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しおりを挟む「そ、そういえば…」
シーン…と一気に静かになった雰囲気の中、男が口を開く。
「俺、魔導協会に所属する事になった」
「!?魔導協会だと!?」
男の報告に青年が驚いたようにガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。
「…まさか、昨日のあの女の子が…?」
「ああ…魔導の巫女と呼ばれているスカウトで、勧誘された」
青年が思い出したように聞くと男は軽く説明するように返す。
「…なにそれ?」
青年達の会話の内容に彼女も少し興味が湧いたのか作業を続けたまま聞いてくる。
「魔導協会というのは…なんて説明すればいいか…とりあえず魔導師を目指してる魔術師や魔術師のタマゴ達が集まる組織だ」
彼女の疑問に男は考えながら説明を始めた。
「世界中の魔術師、及び魔術師見習い達のおよそ9割が魔導協会に所属し…魔導師への一番の近道だと言われていて、事実俺以外の魔導師は全員魔導協会に所属してから魔導師になったと言われている」
「…ふーん…まあ学校みたいなモンか」
男の説明に彼女は自分の分かりやすいように解釈する。
「そう!正にその通りだ!」
男は自分の説明を簡潔に言い当ててる彼女の解釈に同意した。
「教皇が学校のトップ…校長みたいなもので、魔導師達は教授や博士のような感じだ」
「…へぇ~…そう考えたらアレだね、あんたは学校も行ってないのに教授や博士になれたって事?」
続く男の説明に彼女は珍しく意外そうに問う。
「…まあ、そうなる、な…」
彼女の言葉に男は困惑しながら言い辛そうに歯切れ悪く返す。
「そりゃ凄いねぇ…」
「「え…?」」
彼女が褒めるような事を呟くと驚いたように青年と男の言葉が被る。
「誰に教えられるワケでも無く独学でやり遂げるってのは中々出来ないじゃん?」
「ま、まあ確かにそうだが…」
彼女の説明するような言葉に青年は男をチラッと見て言いにくそうに同意した。
「没頭できるほど好きじゃないと普通無理だよ」
「…それはそうだ」
彼女は作業を止めるワケでも振り返るワケでもなく適当に言う。
「で、ソコに所属したって事はココから出て行くって事でオッケー?」
教授だか博士なんだから寮でも良い所に住めるんでしょ?と彼女は振り返って問いかける。
「えっ?いやそれは…」
予想外の問いに青年はチラッと男を見て言い淀む。
「…魔導協会に所属したら必ず寮に入らなければならない、というワケでもないんだ」
「…チッ…なーんだ…」
男が微妙な顔で軽く説明すると予想と違ってたからなのか、彼女は舌打ちして落胆したように呟く。
「…おい、彼女が珍しく褒めたのってもしかして…」
「…多分お前が出て行くと思ったからだろうな…」
男と青年は彼女が背を向けてるのを良いことにコソコソと小声で話し合う。
「…俺が居ない間になにかあったのか…?」
「…いや…いつも通りだったと思う…」
「…という事は…俺が彼女にかなり嫌われてる、という事か…」
「…まあ、好かれてはいないだろうな…だからといって嫌われてるとも考えにくいが…」
青年は返答を聞いて落ち込んだ男に苦虫を噛み潰したような顔で考えながらコソコソ告げた。
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