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一章 始まりの街
4 鍛冶屋にて
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青年らは下卑た笑みを浮かべ、少女の身体を舐め回すかのように見ている。一方少女は、顔に怯えを滲ませ、それでもなお抵抗しようとしているが、そこは男女の力の差。腕を捕まれ、逃げる事ができていない。
ここに通行人がいないわけでは無い。むしろ大通りに近く、比較的に人は多い。しかし周りの人物らは、この諍いを止めようとせず、遠目から成り行きを確認するかのような視線だ。
オレだって、別にこの諍いを止めなくても良いのだ。まだこの世界に転生して初日、分からないことだらけのまま問題に首を突っ込むのはリスクが大きい。
オレは見なかったことにして、その場を去ろうとした。
『――助けてあげて!』
声が聞こえた気がした。
その瞬間、脳裏にアイツとの記憶が浮かんだ。あの時、自分の無力がために救う事が出来なかった彼女は、もしこの場にいれば何をするだろうか。彼女の眩しい笑顔が頭から離れない。
きっと彼女は、自分が傷付くことも顧みずあの少女を助けようとするだろう。周りに無関心な自分とは違い、彼女は正義感が強く、後先考えないでよく行動していた。オレはその尻拭いを毎度やらされたものだ。
少女は必死に抵抗していたが、その抵抗も半ば諦めへ向かおうとしている。あの青年らの魔の手が迫るまで、もうあまり時間は無いだろう。
心の中で自分に喝を入れる。此処で動かなくては、アイツに失望されてしまう。
「甘くなったな、オレも」
誰にも聞き取れないほどの声量で、オレは呟いた。
意を決して少女に話し掛ける。
「やあ、待ちましたか?」
何故こんな事をしているんだろう?らしくないと自分で自嘲する。こんな事をやっておいて何だが、これはオレの自己満足に過ぎない。自己中心的な考えの自分に反吐が出る。
オレは話しかけた少女にアイコンタクトを取った。
少女は驚きながらも頷くと、青年らの意識がオレに傾いた瞬間に掴んでいた青年の手を振り払ってオレの左腕にしがみついて来た。
ちなみにオレの現在の武装は、革鎧と盾を外しているので、コートと初めから着ていた耐久力の無さそうなThe村人といった服しかない。武器といえば、腰につける片手剣ほどだ。
青年らはオレを見ると露骨に舌打ちをし、こちらを睨みつけながら歩いてくる。
「よぉよぉお兄ちゃん、俺らはその子と遊ぶ予定なんだよ」
「分かったらさっさと返せや!」
念の為、このバカ三人のステータスを確認するが、案の定ただの一般人のようだ。レベルも3やそこらで、ステータスもゴブリンと大差無い。
相手戦力を確認せずに飛び込んだのは迂闊だったが、そこまでの強敵でなく安心した。今後は気を付けようと心に留める。
「すみませんが彼女とは約束があります」
「え、えぇそうです!この人と予定があります!」
少女はオレの作り話に合わせるように、語気を強めて言う。しかし未だ怯えは抜けきっていないのか、オレの後ろに隠れるように対峙していた。
「痛い目見なきゃ分からねぇみてぇだな……」
一人の男が指を鳴らしながら、芝居がかった動きで前へ出る。
オレはその相手に、わざとらしく周囲を見回しながら言った。
「ここは大通りです。何時街の衛兵が来てもおかしくありませんね」
すると青年らはビクッとその言葉に反応すると、慌てて周囲を確認する。
衛兵の姿が無いことを確認すると、わかりやすく胸をなでおろした。改めてオレを睨むと、ドスを効かせた声で言ってくる。
「テメェ、少し面貸せや」
その様子に、少女は心配げにオレに小声で話しかけて来た。
「助けて貰った事には感謝しています。ですが大丈夫ですか?貴方まで怪我をされては……」
「大丈夫ですよ、安心してここは任せてください」
オレは小声で少女の言葉を遮るようにそう言う。少女の表情は心配げだが、無理に口出しは出来ないようだ。
オレは青年らに向き合うと、『偽表現』を駆使して感情を読ませない表情で彼らに言った。
