料理人がいく!

八神

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番外編『魔法使いがいく!』

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「東側か…おそらく敵兵の数は一万を超えないだろう…予想通りならMPは足りるが、予想以上なら…」


急がずに明日へと作戦を延ばすべきか…?と彼は少しの不安を抱えながら支部の建物へと入る。


「枢機卿!報告は聞きました!あの大軍勢をわずか5分足らずで無力化したそうですね!」

「ああ、先手を取れたのが幸いだったな」


興奮した様子駆け寄って来た受付嬢を軽くあしらいながら地下室のドアを開けた。


「枢機卿…と言ったか!流石は魔導協会から派遣されて来ただけはある!半日も経たずに戦況をひっくり返すとは…!」

「あなた意外とやるわね。認めてあげてもいいわよ!」

「お、お嬢様!すみません…!」

「…これから東側に展開している部隊を無力化しようと思う、王都の奪還は明日になるが問題はないか?」


…既に戦争に勝ったかのように騒ぐ大人達や少女を無視して彼は一応礼儀を守って報告する。


「ああ!問題は無い!なんなら一週間かけても大丈夫だ」

「…そうか、王都はちゃんと奪還してやる。だから捕虜の件は任せたぞ」


ちゃんと部下に周知徹底させるんだな、と彼は王様に釘を刺して建物から出た。



「…作戦完了まであとどれくらいかかりそうだ?」


港町を出た彼は魔術師や兵士が忙しそうに動いてる敵陣に戻って来て『中将』と表示されているおじさんに問う。


「このペースでいくと…昼過ぎには完了するかと」

「そうか、人員は割けそうか?」


おじさんは魔術師と兵士の共同作業を見ながら予想を立てて返すと彼が尋ねる。


「今はまだ難しいですね…必要とあらば多少の融通は利きますが…」

「…いや、いい…俺は先に東側に向かうから余裕が出来たら夕方までに人員を回してくれ」


彼が微妙に焦ってる事に気がついたのか最低限までの計算を始めるおじさんを制止してそう告げた。



「…召喚スキル『シュリオ』『ライド』」


彼は10分ほど歩いた場所でスキルを使い召喚獣に乗り込んで上空から東側の様子を確認する。


「…どうやら王都からの応援は無さそうだ…本国からの増援も…よし、無いな」


これならばもし夜に不測の事態が起こっても対応出来る…と、A国全体をグルリと見て回った彼は安心したかのように呟く。


「…あとは待つだけか…『ダウン』」


東側の村の上空で敵軍の動きが無い事を確認するとスキルを使って降り、召喚獣をストックした。


彼が村に着いて本を読んで時間を潰すこと数時間後。


「枢機卿殿!第三連隊ただいま到着致しました」


日も沈み始めた夕方に差し掛かる時間帯に『大佐 Lv15』と表示された男が敬礼しながら彼に報告する。


「そうか、ご苦労…早速作戦を開始したいが…準備は出来ているか?」

「はい!いつ行動開始しても問題ありません!」

「…ならば先ほどと同じく合図で作戦開始だ」

「サー、イエッサー!」


暗くなる前に…と、彼は男に指示を出して直ぐに村から出た。


「召喚スキル『インドラ』目標、敵全体…攻撃だ」

「ウオォォォ!!」


彼は村から出ると敵陣営の近くまで歩いてスキルを発動させる。


先程と同様に上空に展開された魔方陣から出現した召喚獣が剣を空に向かって突くと、眩い閃光が辺りを包む。


「……よし、死人はいないな」


召喚獣をストックした彼は敵陣の中に入り、倒れた兵士達がさっきと同じ状態なのを確認して合図の信号弾を放った。


…そして二度目の捕縛作戦が開始される。
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