偽りの フェイス

ひじり つかさ

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(3話) 祝福と嫉妬

あたし、絶対に許さない

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 こうして告白は思いがけない展開に、まさかの
ハルト先輩からの告白、私のままじゃ目も合わす事の無かった世界。それが容姿を手に入れた事で
こんなにも世界が変化するなんて......
ただ一点、偽りと言う事以外は。それでも先輩は、全てを包み込んで告白してくれた。
本当に......本当に、嬉しい。

 私はコンパクトを開けて素直な気持ちを言った
「あなたに出会えて、声を掛けてもらって全てが
変わった。本当に、ありがとう」
 
 そして私は、ある提案をした。
「ねぇ!私達、下の名前で呼び合わない?」
コンパクトの鏡の中、小さく頷いてくれた。
これから二人は互いに「つかさ」「つばさ」と
呼び合う事になった。

 つばさが、ふと呟いた。
「つかさが、結果的にはハルト君が、告白してくれて願いが叶って、これで私も、あちらの世界に行くのだと思っていたけど......何も起きない。私は、このままで良いのか?少し不安に......」

 私は、その不安を吹き飛ばすくらいの大きな声で

「そんな事、言わないで!今つばさが消えたら、
きっとハルト先輩は哀しむ。今の私は、つばさの
代わりは出来ない。だから居られるなら、ずっと傍に居て欲しい。」これは私の本心。もし同じ世界で生きていて、同じ人を好きになっていたら、こんな友情は、芽生えなかったと思う。

 鏡の中で、つばさが小さく頷いてくれた。

 
 朝、何時もの通学路、見慣れた景色の筈なのに
小鳥のさえずりや、小さな草花の一つ一つまでが
優しく心に話しかけて来る。本当に心地いい。

 教室に着き、机に鞄を置くや否や、
夏希が飛んで来て、私の袖口を掴んで、
何時もの場所へ。

「つかさ--!おめでとう!ハルト先輩と上手く
行って本当に良かったね!」
 
 涙ぐみながら夏希は、私の肩を抱きしめた。
本当に何時も相談に乗ってもらい、励ましてもらい
夏希には感謝しても仕切れない程。

「つかさ!帰り、家に寄りなよ。姉ちゃんがさあ
お祝いだ--って、はしゃいでたから。ねぇ!」
 私は大きく頷くと、もう一度夏希と抱き合った。

 
 昼休み、中庭の花壇に自然と足が向いてしまう。何時も綺麗に咲き誇る花。
今までは、時折憎らしくも、悲しくもあった。
でも、今日は違う。
黄色い花のフリージア、花言葉は「親愛の情」
これは私の気持ち。
青い花のネモフィラ、花言葉は「あなたを許す」
私の偽りの容姿を許して、全てを包み込んでくれた
ハルト先輩。
色とりどりの花を咲かせるゼラニウム、花言葉は
「真の友情」これは、つばさと私。
 
 そしてハルト先輩、あなたが、そこに居る。

 私を見つけて近付いて来る。
「逢えそうな気がした」私は小さく頷く。
会話したり、連絡先の交換、ゆっくりとした時間。
突然ハルト先輩が、急に私の顔を見る。会話中の
私の呼び方が、気になったらしい。
ハルト先輩は、歳も近いからハルトで良いと言う。

「私は、どう呼んでくれるの」っと少し困らせた。
ハルトは、やはり私の容姿から、幾度も、
つばさと呼びそうになる。私は「気にしないで!」っと言うものの、ハルトは申し訳なさそう。
そこでハルトが思いついたのが「つうちゃん」
私はハルトの思うままで良いと、大きく頷く。
やがて予鈴が、二人を別々の校舎に誘う。

 
 夏希の家に着くと、部屋まで直行!
部屋に入った瞬間、大きな声と火薬の匂い
クラッカーが数発、宙に舞った。
そして今度は五月姉さんに強烈に抱きしめられ
「つかさ!良かったね!頑張ったね!」の、
祝福のハグ!今日この姉妹にハグされっぱなし
恥ずかしい様な......でも、やっぱ!嬉しい。
部屋にはメイク道具が散乱してたのが少し懐かしい
メイク道具に変わり、お菓子や、ジュース片手に
クッション抱えて、楽しい時間を過ごせた。