「申し訳ありませんが、先を急いでいます。退いていただく事は出来ますか?」
「そんな事できるわけねえだろ!そいつを置いていけばまだ許してやったが、ここまでコケにされて黙ってるわけには行かねぇよな!」
「やっちまえ!」
堪えきれなくなった三人は、顔を真っ赤にして殴り掛かろうとして来る。
オレはその姿にため息をつきながらも、剣の柄に手を添えた。争い事はなるだけしたくなかったが、これは仕方のないことか。
『剣術』の効果により、不思議と剣の構えなどが理解できる。その中に、相手に威圧を与える構えというモノがあった。
圧倒的なスキルレベルによって生み出される達人の如き威圧感は、常人に耐えられるモノではない。そこに、殺気を一瞬混ぜる。
青年らは、急速に勢いを無くし、恐怖を顔一面に彩らせ膝をついた。
「一度しか言わない、失せろ」
声のトーンを数段低くし、口調を変えてそう言う。三人は腰を抜かし、壊れた人形のように首を立てに振る。
手を無視を払うように振ると、青年らは怯えながらも立ち上がり悲鳴を上げながら脱兎の如く逃げていった。
【『威圧』Ⅰを獲得】
便利そうなスキルも手に入れる事ができたようだ。ここらは日本に比べ、当然治安が悪い。これぐらいのスキルがあったほうが絡まれても安心だ。
後で上げておこう、そう思っていると少女が話し掛けて来る。
「あ、あの、本当にありがとうございました!」
少女はそう大きな声でお礼を言った。
「いえいえ、これはただの自己満足です。お気になさらず」
あの日から脳裏に焼き付いて離れない記憶が今でも鮮明に思い出される。
本当にこれはただの自己満足だ。もしまたこんな場面があっても、あの幻聴が聞こえなければオレはあのまま去っていただろう。
しかし少女は身を乗り出して言う。
「それでも、私は本当に感謝しています!」
その言葉で、少女の必死さが伝わってくるようだ。しかし、もともとオレの腕にしがみついていたので、半ば抱き着く形でお礼を言っている。ふくよかな胸が腕に当たっていた。
少女もそれに気が付いたようで、顔を真っ赤にして離れた。
「きゃ!す、すみません!」
「いえいえ」
『偽表情』で優しくやり過ごす。オレはそれより、と切り出し少女の具合を確認する。
「怪我はありませんでしたか?」
「はい、大丈夫です」
「それは良かった」
相手に安心を与える為にも笑顔で言った。少女は頬を染め、照れたように目を逸らす。
本当に少女に怪我がないようなので一安心だ。
オレはこれ以上やる事も無いので、去ることにする。
「それでは、私はこれで」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
踵を返して立ち去ろうとするオレを、少女は手を掴んで引き止める。
「是非、お礼をさせて下さい!」
少女はお辞儀をしながらそう頼み込んでくる。
んー、どうしたものか?お金を頼むのは流石におこがましい。物をせがむのも微妙だろう。街案内をしてもらうという手もあるが、MAPがあるので困ることは無い。
ここは固辞させて貰おう。
「いえ、本当に先程の事は私の自己満足なので気にしないで下さい」
「それでも!」
なおも少女は食い下がって来る。
「せめてお名前を教えてください!」
少女の必死さに押され、オレは名を名乗った。
「私はエノクと申します」
「エノクさんですね!私はアルメナっていいます!」
元気一杯にアルメナはそう名乗る。
これ以上居座るのも意味が無いだろう。
「それでは、またご縁がありましたら」
そう言うと、オレはアルメナの手を振り払わないように注意しながら手を抜き取る。素早くオレは彼女とは逆の方向へ歩いて行った。
「あっ」
アルメナの顔を見ると、少し寂しそうだった。少々罪悪感に駆られるが、今更戻るのも格好が悪い。
人混みの方へ消えていくオレに、彼女は大きな声で告げてくる。
「ダルメアノの東で祖母と魔法薬屋をやっています!良ければ来てください!!」
オレは振り返らず、背を向けたまま手を振る。
◇◆◇◆◇
さて、アルメナから逃げるように来たがここは何処だ?
