料理人がいく!

八神

文字の大きさ
73 / 113

73

しおりを挟む
 食後。


女の子と男は人でごった返す食堂から出て一旦応接室へ。


女の子は時間までやる事があるらしく部屋から出て行き、男が1人取り残されるという状況に。


だが男は袋から本を取り出して読み始めたのでそんな状況でも特に気にはしていない。


「…そろそろ時間だ」


ソファに背を預けて本を読んでる男に戻って来た女の子がドアを開けて告げる。


「ふん…随分と待たせてくれたものだな」


男は本を袋に入れると皮肉を言いながら立ち上がった。


女の子は男の皮肉を無視して教皇の居る部屋まで案内する。


「…失礼します」


女の子がドアをノックすると直ぐにドアが開き、頭を下げながら入室して行った。


「おお、魔導の巫女よ…良くぞ無事に戻られましたね…そしてそちらの男が報告にあった…」


部屋の奥に居た丸メガネのおじさんが女の子に話しかけると目を細めながら何も言わずに入室した男に視線を向ける。


「…貴方が魔導協会の総帥である教皇か…何度か姿は見た事はあるが、まさか会う事になるとはな」

「…口を慎め」


男が品定めするように見て言うと女の子が険しい顔で窘めた。


「よいよい、態度や言葉遣いぐらいは大目に見てあげなさい…実力が伴っているのなら」


おじさんは人当たりのよさそうな笑顔で言う。


「それで…実力の方はどうなのです?」

「…実際に戦っている所は見ていないので分かりかねますが…力の方はとてつもないです」


表情を変えずに問うおじさんに女の子は前半は困ったように言い、後半はキッパリと言い切る。


「ふん…どうやら教皇とやらの目も節穴らしいな、コレを見ろ」


女の子の報告が終わると男がつまらなそうにがっかりした感じで表示を大きくした。


「なるほど…報告にあった『魔導召喚師』というのは本当だった、というわけですか…」


男の表示を見ておじさんは笑顔だった表情を驚きに変える。


「…コレは是非とも魔導協会に欲しい人材ですね」

「…条件次第では魔導協会に属してやってもいい」


おじさんの呟きに男が投げやりな感じで言った。


「分かりました、魔導協会側を脅かす内容以外であればいかなる条件でも呑みましょう」


男の言葉におじさんは内容も聞かずに笑顔で即答する。


「教皇!内容も聞かずにそんな…!」

「魔導協会を脅かす内容以外は…だと?その脅かすとやらの解釈次第では俺の条件が呑めないとか言う気ではないだろうな?」


女の子が焦ったように言うと男が怪訝そうに問う。


「…やはり条件の内容を聞いてみない事には判断が出来ませんか…どのような条件ですか?」


男の問いにおじさんは少し考えて聞き返した。


「…本来なら俺は恩人の側から離れたくない、だから魔導協会側が何かする場合には俺の都合に合わせろ」

「分かりました」

「次に俺が行く戦場での指揮権は全て俺に委ねろ」

「…何故です?」


一つ目の条件は即答したおじさんだったが二つ目の条件には理由を聞く。


「俺はもう人も魔物も殺さない…そのやり方が阻まれないように、だ」

「…そのやり方は味方にも適用されますか?」

「いや、あくまで俺のやり方だ…だが、戦闘が終わっている地域での殺しには人や魔物を問わず厳重に罰する」

「分かりました、その条件を受け入れましょう」


男の説明におじさんは納得できたのか条件を受け入れる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

インチキ呼ばわりされて廃業した『調理時間をゼロにできる』魔法使い料理人、魔術師養成女子校の学食で重宝される

椎名 富比路
ファンタジー
イクタは料理の時間を省略できる魔法の才能があったが、インチキ呼ばわりされて廃業に。 魔法学校の学食に拾ってもらい、忙しい日々を送る。 仕事が一段落して作業場を片付けていたら、悪役令嬢デボラが学食フロアの隅で寝泊まりしようとしていた。 母国が戦争状態になったせいで、援助を止められてしまったらしい。 イクタは、デボラの面倒を見ることに。 その後も、問題を抱えた女生徒が、イクタを頼ってくる。 ボクシングのプロを目指す少女。 魔王の娘であることを隠す、ダークエルフ。 卒業の度に、変装して学生になりすます賢者。 番長と生徒会長。 イクタと出会い、少女たちは学び、変わっていく。

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...