【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ

文字の大きさ
2 / 36
一章 始まりの街

2 初戦

しおりを挟む
 一先ずの目標は、街道に出ることだろう。街道の周囲には多少なりとも整備はされているはずだ。そうすればモンスターと遭遇エンカウントする確率も減り、危険も減るだろう。

 そうと決まれば早速行動へ移す。
 オレは比較的近くにある街道へ向け、軽く走り出した。

 街道が近付いて来たところで、ふとMAPに目を落とすと敵対表示を示す赤色の光点が数百メートル先に表示された。

【『敵察知』Ⅰを獲得】

 どうやらMAPなどを使ってもスキルを獲得できるらしい。それにしても、本当に獲得難易度は下がっているようだ。『スキルコレクター』さまさまだな。

 そう思いながら、早速オレは『敵察知』のレベルをMAXであるⅩにする。

【『敵察知』Ⅰ→ⅩUP!】

 するとMAPに劇的な変化が現れた。今までは表示されていなかった距離の敵が表示され始める。MAPを最大限まで収縮表示するが、その限界まで赤い光点が表示された。どうやら『敵察知』はMAPに敵を表示させる範囲を広げてくれるらしい。

 スキル一つでこれほどの効果があるのだ。他のスキルを獲得した時も期待できるだろう。

「あれがモンスターか?」

 数百メートル先に表示されているモンスターを目を細めて見る。微かに緑色の人形が見える程度だ。

【『遠見』Ⅰを獲得】

 うん、もう何も言うまい。またしてもスキルのレベルを最大まで上げる。

【『遠見』Ⅰ→ⅩUP!】

 『遠見』を発動させると、緑色の人形程度にしか見えなかったモンスターが、今では細部まではっきりと見える。

 小柄な体躯に、緑色の肌。醜悪な顔に髪は生えておらず、手には錆びきった短剣を持っている。
 所謂ゴブリンという存在だろう。

 そこで『解析眼』が働いた。視界にゴブリンのステータスが表示される。

名前:なし
年齢:5歳
種族:ゴブリン
職業:戦士Ⅱ
称号:なし
LV3
HP55/55
MP20/20
STR8 VIT5 AGI7
INT2 DEX9 LUK3
スキル
短剣術Ⅰ
[SP3]

「低いな……」

 表示されたステータスはオレの半分ほどの数値だった。余程オレの初期ステータスは高かったのだろう。スキルもⅠと心もとない程度。スキルポイントは貯めることはできても、割り振ることが出来ないのか消費されぬままだ。
 周囲に敵の反応は無い。相手は完全に孤立している。
 こっちは装備も充実している。初戦を行うには十分整った環境だろう。

 これは好機と見るべきだ。

「殺るか」

 そうと決まれば行動は早かった。オレは剣の柄に手をかけ、前傾姿勢に疾走を始める。

【『疾走』Ⅰを獲得】

 どうやらスキルを獲得したようだが、現在は無視する。今は戦闘に集中しよう。
 ステータスを手に入れた事によって強化された体力は数百メートルの疾走をあまり苦としなかった。

 途中からはゴブリンもこちらの存在に気が付き、向こうからも走ってくる。しかしその走りはあまりにもお粗末な物で、小さな子供の走りと大差がない。
 距離が二十メートルを切った所で剣を抜き放ち、草原の草を切るように剣を下へ向ける。

「グギャギャギャ!」

 ゴブリンは奇声を上げながら短剣を振りかぶる。

【解析完了】
【『短剣術』Ⅰを獲得】

 どうやら解析の速度は、オレの想像以上に早かったらしい。相手が一度使ったところを目にしただけで獲得してしまった。

 まあ、そう考察している時間はない。ゴブリンの短剣は迫ってきている。

「ッッふ!」

 オレは左手に付けた盾を使い、短剣を弾くと片手剣でゴブリンの身体を右下から左上に切り裂いた。剣がまるで体の一部かのように扱う事ができる。まるで達人にような剣の扱いができるこれは、『剣術』スキルの効果だろうか?
 相手の肉と骨を断つ感覚が腕に伝わる。周囲に化物じみた青い血が飛び散った。少し不快な感覚だが、無視出来ない程じゃない。

