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Ⅰ - 傲慢の檻 -
破滅の始まり
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早朝。訪問者の対応に追われ疲れ果てていたため、まだ良司は眠りについていた。
だが、玄関のチャイムとドアをけたたましく叩く音が鳴り響き、良司は驚いて目を覚ます。
窓の外を見ると、まだ辺りは暗く夜が明け始めているくらいの時間だ。
「んん、一体何……?こんな時間に」
同じく目を覚ました妻の架帆が、眠たい目を擦りながら渋々と玄関へと向かう。
時計を見ると、時刻は5時32分。
また噂を聞き付けて来た、近所の人だろうか?それにしても常識の無い時間帯の訪問だ。
「きゃああ!やめてください!!」
突如として1階から聞こえた妻の悲鳴に、良司はベッドから飛び起きる。
「架帆!?」
良司は慌てて部屋を飛び出し、目の前の階段を駆け降りた。
目に飛び込んできたのは、ドアの隙間に身体を滑り込ませた厳つい男と妻が押し問答している姿だった。
「だから、そんな事知りません!!」
「いや、アンタらは絶対に何か知っているはずだ!!」
男の風貌は30代後半くらいではあるが、サングラスと派手なスーツが明らかに裏稼業を醸し出す容姿で、良司の背に冷や汗が伝う。
「あ、あの……!うちになんの御用でしょうか 」
震えた声で話しかける良司を見て、男はニヤリと笑う。
「アンタがご主人かい?実は、ウチの若いのが失踪してんだ。確か3週間くらい前か…。調べたらアンタの所に集金に行ってから、どうも戻って来てないみたいなんだわ。おたく何かしらねェか? 」
大声で凄む男に、良司は内心震え上がっていた。
「すみません…子供達も寝てるので、お話はあちらで」
家族に危害を加えそうな男を家に上げる訳にも行かず、良司は家から離れた教会へと連れ出した。
男は教会の中に入るなり、目の前のチャーチチェアにドカリと腰掛ける。
「こんな所で話しても、無駄だぜ。俺は神を信じてねェからな 」
「いえ、別にそんなつもりは……」
ニヤニヤと笑う男に、良司は愛想笑いをしながら相手の出方を見る。
「さて、さっきの話の続きだ。ここに集金に来た男、分かるよな?萱野って奴だ。」
男の出した名前には覚えがある。
「……確かに彼はここに来ましたが、お金を受け取って直ぐに帰りました。これ以上話すことは……」
「アンタ、嘘ついてないよな?そりゃあ聖職者がする事じゃねぇよなぁ 」
スーツの男は、何かを掴んでいるのか執拗に良司に詰め寄ってくる。
ギィ……
直後、協会のドアが半分開き、そこから顔を見せたのは、イルとミツルだった。
「良司さん、朝早くにすみません。丁度近くを通りかかったら、ミツルくんが教会の前を行ったり来たりしてたのが見えたもので 」
何も知らずこの状況を汲めない二人に、急いで良司は駆け寄ると小さな声で外へ出るように促した。
「ああ、イルさん……申し訳ないが、今はちょっと取り込み中で…… 」
扉の外から教会の中を覗いていたミツルは、良司の脇ををするりと抜けて室内に入り込む。
「ミツル!!」
ミツルは教会の中に入ると、チェアに腰掛けた男の前で立ち止まった。
「ああ?なんだこのガキは…俺に何か文句でもあんのか!?」
自分をじっと見つめるミツルに、スーツの男はすごむ。
「……お兄さん、死んじゃうかも」
「……あ?なんだって?」
ミツルの言葉に、スーツの男は明らかに青筋を立てていた。
「ミ、ミツル!何を言ってるんだ!?」
慌てて二人の間に走り寄った良司は、ミツルの手を引き、スーツ男から引き離そうとした。
「だってこのお兄さんの体を、真っ黒な色が覆ってるから 」
全く物怖じせず、淡々と男にそう告げたミツルに、良司は背筋に冷たいものを感じ、その場に固まる。
抑揚のない声で男を指差すミツルの姿は、いつもの我が子ではなく、何か得体の知れないモノに見えたからだ。
「何だコイツ、気持ちわりぃガキだな!」
スーツの男は、チェアから立ち上がりミツルを睨みつけると、拳を振り上げる。
「やっ、止めて下さい!!!」
その時だった。
教会の扉が勢いよく開き、数人の男がバタバタと中に走り込んでくる。
その男達は、スーツの男に駆け寄り身体を押さえつけると集団で殴る蹴るの暴行を加え始める。
目の前で行われる凄惨な暴力に、イルはミツルの目の前に立つと、体でミツルの視界を塞いだ。
「オイ、その辺にしておけ 」
教会の扉の前から聞こえた男の声に、男達は動きを止めその場に整列する。
