商人でいこう!

八神

文字の大きさ
80 / 208

79

しおりを挟む
…翌日。


俺は朝食を食べて直ぐに用心棒のおじさんと共に隣国へと向かった。


「…まさか空を飛んで移動出来る日が来るとはな…」

「ドラゴンって凄いよね…」


窓から景色を見ながらポツリと呟くおじさんに同意するように俺も頷きながら呟く。


「…確かにドラゴンも凄いが…それ以上にそのドラゴンをテイムする、という発想が凄い。聞いた話では低級の弱い魔物でさえテイムするのが困難だという…そんな現状で思いついただけではなく、実行する…という行動力が並外れている」


…普通ならば常識的に不可能な事を、可能にするのは偉業というほかない。とおじさんは何故か急に俺を褒め始める。


「…褒めても金以外何も出ないよ?」

「ご機嫌取りをしてるつもりはない。それに…この貴重な体験を出来るというだけで値千金というものだ」


…というか金は出るのか…?と、真面目に返した後に少しの間を空けてツッコんだ。


「あっと…そろそろだ」


今回は遠距離移動じゃないのでこの前のような超スピードの飛行ではなく…


景色の流れからして新幹線より少し速いぐらいのスピードしか出ていないと思う。


なので隣国の町に移動するのにかかった時間は30分程度。


日本での国内移動で言えば…県を一つまたぐぐらいの距離かもしれない。


「…あ」

「ど、ドラゴンだ…!…なぜ、コンテナを…!?」


いつものように町の外に下りたのに街道の近くだったからか運悪く運び屋?っぽい人達に見られてしまった。


「…見られたか、どうする?」

「…しょうがないし…そのまま市場に行こうか」


おそらくこの前聞いたキャラバンであろう大量の馬車やコンテナの集団に目撃されたのでもはや言い訳は出来ない。


なのでいっそのこと開き直ってドラゴンを連れたまま町に入る事に。


「…お、おい…あれ…!」
「なに、あの大きい魔物…!」
「あれ、ドラゴンじゃないか!?」
「ドラゴンだって!?実在したのか!?」
「…なんだってドラゴンがこんな所に…?」


ドラゴンに車やコンテナを引かせて町中を移動してるとやはり人目が凄い。


…流石に車を背負う形になるので中には乗れず、歩いての移動になってるけど…


ザワザワと騒がしいみんなの注目を集めているのがいたたまれない気持ちになる。


「…気にするな。我々には後ろめたい事や負い目など何一つ無い」

「…分かってる」


俺が下を向きながら歩いてるとおじさんは気遣うような事を言う。


「…い、いらっしゃい…」


市場に着いて商品を見るとやっぱり店の人達はドラゴンを見て驚いたような反応を示す。


…いつもはもっと活気に溢れて騒がしいような市場も俺のせいでなのか、シーンと静まり返っている。


「…な、なあ…あのドラゴン…大人しい上に表示があるって事は、兄ちゃんが捕まえたのか?」


果実を売ってる露店のおっさんがドラゴンをチラチラ見て抑え切れなくなったのか恐る恐る聞いてきた。


「あ、うん…色んな人に協力してもらって」

「ふー!なんだ!やっぱりテイムされた魔物かよ!おい、みんな!大丈夫だ!あの魔物、この兄ちゃんがテイムしたんだと!」


俺の返答におっさんは安心したように息を吐いて周りに安全だという事を大声で伝える。


「なんだ!なら安心だな!」
「ま、冷静に考えてみりゃそりゃそうだ!」
「こんな大きな魔物がこんな大人しいわけねぇもんな!」


おっさんの言葉を聞いた市場の人達はみんな安心したように笑いあう。


「…もしかして心配かけてた?」

「いや、兄ちゃんが気にする事はない。33年生きててこんな大きな魔物を捕まえた奴を初めて見たんで驚いただけだ」


それにしてもよく捕まえられたなー?と、おっさんは急にフレンドリーになって話しかけてきた。


…まあ、誤解?が解けて良かったというべきか…?


すると急に活気を取り戻し、いつも行く市場のような騒がしさになった。


「…ええ…」

「野生だと勘違いされていたのか…?まさか、な…」


いきなりの雰囲気の変化に戸惑ってると用心棒のおじさんが分析するように呟く。


…なんにせよドラゴンの存在が受け入れられたっぽいので、気にせずに市場の視察をする事に。


「…お」


食料系の品揃えはいつもの村や町とあまり変わらないが…


それでも中には変わり種のような野菜や果物も存在する。


「…コレは?」

「それはナインズだ。水分が多くて糖度も高い」


リンゴの色違い…梨のような果物を見つけたので店主に聞いてみると、説明が梨っぽい。


「一つちょうだい」

「毎度あり!」


適当な物を一つ手に取り1ゼベル払って購入した。


近くで水道を探して軽く洗ってから一口齧る。


「…お、意外にジューシー…梨っぽい食感でスイカみたいな味か」


一応皮ごと食べられる種無しのスイカだな。


…中身は薄いグレープフルーツみたいな色だけど。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。 【改稿】2026/02/15、第一章の39話までを大幅改稿しました。 これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。 ・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。 ・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界なんて救ってやらねぇ

千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部) 想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。 結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。 色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部) 期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。 平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。 果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。 その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部) 【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】 【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

処理中です...