料理人がいく!

八神

文字の大きさ
74 / 113

74

しおりを挟む
「そして…そうだな、今の所はコレで最後か…俺が魔導協会の外で動く場合には『魔導召喚師』という表示を隠す事、だ」

「…隠す…?」

「それにはどういう意味が?」


男が考えながら言うと女の子が首を傾げながら呟き、おじさんが意味を問う。


「魔導召喚師は世界で俺1人しかいない、つまりは俺が何かすれば恩人である彼女の耳に入る可能性がある…その可能性を排除したい」

「…つまりは行動を内密にしたい、という事ですか?」


男の説明におじさんは理解出来ないといった様子で聞いた。


「ああ、職業の表示を上書きするには地位が必要だ…貴方の『教皇』やそいつの『巫女』みたいに」

「…分かりました、それぐらいならば容易い事…本当に条件はそれだけですか?」


男が『巫女』や『教皇』の表示を示しながら言うとおじさんは条件を全て呑む事を了承して他に無いか問う。


「今の所は無い…が、何かあれば条件は増えるかもしれん」


何も無ければ条件はそのままだがな、と男は少し考えるようにして返す。


「…分かりました、その時は今みたく内容を聞いてから判断致しましょう…では貴方は今から正式な魔導協会の一員となります」


魔導の加護があらん事を…とおじさんは机に立てかけられてる杖を手に取り、上に掲げながらかなり略式の儀式を急ぎ足で済ませる。


「…これから事務局に魔導協会所属の証であるペンダントを取りに行ってもらいます…魔導の巫女、貴女に案内を任せても?」


公務の時間が迫ってるのかおじさんは急ぎ足で話を進めると女の子に聞いた。


「はい、任されました」

「…こいつについて行けばいいのか」

「貴方の働きに期待していますよ」


女の子が頭を下げて部屋から出ようとすると男がついて行き、ドアが閉まる直前におじさんが声をかける。


…こうして『魔導召喚師 Lv21』の男は魔導協会所属となった。



「…ただいま」

「おー」

「飛行テストの割には時間がかかったな…修正作業は大丈夫なのか?」


男が山小屋に戻ると彼女は料理の最中で青年は椅子に座っている。


「大丈夫だ、それより…あの女の子はどうした?」


青年の問いに答えると男は家の中を見渡して聞き返す。


「ああ、あの子なら着替えとかの必要な物を取りに帰ってるよ」

「…本格的に居座るつもりなのか…」


青年が笑いながら言うと男は彼女を気にするようにチラリと見て呟く。


「いや、あの子がココにいるのは修行のためらしい…だから強くなれば離れて行くさ…」


青年は男の言葉に軽く否定するように首を振って寂しそうに言った。


「…どうだかな、まあ少なくとも俺はたとえ魔導を極めようとも彼女から離れるつもりはない」


男が彼女を見ながら青年にだけ聞こえる音量でコソコソ告げる。




「…なに?」


すると、ジッと見ている男の視線に気付いた彼女が振り向いて不機嫌に問う。


「い、いや、なんでもない…!あの女の子はどこ行ったのかと思ってな」


男は焦ったようにさっき青年に聞いた事と同じ事を言って強引にごまかそうとした。


「ああ…修行目的で暫く厄介になるから、って着替えとかを取りに行ったよ」


まったく…厄介になるって自覚してるんなら出て行けばいいものを…と彼女は呆れたようにため息混じりで言う。


「…何も返せんな…」

「ああ…」


彼女の言葉に男がなんとかフォローしようと口を開いたが結局諦めたように呟き、青年も同意する。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...