 
 帰る途中、道の向こう側にハルトが居た。
私は気付いてもらおうと、手を挙げようとした。
その時、隣に女の子の姿が。
私は気付かない振りをして、目をそらそうとした。
するとハルトが大きな声で、私を呼んだ。
ニコニコしながら手招きをする。

 私は今、気付いたふりをして、ハルトのそばに行った。ハルトは気まずい素振りも無く、私に話し掛ける。どうやら私が気遣う必要は無かったかも。
そう思えた。

「紹介するよ。芹沢純奈さん、僕と同級生だ」

 私は会釈をして顔を伺った。とても綺麗な人、
でも何故か、そに瞳は氷の様に冷たく、そして
何か殺気の様な物すら感じる。

「初めまして天城つかさです」言い終わると直ぐにその視線はハルトに向けられた。そして......

「ハルト!つばさに似た面影の有る子って!
まさか......この子!」
 更に鋭さを増した眼光で私を睨み付けると。

「何処が!あたしはつばさの親友だったし、つばさの事なら、よく知ってる!それはハルトもでしょ。何処が似てるのよ!名前ぐらいなもんでしょ!」
 私は、返す言葉も無く、うつ向いてしまった。
そして彼女は、うつ向いた私の顎の先に指をかけ
クイッと持ち上げ、私の目を見て言い放った。
「あんた、ハルトに何したの?」その瞬間、
私の顔の前を、凄まじい風圧と、彼女の手を払い除ける高い音がした。同時にハルトの大きな声が......

「つばさの顔に、触るな--!」
 私以上に、驚いた目をしたのは彼女、呆れた顔をしながらも、その眼光は衰えを見せず。払い除けられた手を片手で押さえながら。
「つばさ?その子はつかさでしょ!どうかしてる」

 そして抑えていた感情が噴き出した様に
口調は激しさを増した。
「あたしは、ハルトが想い人なら、居るって言ったから、つばさの事が、まだ忘れられないんだって、そう思ったから時間をあげようと、思っただけ!
それでも、つばさに面影が似た人って、聞いて本当にそうなら諦めてもっと思ったけど、こんな似ても似付かない子の為に、あたしは諦めたりしない」

 そして涙ぐみながらも、その瞳は鋭く、
私達を捕らえて離さない。
「ハルト!もしその子と付き合うなら、
あたし、絶対に、絶対に許さないから!」
そう言い残し彼女は、その場から去った。

ハルトは呼吸を整え、私を気遣ってくれた。
「彼女を会わせるべきじゃ無かった。嫌な思いをさせて、ごめん。彼女に告白されて断ったけど、期待させる言い方だったかも知れないと思って、君の事を話した。諦めてもらう!つもりだったけど......」

 私は今頃になって震えが......それほど純奈さんの目は怖かった。ハルトは「家まで送るよ」っと、
優しく震えた肩を、抱き寄せてくれた。


 部屋に戻りコンパクトを開き鏡を見る。
震えも少し治り、つばさに訊ねてみた。
「つばさ!芹沢純奈さんって、どんな人?親友......
だったんだよね!」少しの間があり、つばさは

「親友と呼べるかどうかは別にして、よく私の真似をしたり、私が持っている物を、よく欲しがる子だったかな。特に悪気は無いみたいだし、私には優しかった。あんな高圧的な態度は余り見た事が、無かったと思う。」
 
 話の感じからは、あの威圧感は想像出来ない。
とすれば、相当に私を恨んでるのかな?
つばさは心配そうに私の顔を伺った。
「つばさ、ありがとう。私は大丈夫だから」
そう言って私は静かにコンパクトを閉じた。

 携帯にハルトからの着信、私に気遣いながらも、学校では純奈さんを刺激しない様に、しばらく二人で逢うのは控えようと言う事に、
学年王子と呼ばれる人と付き合うのは、
こう言う事だと、その身に感じた。

 ただ辛い事ばかりでは無く、ハルトが言うには、これから少ない時間でも、学校外で逢おうと、
言う事になった。

 こうして校外デートが始まろうと、していた。

 
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