうのを挟んで揚げた料理。あはは!はんぺんってなんだろねー?こんなに美味しいのに、初めて聞いたー!」


かなり飲んでいるのかお姉さんは俺の肩に手を回していかにもな酔っ払いの絡み方をする。
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