学校の図書館の本棚の向こうに人気アイドルを養成する猫の学校があったのでココでご紹介します

太田ポーシャ

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ちょうど面白くなりそうなところまで

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 新しい一年の始まり。窓の外はどしゃぶりだった。私の席から見える校庭が、冷凍庫から出しっぱなしにしたままのアイスクリームのようにトロトロととろけている。ほうじ茶アイスかな?グラウンドの色を見てそう思った。


「うわー、グラウンドぐっちゃぐちゃじゃん。これじゃあサッカーできないよー、クッソー」

 クラスの男の子が窓に向かって叫んでいた。たしかに、クッソーだよね、フツーは。でもわたしはなぜか嬉しかった。曇った空とドロドロになったグラウンドは、わたしの心と同じだったから。

 
 もう小学5年生だし、ほんとはもうちょっとだけオトナになった方がいいんだろうな。だけど、オトナになったからって突然おしゃべりが上手になるわけじゃないし、おしゃれに目覚めるわけじゃないし、友達が増えるわけじゃない。

 一年前の地味なわたしと何も変わらない毎日が、また始まるだけ。
 周りのクラスメートは、何かが変わっていきそうな未来を前に楽しそうにはしゃいでいる。
 わたしはずっと席に着いたまま、机とにらめっこする。
 相手は笑ってくれない、だからわたしも笑わない。無だ。わたしは好きだ、無が。


「未玖ちゃん、昨日のテレビ見た?ジュンくん、すっごいカッコよかったよね!」

 “話しかけないでオーラ”をギンギンに出していたわたしに声をかけたのは、クラスでも人気者のレイちゃん。学級委員で「元気があればなんでもデキル!」が合言葉のような天真ランマン少女だ。

 今大人気の男性アイドルグループが大好きらしく、たまーにわたしのところにやってきては昨日のテレビの話をたっぷり聞かせてくれる…んだけど、元気な子ってなぜか「話しかけないでオーラ」に気付かない。
 そういうタイプが多いのかな?って思ったり、する。

「え?…う、うん…そう、だね……」


 学年でもトップレベルの社交性を持った女子との会話にわたしは言葉がつまる。

“こんなわたしにも気軽に声をかけてくれるのはとってもありがたいんだけどそれはそれでおせっかいというか「クラス全員平和でクラス全員仲良し!」というテーマで生きているレイちゃんほどわたしはもみんなとそんなに仲良くしなくてもいいと思っているんですよホントは”

 だからわたしはいつもレイちゃんの前ではとまどう。

「アタシは、ぶっちゃけジュンくんよりも、シンちゃんの方が好きなんだけど、でもみんなジュンくん推しなんだよねー。だからアタシもどーしよーかなーって思ってるけど、やっぱ最初の推しメンから変えるってダメだと思うから、アタシはーーー…」

 レイちゃんは自分でしゃべって自分で答えを出して自分でまとめるタイプだ。それはそれでありがたい。こっちが何も言わずに会話が終わることもあるからラクと言えばラク。

「でも、未玖ちゃんてちょっとおとなしいから、サトルくん推しじゃない?そうだよね!?やっぱサトルくんだよね!わかるわかる!未玖ちゃんのタイプっぽいもん!やっぱそーか。だよねー!」

 わたしは何も言ってないのに、話がまとまったらしい。おつかれさまでした。

 レイちゃんが言うように、たしかにわたしは大人しくておしゃべりも苦手でファッションも地味だ。できれば一日のほとんどをうつむいて、床と目線をあわせながら暮らしていきたいと思っている。どうせなら頭のつむじの辺りに誰にもバレない眼がついていればいいのにと思う、こっそり見られるように。それぐらい日の当たる場所にはでたくない。

 太陽に向かって生きているヒマワリを尊敬する。そんなに明るいところを見て、何が楽しいんだろ?そんなに照らされてつらくない?ムリしてない?ほんとはヒマワリも暗い性格なんでしょ?違うの?