遅れて教会の中へ悠然と入って来たのは、スーツの男と同じく、明らかにその筋の者ではない男だった。
だが、玄関のチャイムとドアをけたたましく叩く音が鳴り響き、良司は驚いて目を覚ます。
窓の外を見ると、まだ辺りは暗く夜が明け始めているくらいの時間だ。
「んん、一体何……?こんな時間に」
同じく目を覚ました妻の架帆が、眠たい目を擦りながら渋々と玄関へと向かう。
時計を見ると、時刻は5時32分。
また噂を聞き付けて来た、近所の人だろうか?それにしても常識の無い時間帯の訪問だ。
「きゃああ!やめてください!!」
突如として1階から聞こえた妻の悲鳴に、良司はベッドから飛び起きる。
「架帆!?」
良司は慌てて部屋を飛び出し、目の前の階段を駆け降りた。
目に飛び込んできたのは、ドアの隙間に身体を滑り込ませた厳つい男と妻が押し問答している姿だった。
「だから、そんな事知りません!!」
「いや、アンタらは絶対に何か知っているはずだ!!」
男の風貌は30代後半くらいではあるが、サングラスと派手なスーツが明らかに裏稼業を醸し出す容姿で、良司の背に冷や汗が伝う。
「あ、あの……!うちになんの御用でしょうか 」
震えた声で話しかける良司を見て、男はニヤリと笑う。
「アンタがご主人かい?実は、ウチの若いのが失踪してんだ。確か3週間くらい前か…。調べたらアンタの所に集金に行ってから、どうも戻って来てないみたいなんだわ。おたく何かしらねェか? 」
大声で凄む男に、良司は内心震え上がっていた。
「すみません…子供達も寝てるので、お話はあちらで」
家族に危害を加えそうな男を家に上げる訳にも行かず、良司は家から離れた教会へと連れ出した。
男は教会の中に入るなり、目の前のチャーチチェアにドカリと腰掛ける。
「こんな所で話しても、無駄だぜ。俺は神を信じてねェからな 」
「いえ、別にそんなつもりは……」
ニヤニヤと笑う男に、良司は愛想笑いをしながら相手の出方を見る。
「さて、さっきの話の続きだ。ここに集金に来た男、分かるよな?萱野って奴だ。」
男の出した名前には覚えがある。
「……確かに彼はここに来ましたが、お金を受け取って直ぐに帰りました。これ以上話すことは……」
「アンタ、嘘ついてないよな?そりゃあ聖職者がする事じゃねぇよなぁ 」
スーツの男は、何かを掴んでいるのか執拗に良司に詰め寄ってくる。
ギィ……
直後、協会のドアが半分開き、そこから顔を見せたのは、イルとミツルだった。
「良司さん、朝早くにすみません。丁度近くを通りかかったら、ミツルくんが教会の前を行ったり来たりしてたのが見えたもので 」
何も知らずこの状況を汲めない二人に、急いで良司は駆け寄ると小さな声で外へ出るように促した。
「ああ、イルさん……申し訳ないが、今はちょっと取り込み中で…… 」
扉の外から教会の中を覗いていたミツルは、良司の脇ををするりと抜けて室内に入り込む。
「ミツル!!」
ミツルは教会の中に入ると、チェアに腰掛けた男の前で立ち止まった。
「ああ?なんだこのガキは…俺に何か文句でもあんのか!?」
自分をじっと見つめるミツルに、スーツの男はすごむ。
「……お兄さん、死んじゃうかも」
「……あ?なんだって?」
ミツルの言葉に、スーツの男は明らかに青筋を立てていた。
「ミ、ミツル!何を言ってるんだ!?」
慌てて二人の間に走り寄った良司は、ミツルの手を引き、スーツ男から引き離そうとした。
「だってこのお兄さんの体を、真っ黒な色が覆ってるから 」
全く物怖じせず、淡々と男にそう告げたミツルに、良司は背筋に冷たいものを感じ、その場に固まる。
抑揚のない声で男を指差すミツルの姿は、いつもの我が子ではなく、何か得体の知れないモノに見えたからだ。
「何だコイツ、気持ちわりぃガキだな!」
スーツの男は、チェアから立ち上がりミツルを睨みつけると、拳を振り上げる。
「やっ、止めて下さい!!!」
その時だった。
教会の扉が勢いよく開き、数人の男がバタバタと中に走り込んでくる。
その男達は、スーツの男に駆け寄り身体を押さえつけると集団で殴る蹴るの暴行を加え始める。
目の前で行われる凄惨な暴力に、イルはミツルの目の前に立つと、体でミツルの視界を塞いだ。
「オイ、その辺にしておけ 」
教会の扉の前から聞こえた男の声に、男達は動きを止めその場に整列する。
遅れて教会の中へ悠然と入って来たのは、スーツの男と同じく、明らかにその筋の者ではない男だった。
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