MAPを確認するとダルメアノの街の北東に位置する細い道のようだ。しかも複雑に入り組んでいるため、このMAPが無ければ迷子になる事は必至だろう。
本来は武器屋と防具屋へ寄るつもりだったがどうしたものか。そういった店は街の西に集中している、所謂職人街と呼ばれるモノだ。
戻らなければならないかと悩んでいると、MAPに表示されたある場所が目に止まった。
閑散とした入り組んだ路地の奥地に、ひっそりと一軒の武器屋が佇んでいる。
何故こんな人気のないところに一軒建っているんだろうか?職人街へ後ろ髪を引かれる思いだが、この店が気になって仕方がない。
気付けば脚は、その武器屋へ向かっていた。
何本もの細い路地を抜け、武器屋へ着いた。その外見は年季が入っている。そう言えば聞こえは良いが実際は、老朽化が進み、看板は廃れ、文字が見えない。壁には欠けた所が多く、隙間風が入っていくであろう場所が多数ある。
「これはこれは……」
思わずそう呟いてしまう。だがここで突っ立っていても変わらない。
扉の取手に手を掛け、一気に開いた。
ッキ―――!
扉が嫌な音を上げながら開かれる。その中へ一歩踏み入れた。埃の匂いが漂って来る。
見渡すと、商品棚に並べられた武器類は丁寧に並べられていた。
カウンターに目を向けると、何時から使われていないのか、机の上には沢山の埃が積もっていた。
店の主人を呼ぶために、オレは大きな声で呼び掛けた。ちなみに、MAPで人がいることは確認済みだ。
「すみませーん!オレに武器を売って下さいませんかー!」
暫くすると、奥から物音を立てながら一人の男性が現れた。背丈は130センチほどだろうか?とても小さい。しかしその背丈に見合わず、体は逞しい筋肉に覆われている。
禄に手入れのされていないボサボサの髪と長い髭。首からかけられている作業用の前垂れは整備用の油に塗れている。手には自身の頭ほどある大きさの鎚を持っていた。
所謂ドワーフと呼ばれる種族だ。
「誰だテメェは」
低い声でそう尋ねてくるドワーフは、こちらを睨んでくる。彼からは、常人ならざる重圧感が放たれていた。オレは顔に出そうになる怯えを、必死で『偽表示』で耐え、相手の目を逸らさず笑顔で応えた。
「駆け出しの冒険者です」
相手のはどう見えただろう。少しドワーフの男の目に、怒りが灯ったのが見えた。
【『威圧耐性』Ⅰを獲得】
ここに通行人がいないわけでは無い。むしろ大通りに近く、比較的に人は多い。しかし周りの人物らは、この諍いを止めようとせず、遠目から成り行きを確認するかのような視線だ。
オレだって、別にこの諍いを止めなくても良いのだ。まだこの世界に転生して初日、分からないことだらけのまま問題に首を突っ込むのはリスクが大きい。
オレは見なかったことにして、その場を去ろうとした。
『――助けてあげて!』
声が聞こえた気がした。
その瞬間、脳裏にアイツとの記憶が浮かんだ。あの時、自分の無力がために救う事が出来なかった彼女は、もしこの場にいれば何をするだろうか。彼女の眩しい笑顔が頭から離れない。
きっと彼女は、自分が傷付くことも顧みずあの少女を助けようとするだろう。周りに無関心な自分とは違い、彼女は正義感が強く、後先考えないでよく行動していた。オレはその尻拭いを毎度やらされたものだ。
少女は必死に抵抗していたが、その抵抗も半ば諦めへ向かおうとしている。あの青年らの魔の手が迫るまで、もうあまり時間は無いだろう。
心の中で自分に喝を入れる。此処で動かなくては、アイツに失望されてしまう。
「甘くなったな、オレも」
誰にも聞き取れないほどの声量で、オレは呟いた。
意を決して少女に話し掛ける。
「やあ、待ちましたか?」
何故こんな事をしているんだろう?らしくないと自分で自嘲する。こんな事をやっておいて何だが、これはオレの自己満足に過ぎない。自己中心的な考えの自分に反吐が出る。
オレは話しかけた少女にアイコンタクトを取った。
少女は驚きながらも頷くと、青年らの意識がオレに傾いた瞬間に掴んでいた青年の手を振り払ってオレの左腕にしがみついて来た。
ちなみにオレの現在の武装は、革鎧と盾を外しているので、コートと初めから着ていた耐久力の無さそうなThe村人といった服しかない。武器といえば、腰につける片手剣ほどだ。
