【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

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一章 始まりの街

18 魔法薬を作ろう:Ⅱ おまけ 毒薬

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 あれから何本か見比べる用に『下級体力回復魔法薬(特殊)』を作ったんだが、回復量は250~350と一定にはならなかった。結構なばらつきもあるため、これでは店売りにはなるまいと思い、少し安心した。

 試しに、製作過程で白芽粉を入れてみると、回復量が300か上下10ほどまでの誤差しか生まれなかったので、これが正しい作り方だろう。

 さて、次は中級体力回復魔法薬だ。この際自重はしない、というか諦めた。
 最初から作り方は知らんのだ。上手く行けばラッキー、それ以降のことは考えない。

 そう吹っ切れた考えを持ちながら、準備を始める。先ずは通常通りファイ薬草を薬研で潰す。そこで暫くすり潰した後に、流花草を付け加えた。
 試しに引き裂いてみると、この流花草、驚くほど脆かったのだ。だから大体完成といった具合のところに混ぜても、何ら問題無くすり潰す事ができる。

 注意点を上げるとすれば、採取時に傷付けないようにすべきだろう。

 そういった事を考えている間に、薬草をすり潰し終わった。そのままボウルへと流し込み、かき混ぜながら残した繊維を混ぜ合わせるように潰していく。

【『調薬』Ⅰ→ⅡUP!】

 大体終わったので、今度は試験管へ流し込み、今度は加熱する。先程とほとんど同じく工程なので、ミスすることは無い。
 色が澄んでくる頃を見計らい、魔力を込めた。

 液体は魔力をぐんぐん吸取っていき、凡そ下級の五倍、オレの全魔力の1/3を優に飲み込んだ。

【『MP回復速度上昇』Ⅰを獲得】

 液体に一瞬光が放たれると、試験管内の液体は鮮やかさが増していた。色に深みもある。

【『錬金術』Ⅰ→ⅡUP!】

 予想は付くが、ちゃんと『解析眼』を発動させた。視界に、解析結果のウィンドウが表示される。

『中級体力回復魔法薬(特殊)』
HPを610回復させる脅威の回復量を誇る。大きな傷を瞬時に治す力があり、重度の状態異常も治すことができる。また、断面が綺麗な状態であれば部位欠損を治すことも可能。特殊な製法で作られており、回復量は他の物の比ではない。
材料:流花草 ファイ薬草 非常に綺麗な水

「おぉ……」

 思わずそんなため息が溢れた。

 自重せずに作ったとはいえ、まさかこれほどまでの物が出来るとは……。市販の魔法薬の回復量よりも、200以上高い。
 本格的に他の人物に言えなくなって来たぞ。

 だが、回復量としては申し分ない。何本か作れば、怪我をした際非常に役立つだろう。
 白芽粉も混ぜつつ、先程と同じ手順で量産を開始した。





 何セットか買い足し、約二十本もの下級、中級の体力回復魔法薬を作る事ができた。残すは、モンスター用の毒薬のみ。

 ここからは命の危険もあるので、慎重に行っていく必要がる。オレは気を引き締めた。
 毒草をストレージから取り出していく。

 種類毎に分け、それぞれの効果に合わせた毒薬を調合し始めた。幸いにして、『毒調合』はレベルマックスだ。良い出来の物が作れるだろう。

 麻痺毒は以前同様、パラルシ草とファイ薬草を混ぜ合わせ、作り上げる。暫くすると、以前と変わらぬ物が出来上がった。
 ここでふと、思い付く。

 先程魔法薬に変換した際の工程、それを応用できるのではないかと。
 そう考えれば、実行は早かった。

 躊躇無く魔力を込める。その見込みは正しかったのか、麻痺毒は魔力を吸い取ると、仄かに光り始める。
 下級と同じ程度の100ほど込めると、限界が来た。見た目はあまり変わった様子は見受けられないが、どう変化したのだろうか?

 『解析眼』で解析する。

『特製麻痺魔毒』
対象を麻痺させる効果を持つ。魔力が込められており、解毒をし難い。
材料:パラルシ草 ファイ薬草 非常に綺麗な水

 どうやら予想は的中したようだ。名称に『魔毒』と記されている。
 魔力を込めたお陰で、解毒もし難くなっているようだ。上手く行っているようなので、何より何より。

 他にもヴェレーノ草やソンノ草など、『毒調合』の直感に従い適当に製作していく。
 そうして、段々と強力な毒薬が仕上がっていった。


『特製神経魔毒』
対象を目眩、腹痛、痺れなどにさせる効果を持つ。魔力が込められており、解毒をし難い。
材料:ヴェレーノ草 ファイ薬草 非常に綺麗な水

『特製睡眠魔毒』
対象を眠らせる効果を持つ。魔力が込められており、解毒をし難い。
材料:ソンノ草 ファイ薬草 非常に綺麗な水

 濃い青色の麻痺魔毒、紫色の毒々しい色をした神経魔毒、薄い水色の睡眠魔毒。それぞれ、そこそこの量を作った。
 納得のいく仕上がりに、少し笑みが浮かぶ。

――だが、そこに悪魔の囁きがオレの脳に囁いた。

(これを全て混ぜれば、より強力な毒が出来るんじゃないか?)

 好奇心に、心が疼く。やってみたい、だが危険だ。その何とも言えない葛藤に、頭を悩ませる。


 暫しの葛藤後、オレは混ぜる事を決断した。
 毒薬を全て取り出し、一本の試験管へ同時に混ぜていく。

 色が、何とも言えない不気味な色へと変わっていく。それを見つめていたオレに、甘い香りが鼻孔を擽る。

 その時、『危機察知』が働いた。オレは全力でその場を離れる。

「ぐッ!」

 しかし、少し吸ってしまったようで、片膝を付いた。ログには、状態異常に掛かった知らせが来ている。
 手足が痺れ、身体が上手く動かす事ができない。目眩や眠気で、意識が朦朧としてきた。

【『毒耐性』Ⅱを獲得】
【『麻痺耐性』Ⅱを獲得】
【『睡眠耐性』Ⅱを獲得】

 そのスキルを獲得できたおかげで、少し体が楽になった。意識も、徐々にはっきりとしたモノへ変わっていく。
 まさか一律でレベルがⅡとは、余程強力な毒らしい。

 オレが先程までいた場所を見ると、周りの草が枯れていた。それを見て、少しゾッとする。

 これからは、好奇心で動かないようにしようと心に決めた瞬間だった。
 その後は、極力近付かないようにしながらストレージへ収納する。どうやら自身の半径10mほどなら収納が可能なようだ。

 この毒を混ぜると毒霧が発生するので、これからは取り扱いをより気を付けるようにした。

 空を見上げると、赤く染まっていた。もう夕方だ。忘れ物が無い事を確認して、オレは街への帰路を急いだ。




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