 強がりだ。ただの強がりだ。負け惜しみ。ねたみ、そねみ。自分には無いモノを持っていてうらやましいから、ついムキになってキツい言葉が次々と沸き上がってくる。これもわたしの悪いところだ。

 こんな自分、変えてしまいたい。強がってしまう感情も、ひとりに閉じこもってしまう性格も全部ぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨ててしまいたい。
 自分の心からキタナイ感情だけをティッシュですくい取ることができたらいいのに。
 ミニクイ性格だけをシャワーで洗い流すことができたらいいのに。


 心の掃除ってこんなに難しいんだ。
 性格の模様替えってこんなに大変なんだ。
 もしかしたら、無理なのかな。
 変えたい、そう思っているけど自分ではどうすればいいか全然わからなかった。


「オサムー!サッカーしにいこうぜ!」
「グラウンド使えるかな?」
「もう大丈夫っぽい。全然乾いてるよ」
「よっしゃ!いこういこう!」

 オサムくんは勢いよくジャンプするように席から飛びはねると、リュックをサッと左肩にかけて迷路のようになった教室の机を起用にすり抜け、教室を出て行った。


 オサムくんは動くたびにカッコいい。動きのすべてがカッコいい。

 わたしはひそかに思っていた。誰にも言ったことないけど、テレビで見るどんな男性アイドルよりも魅力的でカッコよくて輝いている。

 正直、顔がイケメンってわけでもないんだけど、なんだろ、笑顔がキレイって気がする。もし、絵が得意だったらニコッと笑って口角がキュッと上がった特徴的な口元を写真みたいに書いてみたい、そう思えるほどオサムくんはキリッとしている。

 いつか芸能人になるんじゃないかな、そのうち、街でスカウトとかされたりするのかも。そうなったら、わたしが一番最初に注目してたってことで自慢できるかも……

「やっぱ、オサムくん、カッコいいよね」
「わかるわかる、アタシもめっちゃ好き」
「いつかアイドルになっちゃうんじゃない?それとも俳優さんかな?」

 注目してるのはわたしだけじゃなかった。
 そりゃそうだ、あれだけカッコいいんだから噂になるのはしょーがない。

 毎日のようにクラスの女子からオサムくんに対する“やさしい陰口”が聞こえてくるのだから。
 おそらく、声に出さない女子も心の中ではキュンキュンしてるはず。

 そこまで妄想して、わたしの中で嫉妬心が芽生えた。オサムくんを誰かに奪われるなんてアリエナイ、わたしが一番最初にオサムの魅力に気付いたんだから権利はワタシにあるでしょ?

 オサムくんがわたしのものでもなんでもないのに、妄想がエスカレートしてしまう。これもわたしの悪いクセだ。別に表に出しているわけでもないし、オサムくんに迷惑をかけているわけでもないので、わたしの脳内ストーカーは絶対無罪だと思いたいが、もう一人の自分がたまに出てきては厳しい判決を下す。

「ヤバいよ、キモいよ」

 わかる。ごめん。

「いつかオサムくんにバレて、そのうちほんとにマズイことになると」

 だよね、なるべく気持ちを抑えようとしてるんだけどさ、、、

「てゆーかさ、、、あんた、、、好きなんでしょ?オサムくんのこと」

 ……。

「え?そんな好きなの?」


 うん、そんな好きなんだよ、わたし。わたしはオサムくんのことが好きでたまらないのだ。小学5年生で初めて同じクラスになったけど、実はそのずっと前から校舎で見かけるたびにドキドキして、ずっと想っていて、いつか告白したいと思っていたんだ。

 でもわたしなんか絶対ダメな自信しかない。
 でも、好きすぎる。
 じゃあ、どうする?この気持ち?


 教室の窓から、グラウンドでサッカーを楽しんでいるオサムくんの姿が見えた。遠くから見てるはずなのに、オサムくんだけが誰よりも上手に見えるし、他の同級生よりもあざやかにわたしの眼に映る。オーラがあるというか、個性が光りすぎているというか、なんて言ったらいいかわからないけど、とにかくオサムくんは輝いていた。わたしのなかで。


 放課後の図書館。わたしの人生に、ひとときだけ光を当ててくれる場所だ。ここがわたしのアナザースカイ!あの番組に出たらわたしはこう言うかもしれない、なんて妄想もしてしまう“わたしの居場所”。

 朝からツマラナイ授業を受け、ツライだけの休み時間を経て、スベテから解放されたときに迎えてくれるのが図書館だった。わたしにとって、世の中のやさしさの半分は図書館でできている。