青年らはオレを見ると露骨に舌打ちをし、こちらを睨みつけながら歩いてくる。
「よぉよぉお兄ちゃん、俺らはその子と遊ぶ予定なんだよ」
「分かったらさっさと返せや!」
念の為、このバカ三人のステータスを確認するが、案の定ただの一般人のようだ。レベルも3やそこらで、ステータスもゴブリンと大差無い。
相手戦力を確認せずに飛び込んだのは迂闊だったが、そこまでの強敵でなく安心した。今後は気を付けようと心に留める。
「すみませんが彼女とは約束があります」
「え、えぇそうです!この人と予定があります!」
少女はオレの作り話に合わせるように、語気を強めて言う。しかし未だ怯えは抜けきっていないのか、オレの後ろに隠れるように対峙していた。
「痛い目見なきゃ分からねぇみてぇだな……」
一人の男が指を鳴らしながら、芝居がかった動きで前へ出る。
オレはその相手に、わざとらしく周囲を見回しながら言った。
「ここは大通りです。何時街の衛兵が来てもおかしくありませんね」
すると青年らはビクッとその言葉に反応すると、慌てて周囲を確認する。
衛兵の姿が無いことを確認すると、わかりやすく胸をなでおろした。改めてオレを睨むと、ドスを効かせた声で言ってくる。
「テメェ、少し面貸せや」
その様子に、少女は心配げにオレに小声で話しかけて来た。
「助けて貰った事には感謝しています。ですが大丈夫ですか?貴方まで怪我をされては……」
「大丈夫ですよ、安心してここは任せてください」
オレは小声で少女の言葉を遮るようにそう言う。少女の表情は心配げだが、無理に口出しは出来ないようだ。
オレは青年らに向き合うと、『偽表現』を駆使して感情を読ませない表情で彼らに言った。
「申し訳ありませんが、先を急いでいます。退いていただく事は出来ますか?」
「そんな事できるわけねえだろ!そいつを置いていけばまだ許してやったが、ここまでコケにされて黙ってるわけには行かねぇよな!」
「やっちまえ!」
堪えきれなくなった三人は、顔を真っ赤にして殴り掛かろうとして来る。
オレはその姿にため息をつきながらも、剣の柄に手を添えた。争い事はなるだけしたくなかったが、これは仕方のないことか。
『剣術』の効果により、不思議と剣の構えなどが理解できる。その中に、相手に威圧を与える構えというモノがあった。
圧倒的なスキルレベルによって生み出される達人の如き威圧感は、常人に耐えられるモノではない。そこに、殺気を一瞬混ぜる。
青年らは、急速に勢いを無くし、恐怖を顔一面に彩らせ膝をついた。
「一度しか言わない、失せろ」
声のトーンを数段低くし、口調を変えてそう言う。三人は腰を抜かし、壊れた人形のように首を立てに振る。
手を無視を払うように振ると、青年らは怯えながらも立ち上がり悲鳴を上げながら脱兎の如く逃げていった。
【『威圧』Ⅰを獲得】
便利そうなスキルも手に入れる事ができたようだ。ここらは日本に比べ、当然治安が悪い。これぐらいのスキルがあったほうが絡まれても安心だ。
後で上げておこう、そう思っていると少女が話し掛けて来る。
「あ、あの、本当にありがとうございました!」
少女はそう大きな声でお礼を言った。
「いえいえ、これはただの自己満足です。お気になさらず」
あの日から脳裏に焼き付いて離れない記憶が今でも鮮明に思い出される。
本当にこれはただの自己満足だ。もしまたこんな場面があっても、あの幻聴が聞こえなければオレはあのまま去っていただろう。
しかし少女は身を乗り出して言う。
「それでも、私は本当に感謝しています!」
その言葉で、少女の必死さが伝わってくるようだ。しかし、もともとオレの腕にしがみついていたので、半ば抱き着く形でお礼を言っている。ふくよかな胸が腕に当たっていた。
少女もそれに気が付いたようで、顔を真っ赤にして離れた。
「きゃ!す、すみません!」
「いえいえ」
『偽表情』で優しくやり過ごす。オレはそれより、と切り出し少女の具合を確認する。
「怪我はありませんでしたか?」
「はい、大丈夫です」
「それは良かった」
相手に安心を与える為にも笑顔で言った。少女は頬を染め、照れたように目を逸らす。