「グギャァァアア!」

 ゴブリンは苦しそうに呻くが、まだ息はある。止めを刺すために、オレは左手の盾でゴブリンの持つ短剣側に壁を作る。そしてゴブリンの心臓めがけ、刺突を繰り出した。
 剣は思い通りの軌道を描いて心臓を突き刺した。

【経験値を獲得】
【レベル1→2UP!】
【『盾術』Ⅰを獲得】

 どうやらレベルが上がり、『盾術』も獲得したようだ。
 今回の戦闘で、多くのスキルを獲得できたようだ。

「ッふぅー……」

 初戦闘の緊張から開放され、安堵のため息が漏れる。

「思いの外上手く行ったな」

 オレは思わずそう呟いた。予想通りことが運び過ぎて怖いくらいだ。

「だが……」

 そう言ってから、先程オレが殺したゴブリンの死体を見る。未だ死体は生暖かく、顔に付いた血はヌメっとした感触がこびり付いている。そして腕にも、ゴブリンを斬り殺した感覚が離れない。
 これは……慣れそうに無いな。

 そう思っていると、また新たなログが流れた。

【『精神苦痛耐性』Ⅰを獲得】

 そのログを見て、他のスキルよりも先に、オレはそのスキル真っ先にⅩまで上げた。
 すると先程まで感じていた恐怖はどこへ行ったのか、全く感じ無くなる。

 殺したことへの恐怖は全く無いが、オレは新たにこのスキルへ言い知れぬ怖さを感じた。

「このスキルは使いどころを考えよう」

 このスキルを使い続ければ、オレは何れ人ではなくなる。人の形をした、心を持たない化物になるだろう。

 とりあえずゴブリンの死体をストレージへ仕舞う。するとゴブリンの死体は光の粒子となって消えていった。ついでに短剣も仕舞っておく。
 オレは『精神苦痛耐性』のスキルの効果を切る。

 このスキルは戦闘時以外は付けるべきではないだろう。逆に戦闘時では敵に情けをかける事がなく、有用なスキルと言える。
 何事も使い方だ。

 オレは無表情で顔に血をコートの裾で拭い落とす。幸いコートは黒いのであまり汚れは目立たなかった。

 剣を振るって付いた血と油を振り払うと、腰の鞘に剣を収める。

「とりあえずレベルアップしたステータスを確認しておくか」

 そう言うと、オレはステータスを開いた。

《ステータス》

名前:エノク
年齢:15歳
種族:人族
職業:剣士Ⅰ
称号:異世界からの転生者
LV2
HP210/210
MP200/200
STR25 VIT25 AGI20
INT20 DEX20 LUK20
スキル
剣術Ⅹ 短剣術Ⅰ 盾術Ⅰ 敵察知Ⅹ 遠見Ⅹ 疾走Ⅰ 精神苦痛耐性Ⅹ
ユニークスキル
解析眼 スキルコレクター
[SP∞]

「これは……チートだな」

 ゴブリンと比べ伸びが凄まじいステータスと、賑やかになったスキル欄を見てそう呟く。
 スキルがたくさん獲得できたのもそうだが、ステータスがゴブリンのモノと見比べて異様なほど伸びが高い。
 転生神が言っていた通り、同レベル帯での力には困らないだろう。それにスキルの効果は思いの外強力なようだ。スキル一つでここまで戦闘が変わるとは。

 しかし、格上からしてみればまだまだ弱い筈だ。技術は高くとも、それを扱う地力がない。これから地道に力をつけていく必要があるだろう。

 だがまあ、それもこれから先の事だ。長い目で見ていけばいい。それにスキルの数も増えたとは言えまだまだ満足出来る数じゃない。
 これからどんどん取っていこう。

 一先ずは獲得したスキルのレベルを上げようか。そう思うと、オレは少し手慣れた様子でスキルのレベルを上げていった。

「それじゃあ街へ向かうか……」

 オレは装備を見直すと、街へ向けて歩き出した。





【『疾走』Ⅰ→ⅩUP!】
【『短剣術』Ⅰ→ⅩUP!】
【『盾術』Ⅰ→ⅩUP!】
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...