 ひとりになれる。でも、本がある。だからひとりじゃない。
 絶妙なカンケイがわたしの心のいやし。

 その日もわたしは図書館の一番奥の窓ぎわの席にカバンを置き、「本日のともだち」を探すため本棚に向かった。わたしの身長と同じぐらいの高さの本棚もあれば、2倍ぐらい大きな本棚もある。ここにはおおきかったりちいさかったりちゅうぐらいだったり、いろんなともだちがわたしをまってくれている。

 いろんなともだちは、みんな無視したりしない。かといって、なれなれしく近寄ってもこない。それにケンカもしないし悪口もいわないしカゲグチもいわない。みんなわたしの方をやさしく見てくれてる。

 放課後の図書館の雰囲気が好きだ。
 昼間とは違い、少しだけ気温も下がり、光もうすらぎ、図書室の先生もにこやかに帰り支度を始めようとしている時間帯。そんなときこそ、図書室の本は「取って欲しい!」とアピールしているように見えた。すべての本が輝いている、それがなんか嬉しい。

 わたしは、最近好きだった推理小説のゾーンからはなれ、今まであまり行かなかった場所に向かった。冒険てほどじゃないけど、ちょっとした読書の冒険。はじめましての本に会いたかった。

 なんとなく目にとまった本棚の前にしゃがんで、下からジグザグの上に向かってタイトルの坂道をのぼっていく。

 全然知らないタイトルが山道の標識のようにすーーーっと流れて行く。
 新鮮。アングルをちょっと変えるだけでいつもとは違う世界を体験できる。

 毎日のように行っている学校の図書館なのに、少し目線を下げただけで世界が変わる、そのとっても小さな変化にわたしは感動した。

 わたしの知らない世界が、この世の中にはいっぱいある。いつも見ている世界、いつも歩いている道、いつも食べている食べ物…いつも同じ世界で生きているけど、ちょっと横の道にそれるととんでもないぐらい魅力的な世界が待っている。これはわたしなりの大発見。はじめてのシゲキはとっても緊張するけど、それを超えるぐらいの新しいトキメキをプレゼントしてくれる。

 今まで見たことのないタイトルの背表紙がワクワクに変換されながら左から右へと移動して行く。どれも読みたい!ドキドキが止まらない!本が背中で語っているカッコいい後ろ姿だけで興奮している自分がいた。

 これもいい、あれもいいな、でもこっちのタイトルがスゴい。
 タイトルを見るだけでその奥に見える物語がどんどん広がって行く。

 こうなると、もう夢中だ。周りが見えない。今何時かもわからない。ココが図書館だってことも忘れてるぐらい。ずっとしゃがんだまま本棚を眺めていたわたしは足がしびれてしまい、立ち上がった時にちょっとだけフラっとして、壁に手を伸ばした。


え!?

ガタンッ。

っとっとっと、、、うわっ、

ギィ~~~。。。。

ゴゴゴゴゴ…。

 全身に冷たいスプレーでも吹きかけられたかのようだった。一瞬で空気が変わった。

 さむっ。

 鳥肌が立っているのが分かる。夏の暑い日にデパートの扉を開けたときのような冷たい世界にわたしは引き込まれて行った。 

 ふいに手を伸ばした先はフツーの壁だと思っていたのに、それは隠し扉。思わず手をついてしまったため、わたしは開けてしまった。

 図書館の奥の奥の知らない場所にある、知らない扉。

 わたしは開けてしまった。
 これからとんでもないことが始まろうとしていることなど、このとき知らないまま。

 わたしは開けてしまった。
 ドキドキがとまらない。さっきとは違ったドキドキ。

 数秒経って、ホコリというかカビというかちょっとだけイヤな臭いがした。

 

バタンッ!

 後ろから大きな音。勝手に扉が閉まり一瞬あたりが真っ暗になった。

 何も見えない。わたしはバランスをくずしてちょっとだけフラフラしてしまった。
 何かに捕まろうと手を伸ばすが、何もない。
 空気の中を泳いでいるみたい。
 何度も何度もまばたきをして、目をこすった。しばらく真っ暗のままだったが、少しずつ暗やみに目がなれてくる。

 ドン底のような真っ暗から薄いブラックに変わり、少しずつ光りが見えてきた。夜中に目が覚めて窓から外の灯りがさしこんでくるような。起きているのか夢なのかわからない状態。


 しかし、それはハッキリとわたしの耳に聞こえてきた。


「ようこそ、猫の学校へ。あなたもみんなに愛されてモテる人になりたいんですね?わかりますわかります。お待ちしておりましたよ」


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