本当に少女に怪我がないようなので一安心だ。
オレはこれ以上やる事も無いので、去ることにする。
「それでは、私はこれで」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
踵を返して立ち去ろうとするオレを、少女は手を掴んで引き止める。
「是非、お礼をさせて下さい!」
少女はお辞儀をしながらそう頼み込んでくる。
んー、どうしたものか?お金を頼むのは流石におこがましい。物をせがむのも微妙だろう。街案内をしてもらうという手もあるが、MAPがあるので困ることは無い。
ここは固辞させて貰おう。
「いえ、本当に先程の事は私の自己満足なので気にしないで下さい」
「それでも!」
なおも少女は食い下がって来る。
「せめてお名前を教えてください!」
少女の必死さに押され、オレは名を名乗った。
「私はエノクと申します」
「エノクさんですね!私はアルメナっていいます!」
元気一杯にアルメナはそう名乗る。
これ以上居座るのも意味が無いだろう。
「それでは、またご縁がありましたら」
そう言うと、オレはアルメナの手を振り払わないように注意しながら手を抜き取る。素早くオレは彼女とは逆の方向へ歩いて行った。
「あっ」
アルメナの顔を見ると、少し寂しそうだった。少々罪悪感に駆られるが、今更戻るのも格好が悪い。
人混みの方へ消えていくオレに、彼女は大きな声で告げてくる。
「ダルメアノの東で祖母と魔法薬屋をやっています!良ければ来てください!!」
オレは振り返らず、背を向けたまま手を振る。
◇◆◇◆◇
さて、アルメナから逃げるように来たがここは何処だ?
MAPを確認するとダルメアノの街の北東に位置する細い道のようだ。しかも複雑に入り組んでいるため、このMAPが無ければ迷子になる事は必至だろう。
本来は武器屋と防具屋へ寄るつもりだったがどうしたものか。そういった店は街の西に集中している、所謂職人街と呼ばれるモノだ。
戻らなければならないかと悩んでいると、MAPに表示されたある場所が目に止まった。
閑散とした入り組んだ路地の奥地に、ひっそりと一軒の武器屋が佇んでいる。
何故こんな人気のないところに一軒建っているんだろうか?職人街へ後ろ髪を引かれる思いだが、この店が気になって仕方がない。
気付けば脚は、その武器屋へ向かっていた。
何本もの細い路地を抜け、武器屋へ着いた。その外見は年季が入っている。そう言えば聞こえは良いが実際は、老朽化が進み、看板は廃れ、文字が見えない。壁には欠けた所が多く、隙間風が入っていくであろう場所が多数ある。
「これはこれは……」
思わずそう呟いてしまう。だがここで突っ立っていても変わらない。
扉の取手に手を掛け、一気に開いた。
ッキ―――!
扉が嫌な音を上げながら開かれる。その中へ一歩踏み入れた。埃の匂いが漂って来る。
見渡すと、商品棚に並べられた武器類は丁寧に並べられていた。
カウンターに目を向けると、何時から使われていないのか、机の上には沢山の埃が積もっていた。
店の主人を呼ぶために、オレは大きな声で呼び掛けた。ちなみに、MAPで人がいることは確認済みだ。
「すみませーん!オレに武器を売って下さいませんかー!」
暫くすると、奥から物音を立てながら一人の男性が現れた。背丈は130センチほどだろうか?とても小さい。しかしその背丈に見合わず、体は逞しい筋肉に覆われている。
禄に手入れのされていないボサボサの髪と長い髭。首からかけられている作業用の前垂れは整備用の油に塗れている。手には自身の頭ほどある大きさの鎚を持っていた。
所謂ドワーフと呼ばれる種族だ。
「誰だテメェは」
低い声でそう尋ねてくるドワーフは、こちらを睨んでくる。彼からは、常人ならざる重圧感が放たれていた。オレは顔に出そうになる怯えを、必死で『偽表示』で耐え、相手の目を逸らさず笑顔で応えた。
「駆け出しの冒険者です」
相手のはどう見えただろう。少しドワーフの男の目に、怒りが灯ったのが見えた。
【『威圧耐性』Ⅰを獲得】
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